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キノの旅XXII
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キノの旅二十二巻第一話 仮面の国 感想

●仮面の国 -persona-
一言でいうなら:仮面をつけ続けたため顔が退化していた話
名言:「やらなくてすむようになったらやりたくなるとは、なんとも皮肉なもんだね、キノ」

 

登場人物:キノとエルメス、師匠と相棒、シズと陸(ティー加入前)
話の長さ:約20ページ
備考:漫画登場話・三者三様

 

 

あらすじ
 師匠達が辿り着いた国の人々は、他人と顔を合わせることを極端に嫌っていた。国の偉い人によると、顔の美醜を気にするあまりお互い顔を見ることが怖くなってしまったそうだ。それでも社会は回っているが、いいことではないのでなにか改善案はないかと聞いてきた。ないと思った相棒だが、師匠はあると答えた。

 

 それでお師匠さんの解決策って?とエルメス。仮面を渡したんだよとキノ。国の人はとまどったが、せっかくなのでみなで使ってみることにしたそうだ。そして今から行く国がその国だ。国に着くと住人のみなが笑顔の表情の仮面で出迎えた。師匠が持ち込んだ仮面を住人が進化させ、操作により表情の変化がつけられるようになっていた。住人達は仮面の生活にとても満足していた。

 

 シズと陸もこの国に来た。キノ達と同様住人は仮面をつけて生活していた。実はみな素顔でいたいがきっかけがほしいではとシズ。そこでみなで仮面を外してみないかと大衆の前でシズは訴えた。意外と住人は関心を持ってくれ、みなで同じタイミングに仮面を外すことにした。


オチ
 シズと陸は絶句した。仮面を外したことで現れたのは、仮面のような素顔だった。怖くて逃げたしたくなるほどの顔が無数にこちらを見ていた。昔より表情を動かさなかったことで、表情を作る能力が失われてしまったのだ。仮面を外してみたものの居心地が悪いようで住人達は再び仮面をつけた。陸がシズに声をかけると、シズは仮面をつけて泣きそうな表情を作った。仮面の操作が苦手なシズなので、表情の操作が正しいのか間違っているのか陸には分からなかった。

 


感想
 かつて管理人が学生の頃教科書で読んだ「素顔同盟」のように、やっぱり素顔が良いよね、となるかと思いきや衝撃の展開を迎えたお話。このお話は現在キノの旅で別メディア展開されている漫画シオミヤイルカ版の第5巻にて、小説よりも先に公開されたお話である。まず原作者がお話を書き下ろし、それをシオミヤイルカ版として漫画刊行、そして今回の小説刊行に至ったのである。管理人は漫画版を先に読み、そして今回の小説となった。その結果、同じストーリーでも印象が大きく異なるものとなった。

 

 まずオチの顔のイラストである。漫画版はもちろん小説版でも挿絵が添えられ、仮面が外された際の光景が描かれる。どちらも衝撃的な光景であるが、やはり管理人は漫画版での衝撃の方が大きい。漫画版を見た際の無数の不気味な表情に、思わず「ヒエッ」と声を出すほどだった。一方小説版の「顔」という漢字の大量の羅列だが、不気味というよりは「?、なにこれ」というのが第一印象だった。

 

 小説における事の異常さを説明する文章も、管理人にはイメージしづらい物だった。別に文章表現がうまいへたというわけではなく、漫画の絵と比べるとどうしても分かりやすさに差があった。漫画ではその時の光景が絵によって提示され、作者と読者のイメージが共有される。一方で小説は文章であり、そこから読者が個々の引き出しを使いその時の光景をイメージする。つまり同じ文章であっても抱くイメージは個々で異なるのである。そして管理人は、キノの旅に限らず小説を読んでいてうまくイメージできないことが多い。これでは表現媒体として小説より漫画の方優れているかと思いきや、そうともいえない。

 

 「仮面の国」小説版には漫画版で知り得なかったさまざまな事実があった。例えば、物語のラストでシズは泣きそうな仮面の表情となる。漫画版を読んだ際はまさかの展開にシズは悲しくなったのだろうと管理人は疑いの余地もなく思った。しかし小説版では泣きそうな仮面の表情について、仮面の操作が下手なシズなので正しく操作できていたのか分からないとあった。つまり漫画版では気にも止めなかったことに、小説版では考える余地を与えている。

 

 そもそも、シズが仮面の操作が下手という点も漫画では気付くことができない。漫画を読んだのはしばらく前で確認はできないのだが、例え漫画でシズが露骨に仮面の操作に手間取っていても、不自然でない限りはさして気にも留めないはずである。その点、小説にて仮面の操作が下手と文章があることで、シズは不器用という可愛げのある情報を得られた。師匠達に関するタダ飯食べない理由はないという記述も同様である。漫画では何気なく食事をしているが、タダ飯の記述があることでがめつい師匠達にクスリと笑うことができるのである。もしこれを漫画で表現しようとした場合、絵の動きだけで見せるのは難しく、吹き出しでキャラにしゃべらせればくどく感じる気がする。

 

 漫画版が先に公開された今回の「仮面の国」、それにより漫画媒体と小説媒体の特色を見出すことができた。漫画はイメージがはっきりしており、それゆえに今回のようなお話では衝撃が大きい。しかし、小説では考察余地の提示やキャラクターの情報をテンポを削ぐことなく自由に付け加えられるのだ。

 

 

キノの容姿と装備:防寒着
殺害人数:0
国の技術レベルと特産物等:近代(仮面技術と石造りの建物)・仮面
収穫:仮面と交換して得た報酬(師匠)

 

 

 

[ 小説第22巻 ] 10:31 - | comments(0) | trackbacks(0) |2019.09.29 Sunday
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[ - ] 10:31 - | - | - |2019.11.01 Friday









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