キノの旅十七巻第九話 料理の国 感想 |
●料理の国 -Original-
一言でいうなら:壊滅的なキノの料理が国の名産料理になる話
名言:「だって! キノの料理、あの怖いものなんて何もなさそうなお師匠さんだって避けて通ったくらい、決定的に無茶苦茶でデタラメで壮絶で、他に形容詞が思いつかないくらいの代物じゃん! この国の人、死んじゃうかもよ! 九人くらい!」
登場人物:キノとエルメス
話の長さ:約20ページ
あらすじ
会議で"さすらいの料理人"が話題となっていた。その料理人は素性を隠しつつ料理を作り、出国時にレシピを残していくそうだ。そして近隣の国で彼の存在が確認され、地理的に必ず自国に立ち寄るはずだと言われた。ぜひとも料理を作ってほしいレストランのオーナー達は、知らないふりをして料理を作ってもらう作戦に出た。そのためにも料理人の情報が必要だが、聞くところによると料理人は茶色のコートをしているとのことだった。
キノが入国しようとすると、入国審査官に茶色のコートのことを聞かれた。キノが答えると女性の入国審査官はうれしそうにしていた。入国すると走っているエルメスの前に女性が飛び出してきた。危ないと言っても悪びれず、キノに料理を作ってほしいとまくしたてた。食材を用意してくれるという事や自分も食べていいとの事なのでキノは受諾した。エルメスは悲鳴をあげた。そしてキノはキッチンに招待された。それをレストランのオーナー達二十人ほどが見守った。キノは料理に取り掛かると鶏を手慣れた手つきで捌いた。そしてそれを鍋に入れ大量のお酢や唐辛子、山椒といった調味料をブチ込んだ。それを見て取り巻きは迷いがないと驚嘆した。ついに料理が完成。まずはキノから食べ始めた。実においしそうに食べていた。
出国してエルメスはあの時のことを思い返していた。キノの料理を食べたみなは物凄い顔をしていた。キノはちょっと辛すぎたかな、でも味が聞いてて食べていて楽しかったと言った。エルメスは食べたみなが辛いと言わず、必死になって食べていたことを不思議がった。なんにせよ楽しかったとキノは顔を綻(ほころ)ばせた。
後日、会議が開かれ旅人さんの料理はどうだったかとみなに言うと、「恐ろしかった」「壮絶だった」「寝込んだ」などの意見がでた。だがとても斬新な料理であり、この料理の味を理解できないとこの国は味音痴とみなされてしまうため、なんとしてでも料理を再現すると決められた。
オチ
季節は過ぎある旅人が入国した。暑いので前の国で多くの服を処分したとのことだった。入国審査官はこの国の名物の"鶏肉のキノ焼き"を勧めた。旅人はさっそくレストランでそれを頼んだ。そして出されたものに旅人は目を見張った。そこには赤い山があった。
旅人は青ざめた顔をしてホテルに帰ってきた。それをみてホテルの人が美味しいものを食べると良いといった。旅人がこの国の有名な料理はと聞くと、やはり鶏肉のキノ焼きだった。旅人は表情を変え料理に調理器具、さらに食材屋の場所を教えてほしいと言った。
会議が再び開かれた。そこには鶏肉のキノ焼きともうひとつの料理があった。これはある旅人が作ったものであり、レシピと手紙があったのだという。手紙には、旅人自身が料理がうまいと天狗になっていたが、まだ味を極めていないことを知った。みなさんの好きな鶏肉のキノ焼きを愚弄するつもりはないがアレンジしてみたとあった。それを食べてみると辛さが控えられ老人や子供に向いていそうだった。そしてこの国の名物料理が"鶏肉のキノ焼き・オリジナル"と"鶏肉のキノ焼き・マイルド"の二つとなった。
感想
壊滅的なキノの料理について知ることができるお話。キノの料理に対するエルメスの見解を数多く知ることができる。そしてその豪快さに圧倒される。
追記
このお話は何気ないキノのおもしろエピソードに思えるが、よくよく見ると書体が異質である。通常キノのエピソードは文章の語尾が「〜いた。」という断定調であるが、このお話は「〜です。」というですます調なのである。
キノの容姿と装備:茶色のコート
エルメスの言い間違い:なし(累計言い間違い数:37)
殺害人数:0(キノの累計殺害人数:217)
キノが危害を加えられそうになった回数:0(累計数:48)
国の技術レベルと特産物等:現代
収穫:自ら振る舞った料理