キノの旅二十巻第八話 羊たちの草原 感想 |
●羊たちの草原 -Stray Army-
一言でいうなら:羊の群れに襲われる話
名言:(強いてあげるものはなし)
登場人物:キノとエルメス
話の長さ:約30ページ
備考:戦闘あり
あらすじ
どこまでも広く平らな草原をモトラドが走っていた。ふとキノは白い塊を視界に捉えた。羊の群れだねとエルメス。そして百メートルほど近づくと、羊たちが一気にこちらへ向かって突進してきた。とりあえず距離を取るが逃げた方向にも羊の群れがいた。やむなく道を逸れ、なんなんだあの羊たちはとキノ。追いかけてくる羊は鈴をつけておらず、飼われている様子はなかった。ためしに威嚇射撃をしてみたが、まるで効果がなかった。ここは逃げるしかなかった。
ダメだ止まってとエルメスが叫んだ。キノが止めた先は大地が割れ急な谷となっており、底の中央には水が流れていた。左右を見渡したが延々と谷だった。エルメスはキノに、自分を置き去りにして谷に降りるよう指示した。谷をジャンプして乗り越えられないかとキノは聞いたが、ジャンプ台がなければ無理だとエルメスは答えた。キノは鞄を谷へ落とした後、エルメスの指示に従い谷を降りた。羊たちが押し寄せ谷の上からキノを不気味な瞳でにらんでいた。
谷底よりエルメスがいる崖の反対側へは登れそうになかったので、水の流れる上流を進んだ。その後キノは休憩を取り、鞄からフルートを組み立てた。その日の夜は羊たちににらまれながら寝るしかなかった。夜が明けキノは警戒しながら谷を上ってみると、あたりは霧で視界が悪いがとりあえず羊の姿は見えなかった。キノは作戦を考えつつ、霧が晴れたようなので改めて谷をのぼり周囲を見渡してみると、あるものを発見した。
キノは数キロかけてあるものこと焦げ茶色の車の元へ辿り着いた。タイヤが溝にはまっていた。付近には人間の骨があった。日記も見つかり羊たちに襲われ負傷、最後に自殺を決意するまでが書かれていた。キノは車の装備を確認した。そして溝から脱出させる施しをしエンジンをかけた。幸い今でもエンジンは稼働、タイヤも溝から脱出した。キノは遺骨を埋葬し黙とうをすると、車を使わせてもらうと言った。
キノはエルメスの元へ羊をひき殺しながら爆走、さらにエルメスの周囲を囲むように燃料を投下し、フルートで撃って炎を壁を作った。さらに周辺の羊を排除、炎の壁に守られている隙に谷を越え向こう側へジャンプするための台を設置した。炎を乗り越え近づいてきた羊がいたが、キノは車の持ち主のパースエイダーを取り出し撃ち殺した。そして、エルメスの乗り込み加速をつけてジャンプ台へ進撃、転びはしたもののなんとか谷を飛び越え怪我なく着地することができた。キノは谷の向こう側にいる羊たちに、なぜボクを食べるわけでもないのに闘うのかと問いかけた。返事はなかった。
オチ
ようやくキノは目的の国に辿り着いた。すると入国審査官に羊がいなかったかと聞かれた。過去にこの国では闘羊という娯楽があり、品種改良することで屈強な羊が生み出されたが、動物愛護の観点から餌の豊富な草原に放したのだった。羊がいたとキノから聞いた入国審査官は、羊が元気でいて嬉しく国民にグッドニュースだと伝えなくちゃと言った。エルメスはキノに真実を伝えるかどうか聞いた。
感想
おかげで死にそうになったと憤るお話。温和そうな羊たちに襲われるということで、なかなか怖いお話だった。キノもエルメスを手放さぜるを得なく、だいぶピンチな回であった。タイトルの元ネタはやはり有名映画「羊たちの沈黙」か。この映画はハンニバルレクターこと人喰い殺人鬼のお話で、実際のところ映画の作中では直接羊は登場せず、暗示として使われる程度である。
余所様のブログ、佐藤さえ の 本棚「キノの旅XX the Beautiful World」http://blog.goo.ne.jp/soramamenohaha/e/cb82363e8d8a61eaffc3bd92c6d5b0bfにて、この話の英題「Stray Army」は「Stray sheep」という言葉からひねったのではという指摘があった。この単語は夏目漱石作品や聖書で有名な単語らしい。美少女ゲーム「大図書館の羊飼い」関連こぼれツイート
キノの容姿と装備:黒いジャケット・銀色のフレームのゴーグル・カノン・森の人・フルート・鞄
エルメスの言い間違い:ミラクルパン→正:三行半=みくだりはん(累計言い間違い数:47)
殺害人数:0(キノの累計殺害人数:244)
キノが危害を加えられそうになった回数:1(累計数:55)
国の技術レベルと特産物等:国外・闘羊
収穫:なし