キノの旅十九巻第五話 戦えない国 感想 |
●戦えない国 -Wise Men's Forecast-
一言でいうなら:飛行船に監視されている国
名言:「キノ、行ってこい。というか行け」
登場人物:キノとエルメス
話の長さ:約30ページ
あらすじ
三日間のどしゃぶりの雨により、キノ達は移動を中断し雨宿りせざるを得なかった。これから行く地方には六つの国があるそうだが、科学技術は緩やからしい。エルメスはそういった国は戦争を考えるものであり、それに伴い科学が発展するが、そうなっていないことに疑問を抱いた。
ようやく晴れて移動、国に辿り着くとキノ用に馬車と御者が与えられエルメスも乗せ移動した。次の日、この国の王と面会した。キノが旅でのさまざまな話をすると王は満足し、自分になんでも聞いていいと言った。するとエルメスは近隣のお互いの国との関係はどうなのかと聞いた。すると有史以来戦争が絶えなかったが、今では戦争ができなくなってしまったのだという。そしてその原因はというと、王様は外を指差した。すると謎の飛行船が徐々に近づいてきた。
その飛行船は二百三年前に現れ、王宛に届いた手紙によると戦争行為をした国を滅ぼすとのことだった。そうなってはたまらないと六ヶ国の王達は停戦条約を結んだ。いずれはいなくなるのではと王達は思っていたが、結局数百年たっても変わらなかった。そして現在。王はあの飛行船はすでに飛ぶ機能しかなく、攻撃する機能はないのではと思った。そこで無関係者ゆえに攻撃される可能性の少ないキノに、決死の偵察をしてくるよう命じた。エルメスは無理に行く必要がないと言ったが、王がその場合税としてエルメスを徴収しキノには馬を与えると言ったので、エルメスは名言を言った。
飛行船が定期的に降り立つ湖へと向かった。エルメスに乗ればすぐなのだが、逃げる可能性があるので護衛付の馬車で行かされた。そこには王も同行していた。移動の合間にキノは豪華な食事を貰い、仕事をしないわけにはいけなくなった。湖に辿り着き、キノはボートで飛行船に近づいた。エルメスの見立てでは飛行船は太陽光パネルと水を利用した電気分解からなるシステムで動いており、完全自動制御だろうとのことだった。キノが声をかけると感情のない声が返ってきた。
飛行船との会話を終え陸地に戻ろうとすると、王とその息子の兵士が乗ったボートが近づいてきた。成果を聞いてくる王様に、キノは飛行船はいままでの言い伝え通りで戦闘能力も健在だと言った。すると王は驚き、そしてキノに気付いたなと言った。キノはなんの話でしょうとしらばっくれた。
オチ
出国したキノはエルメスが求めた真相暴露に応じた。あの飛行船はストラトスフィア5590と名乗り、天気予報をしているとのことだった。ストラトスフィアとは成層圏のことだとエルメスは知っていた。そして遠い国から送られてきて、戦闘能力なんてものはないと言う。さらに飛行船が言うには、この地へ来た時より王達には天気予報をすると告知していた。つまり王達は真実を知っているが国民には伏せていた。王曰く戦争を望むのは民衆であり、その理由は下らないものでそのせいで戦争が起きるのは無駄なことだと言った。そのため、飛行船を利用して平和を維持していたのだった。
そして、今回のように旅人を使い飛行船に差し向け国民向けに確かめさせ、口の軽そうな旅人を口封じとして殺すのだという。また、王に特別だと言われ聞いたのだが、師匠達もこの役目を受けたそうだ。
キノ達の元に飛行船が迫り話しかけてきた。飛行船は自分の天気予報が国の役に立っていないのではないか疑っていた。既に自分を作った国は百年以上前に滅びているので、ここで天気予報を教える対象をキノにしてもいいのではと思っていた。だがキノはきっぱりと断った。エルメスは当分今のままでいいのではと言った。最後にキノは今夜の天気を聞いた。
感想
王は飛行船を恐れているかと思いきや、それを利用していたお話。嘘で平和状態が保たれるならよしとするか。しかし馬鹿正直に王に真実を述べていたら殺されていたというのは怖い。キノが慎重でよかった。師匠達がここに来たときはどのようなことがあったのだろうか。
キノの容姿と装備:黒いジャケット・カノン・森の人
エルメスの言い間違い:なし(累計言い間違い数:44)
殺害人数:0(キノの累計殺害人数:244)
キノが危害を加えられそうになった回数:1(累計数:52)
国の技術レベルと特産物等:中世
収穫:宝石や豪華な食事など飛行船偵察の報酬