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キノの旅XXII
the Beautiful World
(電撃文庫)

   


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キノの旅アニメ二期第四話 船の国 感想(ネタバレあり)

●船の国・渚にて 旅の始まりと終わり -On the Beach-
登場人物:シズと陸、ティー、キノとエルメス
本編約20分
小説版「船の国」ページ

 

 


あらすじ

「船の国」
   海に浮島のような「船の国」が浮かんでいた。さらに沖を見渡すと交易がおこなわれていた。それらを見渡したシズは、船の国に乗り込み海を渡ることを決意した。

 

   船の国に入ったシズと陸は、この国の指導者達に謁見した。指導者達はみな黒装束で大きな帽子をかぶり表情は伺えなかった。滞在にあたりシズは指導者側で働くこともできたが、一般住人の元で暮らすことした。国の様子はむきだしの鉄だらけで、みすぼらしそうだった。一般住人の長老に会ったシズは、国の案内役としてティーを紹介された。ティーは終始無言であった。

 

   シズ達はティー国を案内してもらった。国は鉄だらけであったが、人の活気はあるようだった。滞在を始めて何日か経った折、激しい揺れと音がした。だが住人達は全く動じていなかった。この事についてティー聞いてみると、ティーは浸水している場所、そして国の設計図がある場所に案内してくれた。シズは設計図を手に、ティーに破損個所を指さしてもらった。陸の数えではそんな箇所が143ヶ所あるようだった。これらは放置されるらしく、このままでは国が崩壊するという考えにシズは至った。

 

   屋根がないところへ出ると、雨が降っていた。雨から守るためティーを自分のパーカーらしきの中に入れると、ティーは止まって目をつむった。ティーが雨の音が気に入ったということで、シズもそれに従って一緒に雨の音を聞いた。

 


   シズはこの国の状況について長老に聞いてみたが、長老は塔の指導者まかせで意に介せずだった。無表情で道を歩くシズ。すると、ティーがシズの手を取って歩き出した。向かった先は城壁の上で、きれいな夕焼けが見えた。息抜きが出来たと感謝すると、シズは背後の街並みを見渡し、最後にティーに視線を向けた。その表情は何かを決意したようだった。

 

   シズは刀を手に取り、ティーに部屋で待つように言った。だがティーが無言でついてきた。指導者達のいる塔に来たシズ。すると止まれと指導者の声が聞こえた。シズは指導者にこの国について問い詰めるが、どうなってもそれが運命だと片づけられてしまった。

 

   お考えよく分かりましたと言い、シズ前へ進んだ。すると目の前のシャッターが開き、ショットガンを持った黒装束が立ちふさがった。ゆっくり近づいていくシズ。ついに黒装束がショットガンを撃った。それを避けるシズ。次の瞬間、黒装束は持っていたショットガンをシズに投げつけた。それを刀で弾くシズ。すると黒装束はリヴォルバーをシズに向けていた。刀が後方にある状態でそうされてしまいシズの動きが止まった。驚いたなとシズ。それを聞いてボクも驚きましたよと声がした。黒装束を脱いで現れたのはキノであった。

 

   戦いが止まったのを見た指導者は両者が仲間だったのかと言い、国の針路を変えたと宣言。あなた達は死ぬまで民と暮らすがいいと言われてしまった。キノはやむなくシズと共闘し、指導者達を倒して進んだ。陸とティーはそれについて行った。その最中、手榴弾とナイフがティーの視界に入った。シズとキノは指導者達のリーダーらしき者を追い詰めた。リーダーは、この国の王になるつもりかとシズに尋ねた。必要ならとシズ。するとリーダーは「いいだろう、次はお前だ、そして一緒に生きろ」と言うと、意識を失ったかのように体を倒した。その体は人間ではなく機械だった。

 

   船の国を陸地に付かせた。キノ達とシズ達は陸に上がった。すると長老がシズに事情を尋ねてきた。シズはこの国の危機を教え、そのために指導者達を排除したと言った。しかし住人達はそれでも住み慣れた自分達の国へ帰って行った。失敗した、ティーも国に戻るといいとシズ。それを聞いてティーがシズに近寄ると、ナイフでシズの腹を刺した。ティーは「わたしにもどるところなんてない」と言った。一同が緊迫するなか、エルメスがティーとこの国について喋り出した。

 

   ティーの本名であるティファナはもとは船の名前で、その船が600年前、放棄され無人の「船の国」にやってきた。船には子供しか乗っておらず、大人達は疫病で死んでいた。そして子供達はこの国に住み、現在の住人達の先祖となった。さらにティファナ号で子供達を導いていた人工知能が、「船の国」移住に伴い黒装束の指導者達に成り代わった。シズが最後に指導者達と対峙した際のセリフは、それを汲みとったものだった。

 

   そしてティーはこの国に来た旅人の捨て子だった。結果的に親代わりだった指導者達を殺してしまったシズは、ティーに謝りこれから一緒に助け合っていこうと言った。ティーは沈黙の後にありがとうと言った。そして出血の末シズは倒れた。それを見たティーはおいていかないでと呟き、手榴弾を取り出した。心中する気だとエルメス。キノは素早くティーが手にしていた手榴弾を狙撃し弾いた。

 

 

「渚にて 旅の始まりと終わり」
   手当を受けたシズはキノに礼をし、またどこかでと言った。ボクが旅を続けていれば、あなたの住む国に辿り着くと思うとキノ。その時は心から歓迎するとシズ。

