キノの旅一巻第六話 平和な国 感想 |
●平和な国 -Mother's Love-
一言でいうなら:第三者達を殺すことで戦争する国
名言:「館長さん、ボクには分かりません。今のあなた方が間違っているのか、それとも昔の人々が正しかったのか」
登場人物:キノとエルメス
話の長さ:約30ページ
備考:戦闘あり・ホヴィー登場
2020/6/29記事修正〜コメントでの指摘に伴い「パール▪ハーバー」を「プライベート▪ライアン」に訂正
あらすじ
道中、たくさんの死体が転がっていた。どうしてなのか分からないまま国を目指すと「ようこそヴェルデルヴァルへ」と書かれた城門にたどり着いた。パスカードを渡し入国。この国を知るには歴史博物館に行くのがいいらしい。そこに行き女性の館長のガイドで国の歴史を見て回った。この国は隣国と長い戦争状態が続いていたが、15年前にそれはぴたりと止まり平和が訪れたという。今日は時間がないから説明できないが、明日あるものを見せてくれるそうだ。それは何かと聞くと、「戦争」だと館長は答えた。
ホヴィー=浮遊車両の一団のひとつに乗り遠出すると、別の一団が見えてきた。宿敵だった敵国レルスミアの軍らしい。そして、目下のタタタ族を見据え、まずは目印の線となる赤い粉を引き、それを境に2つの軍がタタタ人を殺した。時間になると死体の重さを計測、重い方が勝利だという。そして計測に使った死体は母国の東方、キノが入国する前に見た死体の場所に捨てられるのだという。
オチ
再び歴史博物館で館長に話を聞くと、彼女は戦争で旦那と息子たち全員を失ったのだと言う。そこで彼女は戦争のかわりになるものはないか考え、今回のような戦争が確立されたのだという。殺されたタタタ人はどうなるのかと聞くキノに、平和には犠牲が付きものであり、それは自分たちの子供であってはならない、タタタ人を殺して平和が保たれるのなら歓迎しなければならないのだという。言っている事が正しいか分からないと言うキノに、あなたが子どもを宿したときに分かると館長は言う。
国を出るとタタタ人たちが道を塞いだ。あなたには我々の復讐心を満たすため、八つ裂きになって死んでもらいますとタタタ人。そして若者が棍棒をキノに振り下ろしてくるが、それを躱しキノは若者を殺した。逃げる他のタタタ人。キノはモトラドに乗り再び走り出した。
感想
ヴェルデルヴァル人とタタタ人には共通点がある。憎しみを発散させるために、とりあえず誰かを殺したいということである。それは普通の人間のストレス発散と同類のものであり、それを発散するために戦争ではないにしろ何かを犠牲にしている。そう思うと人間とはつくづく不完全な生物であることを思わせる。
あっ、いいことを思いついた。タタタ人の代わりに「殺す国」の人たちを呼んできて、彼らを標的に×××××すれば万事×××××じゃないか。
珍しく「ヴェルデルヴァル」という国名が登場する。まあ二国間の戦争を取り上げる都合上、国名があった方が分かりやすいという配慮かもしれないが、シリーズとしては極めて異例である。おそらくこの国しかないのではないだろうか(あのやたら長い国もあったか)。さらに「パスカード」というものを、キノが何気なしに取り出して機械に読み込ませている。この世界で言うパスポートなのだろうがこの存在も極めて異例である。
館長は家族を全員を失ったが、これを聞くと洋画「プライベート▪ライアン」にて筆者が知った「ソウル・サバイバー・ポリシー」なるアメリカの制度を思い出す。この制度は戦争で家族全員が死んだという事態を起こさせないため、家族が最後の一人になってしまった場合、その一人を強制的に戦線から離脱させるというものである。
キノの容姿と装備:大地と同じ色のコート・ところどころ剥げた銀色のゴーグル・カノン・もう一丁のパースエイダー・銀色のカップ
エルメスの言い間違い:ジャンキー→正:ジャーキー(累計言い間違い数:2)
殺害人数:1(キノの累計殺害人数:2)
キノが危害を加えられそうになった回数:1(累計数:9)
国の技術レベルと特産物等:近未来(浮遊車両)・戦争システム
収穫:美味な見たことのない魚料理・積めるだけ積んだタダ同然の携帯食糧