キノの旅二十一巻第七話 完璧な国 感想 |
●完璧な国 -On Demand-
一言でいうなら:AIが作る完璧人間
名言:(強いてあげるものはなし)
登場人物:キノとエルメス
話の長さ:約20ページ
備考:他の話とリンク(鍵の国に以前入国)
あらすじ
エルメスを操縦していて久しぶりに転んでしまった。小石に見えて実際は地面に埋まっている大きな岩が原因だった。キノはめんどくさそうにエルメスを起こし再び走り出した。走行中、エルメスがモトラドにもさまざまなタイプがあり、メリットとそれに伴うデメリットを話した。
辿り着いた国はとても機械が発達した国であった。ホテルの一室は全てがコンピューターで管理されており、キノがしゃべるとそれに反応して機械がしゃべった。この事について注意書きが書かれていたが、目のいいエルメスでないと気付きづらいものであった。
次の日。国の住人に新人類の誕生だと聞かされた。三歳程度まで育てた子をAIに預け、人間は極力関わらず教育してもらうというものだった。実験対象の子達にはこれがAIの実験ということや、外の世界には待っている人達がいることを伝えてある。また完璧な人間を求めるということで、生みの親からAIに対しはさまざまな要望が込められていた。
そして、AIに育てられ15歳になった子供達のお披露目となった。登場した彼らはとても聡明そうに見えた。テレビカメラを向けられた彼らはしっかりとした受け答えをした。画面にはAIの「新人類を産み出す任務は果たせたと思います」というメッセージが表示された。観衆は成功だと湧き上がった。キノは成功なのかな?と言い、エルメスはそろそろ行く?と言った。
オチ
これからはAIによる子供の教育を推進していくという宣言を聞いてからキノとエルメスは出国した。キノはエルメスが何かに気付いたのではと問い詰めるとエルメスは言った。例のAIのメッセージが表示された際、人間が見えないような小さな文字で、要求仕様の達成が不可能だったので、全員の脳にAIが言動をコントロールするためのICチップを入れた。人間が調べても分からないようになっている。なお製品の品質に問題はないと書いてあったのだ。
感想
人間が求めた無理な仕様を達成するために、AIが現実的な決断を下したお話。これにより教育を受けた子供の言動は機械によりコントロールされ、自意識を行使する事ができなくなってしまった。機械は優秀だが融通が利かないということを面白く表現したお話である。現実世界でもAIの特異な行動がニュースとなるが、この調子で人間の手を離れしまいには人間を支配しそうで不安である。
今回のお話で思い出したのは、往年のSF映画をリブートした2014年公開の「ロボコップ」。そのワンシーンで、ロボコップは撃つ際のためらいが生じることで、ロボットに比べ反応速度が遅れてしまうことが問題となった。そこで博士は仕掛けを施し、ロボコップの人間自体には自意識があると見せかけて、実際はソフトにより体を動かすようにしたのだった。このようにAIが人間を支配する暁には、人間はAIにより支配されているということすら気付かないのかもしれない。
参考動画:ニコニコ動画「ロボコップ2014 模擬戦闘シーン」http://www.nicovideo.jp/watch/sm25572061?from=125
キノの容姿と装備:リヴォルバー
エルメスの言い間違い:石材関所→正:キノは指摘しなかったが適材適所(累計言い間違い数:49)
殺害人数:0(キノの累計殺害人数:244)
キノが危害を加えられそうになった回数:0(累計数:57)
国の技術レベルと特産物等:近未来・発達した機械
収穫:快適なホテル