キノの旅三巻第一話 城壁のない国 感想 |
●城壁のない国 -Designated Area-
一言でいうなら:草中毒にされかけた話
名言:
「(自分に遊牧民は向いていない→どういうのが向いているの)それを探すこと、かな」
「なるほど、君は、自由という不自由に耐えることができるのか。大したもんだ」
登場人物:キノとエルメス、ラウハー
話の長さ:約40ページ
備考:戦闘あり
あらすじ
エルメスで走行中退屈していると、遊牧民のテントの群れがあった。そこで暮らす大人達の半数はパイプをくわえていた。歓迎を受けたキノはテントで食事をごちそうになるが、そこでもみながパイプを吸うものだから、煙くてキノは外に出た。すると一人の男が近寄ってきて短い間言葉を交わすとすぐに行ってしまった。その男には次の日も同じように話しかけられた。
三日目の昼、ぜひにと誘われた食事をキノはたいらげた。食後のお茶を勧められたがキノは断った。そして旅立とうと席を立つと、いきなり女性が棍棒で殴り掛かってきた。民に包囲されかけるが、テントの柱を撃ちなんとかやりすごした。外に出て身を隠した瞬間、背後からいきなり口をふさがれた。キノは口をふさぐ男の顎を狙いカノンの引き金を引いた。しかし弾は出ずキノの表情が凍りついた。だがキノを拘束した男は危害を加えないと言った。声の主は先日言葉を交わした男でラウハーと名乗った。そしてキノに味方し寄ってきた民を殺した。
オチ
ラウハーの指示でいったん一つのテント入った。そこにはラウハーによって保護されたエルメスがいた。ラウハーが保護しなければエルメスは壊されている所だった。ラウハーによるとここでは昔から旅人を見定め無能なら殺し、有能なら草を吸わされ草中毒にされてしまうのだという。民が常にパイプを吸っているのは禁断症状を避けるためであった。そしてラウハーも元旅人で、そうやって取り入れられたのだった。当時やけくそになっていたラウハーであったが、遊牧民の女性に生きていればいいことがあると言われ結婚。だが彼女は死産し、もう子供を産めないという事で殺されてしまったそうだ。
追っ手に見つかった。2人は包囲されてしまうが、ラウハーの細工により例の草の保管庫が燃えた。これでみなの命は十日だという。それを悟った民は火に飛び込んだり、消火しようとして酸欠になったりと地獄絵図となった。残った途方に暮れる者はラウハーが苦しまずに死ねると殺していった。
近くの国へ行き中毒を抜く方法をさがさないかとキノ。だがラウハーは残された子供たちに大人が何をしたかを教えるため残ると言う。ついでにもしキノが取り込まれたら、ラウハーと夫婦にさせられるところだったそうだ。
キノが去った後、ラウハーは子供たちの元に行くが、意思を伝えられないまま子供に殺された。そして子供たちは族長が隠し持っていた草を吸った。「半月ほど後。この部隊は、」という文章で物語は終わる。
感想
やはり最後は全滅したと思えないのだが、救いはあるのだろうか。少なくとも草の中毒になったのは間違いない。うまく新しい草を見つけたとしても、結局元のままなのだから救いがない。
それにしても今回のキノは危なかった。不審なお茶程度ならキノは回避できるが、もしラウハーが味方してくれなかったらさすがにエルメスは破壊されていた。まあ馬を強奪すればなんとかなるかもしれないが、エルメスとはほぼお別れに変わりない。とにかく、キノの生存にはラウハーの存在によってであった。ラウハーが味方してくれなかったら、ラウハーの妻が殺されてなかったら、ラウハーは元の国では暗殺のプロでキノを拘束から殺すこともできた、そう考えるととても危険な回であった。こちらのページでキノのピンチ回をまとめているが、このお話こそが1位だと思う。
随所でキノの優しさが垣間見える話でもある。殺されそうなのにキノは不殺だし、ラウハーに近隣の国で生き残る道を探そうと提案した。管理人は正直キノは殺されそうになったら殺す+事なかれ主義だと思っていたが、ラウハーへの提案にはキノを見直した。
ところで、パイプを吸っている人物というとあなたは誰を思い出すだろうか。世界的に有名な人ならやはりシャーロックホームズではと思う。実は彼が吸うあれ、大麻用のパイプだそうだ。もちろん当時は違法というわけではなく(参考URL:ヒロ嶋田のスモーキートークVol.40「シャーロック・ホームズのパイプ」http://cigardirect.hk/Hiro_Shimada_smoky_talk_40.html)。これはアヘン戦争がテーマの掲示板から知った。
キノの容姿と装備:十代半ばほど・茶色のコート・ゴーグル・カノン・森の人・大きな鞄
エルメスの言い間違い:なし(累計言い間違い数:6)
殺害人数:0(キノの累計殺害人数:6)
キノが危害を加えられそうになった回数:1、一連を合わせて(累計数:11)
国の技術レベルと特産物等:中世
収穫:牛肉など振舞われた食事