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キノの旅アニメ二期第六話 雲の中で 感想(ネタバレあり)

キノの旅アニメ二期第六話 雲の中で 感想
●雲の中で -Blinder-
登場人物:キノとエルメス、フォトとソウ
本編約20分
小説版「雲の中で」ページ
小説版「雲の前で」ページ​

 

 

 

あらすじ

「雲の中で・b」
   一面の白い世界に、キノとエルメスはいた。ほんの少し知っていれば良かったんだとキノ。厳しいねとエルメス。知らなければどうしようもない、ボクは知っているのかなとキノ。さあねとエルメス言い、さらにもうすぐ晴れるねと言った。雲に覆われていた辺り一面が晴れた。

 


「雲の前で -Eye-opener-」
   雪山も見渡せる山岳地帯。一部で草が茂る荒野に、商人の一団がいた。そこでは元気な子供達がいて、奴隷をからかったいた。奴隷は髪の長い少女であった。彼女は自身につながれた鎖で転んでしまった。それを見た男がとっとと運べと命令した。

 

   かまどの用意をする奴隷の少女を男二人が眺めていた。彼らは使えない奴隷をなんで手に入れたのかという話になった。先の国は宗教国家であり、どんな時でも人を信じなければならないという戒律があったそうだ。そして自分達はその国で商売したが、支払いが足りなかった。そこで国長が少女を差し出したそうだ。話を聞いていた男が笑い、少女に嫌味を言った。少女は言葉を返さないでいると、その態度が気に入らなかった男が少女に当たった。しかし少女は人を憎んではいけないという戒律を信じていた。それを聞いた男達は呆れかえった。

 

   食事に使える草が採れたので、少女はそれを洗わされることになった。洗っている最中、少女は頭に何かをよぎったが、思い出そうとして怒声に遮られた。再び男達が少女を見て、自分達は運がいいから商人として自由に生きていけるが、奴隷には運がなかったとしゃべった。言った男いわく爺さんから教わった言葉だそうだ。ほかにも食べ物の好き嫌いはするなと教わったそうだ。

 

   食事ができた。少女はスープの傍らに生えていた草を見て、スープに入ったこの草が毒草であることを思い出した。食べたらだめだと言ったが、小声で商人達には届かなかった。そして商人達は食べてしまった。少女は言い出せなかった自分を責め涙を流した。そして自らも毒を飲み死のうとするが、それを頭領の息子が投げた石が遮った。少女の行儀が悪いから息子は投げたそうだ。それを聞いて両親は褒めた。そして食事に戻ろうとする息子に、この食事には毒が入っていると少女は叫ぶが、別の男から石を投げられて気絶してしまった。

 

   気が付くと、息子がしゃべっている光景が目に入った。奴隷を自分に売ってくれないか、そしたら戦える立派な男になるために殺すのだそうだ。それを聞いた父親はいいだろうと言った。自分がしたことを思い出した少女は絶叫した。ずっと絶叫した。まるでサイレンのようだった。黙らせろと頭領は言うが、指示した仲間が急に倒れた。それを皮切りに皆が口から泡を吹いた。

 


   みな倒れあたりが静かになった。そんななか一人がうめき声を上げていた。それは運のくだりを話していた男だった。何が起きたと聞かれ少女は草に毒が入っていたと伝えた。男は野菜が好きでなく、あまり食べなかったため生きながらえていた。男は少女が無事なのを確認し、少女があの時豪快に食べようとしていたことを思い出した。それを聞いて少女は一瞬だけみんなが死んでもいいと思ってしまったと泣いて叫んだ。そしてこうなったのは自分のせいであり、そんな自分を殺してほしいと言った。

 

   それを聞いた男は近くにあったライフルを手にし、それを少女に持たせた。ついでに少女を繋いでいた鎖の錠を外した。そして少女に人差し指を引き金に沿えるよう指示をした。すると男がいきなり銃口を自分の腹に引き寄せ、そのはずみで少女は引き金を引いた。銃声がし、男は自らの腹に銃弾を受けた。自らの意思で死んだ男に対し、どうしてと少女は聞いた。いつか分かると男は言い残し、死んだ。

