キノの旅を総括したい

"世界は美しくなんかない。そしてそれ故に、美しい"
そんな世界を余すことなく総括する、キノの旅まとめサイト。ネタバレ注意


 
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キノの旅を総括したい

●キノの旅を総括したい こぼれツイート

 

 

   キノの旅を総括したい。このサイトのタイトルであり、管理人が最もやりたいことを表している。最近ようやく全話のページ作成が叶い、この記事執筆時はいよいよアニメ2期開始直前、言わばキノの旅シリーズの第二幕の開始直前である。重要な節目である今こそ、キノの旅について総括したい。

 

   キノの旅を総括するにあたり、本来であれば、著者やライトノベル界の傾向をあげつつ解析するのが筋であるが、つたない管理人の知識ではそれらを取り扱う自信がなかった。そこで、今回はあくまでもキノの旅の世界の内側より総括を試みることにした。記事作成当初はどう作ったものかと悩んだが、ゲームのレビューサイトのように、良い所・悪い所・感想、その三つにまとめるというやり方がシンプルで良いと思った。この手法を用いてキノの旅を総括してみたい。

 

 

●良いところ
・さまざまな国々に触れることができる
   旅人キノは、惑星のさまざまな国々を基本的に三日間滞在し見て回る。そこでは人が生きる姿、民族の願い、国の制度を知る事ができる。キノが旅をする理由は、ある時自分が愚か矮小な奴だと思う時があり、そんなとき周りの世界がきれいに思え、それをもっと知りたくて旅をしているのだという。思い出してみると、滅多に見ることが叶わない日の出を見て感動するお話「朝日の中で」や、誤解からとても穏やか展開を生み出した「カメラの国」。中には規制だらけの「安全な国」なんて突拍子もない国にも出会うが、そんな自分以外の世界、一見醜く見えたりとても美しく見える世界を、主人公キノとともに読者は体感していくのである。そしてさまざまな景色や価値観に触れるのである。


・問われる倫理
   辿り着く国の中には、倫理観が著しく欠如した国も登場する。子供は大人の作品なので処分してもいい「大人の国」。多数決で負けた者はことごとく死刑にする「多数決の国」。税金未払いを理由に怪我人を見殺しにする「税金の国」。そんな国々を見て、読者はおかしいと感じる。それは、生活を送るうえで曖昧になっている倫理観を見直す良い機会となっている。ある決まりを追求することにより、どのような事が起こり得るかを物語で分かりやすく提示している。

 


●悪い、というより問題だと思う事
・傍観者キノ
   キノの旅の悪い所はなにか。そう問われても管理人はピンとこない。だがあえて言うのであれば、主人公キノが傍観者に徹する事である。キノはさまざまな国を回り、時には倫理を問われる局面を迎える。しかし、キノが積極的に正義を為そうとすることはあまりない。目の前で非道なことが起ころうとしても、自身が旅を続けることを第一に行動している。これは幾多の別作品から見ても一線を画するものに思える。大抵の主人公は悪事を止めるべく動くし、世に言うダークヒーローであれ、悪事を用いて世界を変えようとする。しかしキノは世界に対し行動を起こさず、基本的に見て回るだけの傍観者なのである。

 

   これは問題点だと思う。まあキノの旅とはそういうスタンスであり、この点を批判する管理人は、アクション映画を見て暴力はいけないと言っているようなものかもしれない。キノの旅は小説であり、物語の登場人物の行いに物申すのはナンセンス、それこそシリーズであった物語の犯罪行為すら許さない「違法な国」と同じ勘違いとも言えるし、別の観点から言えば「歌姫のいる国」で人を救っているじゃないかとツッコミを入れることができる。それらを理解できるのだが、どうも管理人としてはキノが問題に対し傍観するというスタンスを続ける限り、このしこりが残るのである。

 


・旅を続けるしかないという限界
   そんなキノの旅であるが、ある限界を感じることがある。キノの旅シリーズの別の主人公にシズがいるのだが、彼は正義感あふる青年で、先にあげたキノと異なり自身の信条に基づいて行動をする。また、彼は移住の地を求めて旅をしており、彼にとっての旅はあくまで手段であり、それをすることが目的ではない。そんなシズであるが、ついに安住の地を見つけたかに思えたエピソードがある。それは「渡す国」である。この国は国柄もよく移民も受け入れてくれて、実際シズは順調に国での仮移住の生活を送った。しかし、問題が発生し結局は国外退去処分となった。物語としてはシズの正義の行いをした故であったが、小説刊行の運営上シズの旅が終わってしまっては立ち行かなくなるという事情もあるだろう。

 

   この現象はキノの旅の限界を顕著に表している。物語の主人公として、キノ、シズ、若き日の師匠がいる。あと旅をしていないフォトについては存在の扱いに困るのだが、ここでは無視させてもらう。先の3人、彼女らは旅を完全に終わらすことはできない。これはシズの例をあげたように一時的な停止ならともかく、完全に停止させることは作品の崩壊を意味する。その展開を迎えるならば、作品の完結を覚悟するほかない。その制約上、主人公達は旅を辞めるという選択肢を選べない。それこそがキノの旅の限界を作っている。

 

   別に旅を辞めなければ劇的な展開を起こせないわけではない。公式投票の「人気の国」を見れば旅の中で感動的な話がいくつも思い出すことができる。ただ管理人としては、常に旅を続けるために行動しているキノが、旅を辞めようとする局面に興味があるのである。まあ、シリーズにおいて新聞掲載時最終回「旅の終わり」があり、それも最終話の一つの形ではあるが、あんなひっそりと終わってしまうのはできれば御遠慮願いたい。キノが自らの意思で旅を辞めるという物語。それをきっちり描ききってこそ、シリーズ最大のインパクトを生み出すことができると思う。

 


・実は裏ワザあり?
   とまあキノの旅にはそんな限界があるのではと思ったのだが、書いていくうちにある回避策を思いついた。そのヒントは師匠ある。師匠の顔は二つある。若き日の師匠と老いた師匠である。もちろん老いた師匠は旅をしていない。だがその師匠は思い出が語ることができる。この手法であればキノの旅を終わらしても、物語は続けることができる。実際シリーズの中には「むかしの話」と題した老婆のティーの思い出話も存在する。いざとなったら老婆になったキノに昔話をさせればいい。いっそのこと新章扱いにして、タイトルは「キノの旅の思い出」にしてはいかがだろうか。とても語呂が悪いが。

 

 


●感想と総括
   キノの旅を総括したい。この記事を書き始めた際は総括のイメージが全く湧かず、着地点が分からない状態だった。だが良い点悪い点をテーマに書き出してみるといくつかの要点が浮かび上がってきた。キノの旅を読めば、さまざまな国々を見て醜いものや美しいものに触れられ、さらに己の倫理観を見直す機会となる。一方で傍観者に徹し悪事を見過ごすキノは、筆者にしてみればしこりが残る。また、物語的にも出版都合上においても、旅を続けるという制約が実は限界を生み出しているのではと思う。言い換えれば、旅を辞めるという決断を下すときこそ最大のインパクトが引き起こすことができ、そして物語の完成を達成することができると思う。

 

 

 

   さて、これからアニメ2期、さらには小説第21巻を見に行く。物語の完成を望みつつ、一方でずっと続いてほしいという思いつつ、そんな矛盾を抱えながらも「キノの旅」、これからも楽しみにしている。

 

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