 

   エルメスを走らせるキノ。将来またあの人とあったらとエルメス。それに対しキノは言った。あの人は―死ぬほど驚くかもねと。

 

 

感想

 

   シズとティーが親睦を深めるも、悲しいすれ違いを引き起こしてしまったお話である。シズはいつも通り、その正義感のままに行動し国の指導者すら倒した。その傍らで無言なティーにも気を使っていた。しかし、ティーには秘密があった。そして結果的にシズの行動が裏目に出てしまった。とても悲劇的な話だが、言ってくれればと思ってしまうのは浅慮なのか。

 

   CMに入った際、もうAパート終了なのかと驚いた。それもそのはずでこのお話の原作では約120ページ(単行本の約半分)となっており、長編ゆえに一話で済ますには尺がまるで足りないはずである。そのためアニメではテンポが速すぎで、圧縮された内容を理解しようとすると一瞬でAパートが終わってしまった。これは本アニメにさまざまな悪影響やもったいない点を生み出していると思う。

 

   アニメ化という事で国の街並みが映像化されたが、どうも印象に残っていない。やはり尺の都合でストーリーが圧縮され、街並みをゆっくり眺める時間がなかったゆえだと思う。だが、各所で挟まれる国の様子は鉄を主体としたとても細かい描写となっており、クオリティが高い。また、小説では黒装束とだけ書かれていた国の指導者達だが、映像化したものを見てみるとなんとも変わった魔法使いのようになっていた。

 

   シズとティーが一緒に雨音を聞くシーンがあるが、その導入がどうも唐突で不自然に思えた。雨が降り始めたと思ったらシズ達がいきなり外に立って雨に打たれていたので、シーンの前後の流れに不自然を感じた。これも尺がないゆえに発生したと思う。さらに小説版ではここで、陸はパーカーらしきものに入れさせてもらえず、結局濡れるしかなくなってしまうというクスリとする場面なのだが、当然のごとくカットである。

 

   シズ対キノの対決もすぐに終わってしまう。そしてあまりにも早とちり過ぎる指導者達だがこれも尺ゆえとしか思えず。小説版では勝負はもっと長く、しまいにシズはキノにゴム弾で撃たれ倒されてしまう。しかし、よくよくアニメを見てみると、シズ対キノの決着シーンはどうやらコロシアムの決着シーンを再現しているように思える。シズの構えの段が違うものの、キノが抜いてシズが動きを止めているのはコロシアムと同様である。その流れがあり、再戦を匂わせてから黒装束がキノだと判明する流れは良いと思う。

 

   船の国が陸に辿り着きシズが住人達を強く説得するシーン。これは個々の視聴者の解釈によるが、管理人が見た限りだとシズは住人達が陸で住むものだと確信していた様に思える。そして思い通りにはいかなかった。これを視聴者がシズの浅慮の行動とだと捉えられないか心配である。小説だとシズは自分の行動が無駄で、自滅するとはいえ住人達は元の生活望んでしまう可能性があることを考慮していた。

 


   そして、今回一番気になったのがラストのティーの口調である。アニメでティーはシズにナイフを刺した後にすぐ「わたしにもどるところなんてない」とトーンの低い口調で言う。しかし小説のティーはナイフを刺した後も無言で、エルメスのネタバレの末ついに「わたしにもどるところなんてない!」と感嘆符付きで発する。その台詞の後の文章には"その高く澄んだ声が、ティーのものであることにすぐには気づかなかった"とまである。次々と重大な事実が判明する中でついに言葉を発したティー。だが、どうもアニメではあっさりし過ぎていた。その後シズが出血で倒れた際も低いトーンの口調も変わらず。こちらも小説では何度も叫んだと書いてあった。このようにティーの口調に関しては大きな違和感が残った。

 

   その他、小説を読んでいると分かるこぼれ話。作中陸が子供達に顔を揉まれる際に「この顔は生まれつきです」と言うが、これは小説における物語開始時の定例文であり、使うタイミングがないためかここで使われている。ほか、国が揺れたときからシズはパーカーを着ているが、小説を読んでいる者からすると、シズは常に緑のセーターを着ているという印象があり新鮮である。あと、夕焼けの城壁にてティーが携帯食料を食べているが、これは旅人に評判の悪い携帯食料をティーがとても気に入ったゆえである。

 

   とにかく、今回のお話は過去のコロシアムの回と同様、尺が足りなくて詰め込み過ぎた印象がある。それゆえにエルメスのネタバレシーンも悔しく思う。原作を読んでいる身としては話の顛末が分かり切っている分、ネタバレを要する尺がもったえない。その尺を別の事に使ってほしいのだが、アニメ初見の人からすればこれがないと話が理解できないのでやむを得ない。

 

   今回のアニメでは管理人は節々に違和感を感じた。みなさんはいかがだったろうか。ペースが速すぎる点も含め、それらを解決するにはやはり原作小説がかかせないと思う。小説未読者の方はぜひ原作を手に取っていただきたい。

 

   小説版「船の国」ページ

 

 

 

キノの容姿と装備:黒装束・黒いジャケット・借り物らしきショットガン・カノン
エルメスの言い間違い:結果到来→正:オーライ

 

[ アニメ2期 ] 05:24 - | comments(0) | trackbacks(0) |2017.10.28 Saturday
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[ - ] 05:24 - | - | - |2019.09.11 Wednesday









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