 

   「いぃや〜、お見事だ」。唐突に声がした。声の主はトラックの中にいたモトラドであった。落ち込む少女をよそに、久しぶりに外へ出れたことを喜ぶモトラド。少女は自分を人殺しだと悔やむが、モトラドは最後の男は自殺で毒草は連中のポカだと軽くあしらった。自分が言っていればと少女は悔やむが、あの連中がやめたとは限らないとモトラド。そして、どっちにしと連中は運がなく、おまえにはあったとモトラドは言った。どうやったら私は死ねるのという少女に、生きればいつか死ぬと諭した。そしてトラックの運転を教えてやると言った。

 


「雲の中で・a」
キノがスコープ覗いていた。死んだ商人達が見えていた。そして足元にあった草を見て、この草は高いところに生えているものは毒があると言った。それで全滅かとエルメス。あまり見たくない光景だなとキノ。目をつむればとエルメス。と、辺りを雲が覆った。

 


「あの日から -Since I Was Born.-」
ある家で、モトラド思い返す。あいつほど数奇な運命をたどってきた人間を知らない。孤児になって、奴隷になって…金持ちになって、今カメラマンをやっている。あの出来事のあと、国に辿り着いた少女はすべてを打ち明けた。そして幸運なことに移民として受け入れられた。その後カメラマンになった少女をみながフォトと呼び始めた。家にフォトが帰ってきた。「ただいま、ソウ」とモトラドの名前を言い、素敵な笑顔をする少女。呼ばれたソウは「あいよ、フォト」と返した。

 

 

感想

 

   過酷な人生に直面する少女フォト。その跡地をキノが訪れるお話。奴隷としてフォトは非道な扱いを受けるが、それでも彼女は国での教えを守り、人を憎んではいけないと信じていた。しかし、みなの運命を左右するかもしれない局面で、ついにフォトは躊躇したのだった。フォトはそのことを後悔するが、それを諭したのはモトラドのソウであった。ソウはみなの運命を決めたのは運だと結論付けた。

 

   あえて、フォトは悪いのかを言及してみたい。フォトの台詞を使うのであれば「自分のせいで死んだ」。しかし、これは大雑把な見解に過ぎない。フォトは何をしたか、細かく分析していくことで「自分のせいで死んだ」という言葉とはかけ離れた真実が浮かび上がる。フォトは教祖様に売られた。奴隷として非道な扱いを受けた。みなが食べる直前で毒を思い出した。一瞬躊躇し声がでなかった。それらが真実である。そしてソウが言うよう例えフォトがみなを止めていても、信じてくれたとは限らないのである。さらに運もあり、商人達の運命すべてをフォトが握っていたとは言えない。だから、フォトがすべて悪いとはまったくもって言えない。「自分のせいで死んだ」という台詞からかけ離れている。さまざまな要素が絡んでみなが死に、フォトが生き残ったのである。

 

   フォトは故郷の「人を憎んではいけない」と教えを隠れていた目をひん剥いて言ったが、男達はそれをあざ笑った。では、我々が生きる現実世界においてはこの言葉は通じるであろうか。それは人によると思う。対象の人間が恵まれた環境で生きているのであれば通じそうだ。だが内戦下の人にそれを言っても通じるとは思えない。つまり、世の中には正しいと思える格言があるが、それぞれば万人に通じるとは思えないのである。もし管理人が誰かの悩みの相談に乗るときは、一人一人に合った言葉を見つけ出したい。

 

   アニメ化に伴い再発見した点としては、最後に死んだ男の存在である。小説ではその存在を明確を想像できなかったので、あやふやに済ませていた。だが、爺さんから好き嫌いするな最初に教わった男が、好き嫌いをした故に少し生きながらえたことを、アニメを見て気づいた。やはり映像化されれば誰が誰なのかすぐさまわかり、それゆえの分かり易さが生まれる。またそれを踏まえてアニメを見返してみれば、例の男の少女の扱いはあながち悪くなかった事など、小説では補完できないドラマが浮かび上がってくる。

 


   どうも管理人がアニメの感想を語る際、尺が足りないと毎度のように言ってしまう。今回も細かいところでそう思ってしまった。まず冒頭のキノだが、開始早々脈絡もなく台詞を矢継ぎ早に語りだしたので少し不自然に思えた。そして、一番に気になったのが今回最大の局面、フォトが毒を食べようとしている商人達を止めようとする場面である。ここでは商人達が毒を口にするシーンがスローモーションで流れるが、ここはフォトが言い出すか言い出さないかを、長い時間かけてみせてほしかった。アニメではやけにあっさりと流れてしまった感がある。ここに長く尺を取ることで、いかに重要な場面かが引き立つはずである。

 

   あと、アニメの表現についても一部疑問が残った。フォトは草を水であらうのだが、小説では雪解けで冷たい水と記述されている。だがアニメではそれを思わせる表現力が乏しかった。また、フォトにあてがわれたスープの量についてだが、小説は多くない量と書かれてしてるのに対し、アニメでは多そうに思えた。まあ文句ばかり言っているようだが、それ以前に山々の背景美術は繊細で素晴らしいし、食事のスープはとても美味しそうだった。当たり前すぎて目立たないが、その表現力は高く評価しなくてはならない。

 


   今回のキノ登場はわずかでフォトとの遭遇は叶わない。そもそも特異なのが、本作の原作小説でのあつかいである。まず題名の「雲の中で」だがこれは小説第三巻で明かされた。しかし本編であるフォトのお話の「雲の前で」は明かされたのが小説十二巻で、だいぶ期間を明けてからの登場だった。

 

   ほかにもアニメの最後であっさりカメラマンになるフォトであるが、その経緯は原作小説でしっかり語られている。簡単に要約すると、あの後トラックで走り出した両者は、長い日時の走破の末にある国にたどり着く。ソウはこの世界の厳しさを知っており、隙を見せれば喰われてしまうのでどうしたものかと考えていたが、そんな不安をものともせずにフォトは全ての真実を打ち明けた。しかしそれが良い方向に働き、国の移住が認められた。さらにトラックの物もフォトの所有物であると認められ金持ちになった。そんな中、あるものだけは売らないようにとソウは指示していた。それがカメラであり、そのカメラを使いフォトはカメラマンになった。

 

   要約するとこうなるが、もちろん長い文章をかけてこれら経緯が語られる。当然原作を読んだほうが楽しいので、未読の方やフォトとソウの今後が気になる方はぜひ原作をご購入願いたい。フォトの後日談は小説15巻の「フォトの日々」より始まり、以降全巻で触れられる。キノの旅の非情な物語とは打って変わり、和やかなカメラマン生活が語られる。小説21巻を経てもキノとの遭遇は叶わないが、小説17巻ではシズと遭遇していたりと見所盛りだくさんである。


   その他思ったこぼれ話。モトラドの演技を緒方さん実にはつらつと快演していること。これはアベマTVでエヴァのCMが流れるものだからより一層感じられる。あの悩む少年役の人が、実に開き直った演技をしているのだから感慨深いものがある。あと序盤でフォトが子供達にからかわれるが、もしかしたら今後登場する「大人の国」でも似たようなシーンが見れるかもしれない。

 

   小説版「雲の中で」ページ

   小説版「雲の前で」ページ​

 

 

 

キノの容姿と装備:茶色のコート・スコープ
エルメスの言い間違い:なし

 

 

 

[ アニメ2期 ] 18:25 - | comments(0) | trackbacks(0) |2017.11.11 Saturday
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[ - ] 18:25 - | - | - |2019.10.05 Saturday









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