キノの旅二巻第一話 人を喰った話 感想 |
●人を喰った話 -I Want to Live.-
一言でいうなら:助けた男達が人を喰っていた話
名言:「怖かったよ。終わってしまうかと思った」
登場人物:キノとエルメス
話の長さ:約30ページ
備考:国外・戦闘あり・他の話とリンク(「マニアの国」の後日談)
あらすじ
雪上を走っていると、トラックとテントがあった。そこには三人の男がおり、トラックが雪で立ち往生したため飢え死にしそうだった。キノは彼らのために狩りに出てウサギを仕留めた。男達はキノが調理したウサギを喜んでたいらげた。キノは次の日もウサギを狩り、彼らの体力回復に協力した。
彼らと会って三日目、男達はだいぶ回復した。そして彼らはキノに銃を向けた。
オチ
男達は奴隷商人で、仕事が出来るようになった以上それをすると言い出した。武器を外せと言われ従うキノ。だがキノは、最後に残った仕込銃のナイフを使い反撃。3人を殺し絶対絶命のピンチを乗り切った。
彼らのトラックの荷台には大量の骨があった。彼らが奴隷を喰ったのであった。
感想
ほぼ身ぐるみをはがされたうえでのギリギリの反撃。シリーズでも上位に入るピンチである。キノが反撃する際の拳銃仕込みのナイフは、「マニアの国」で銃マニアから手に入れたものである。持っているナイフすべてを外せと言われナイフが凄い数になるという展開は、アーノルドシュワルツェネッガー出演映画「ラストアクションヒーロー」を思い出す。
話の中盤、男達は神に感謝の言葉を述べるが、これは人を喰った上での発言だと分かる。そしてキノの名言。それはキノは決して無敵というわけではない、強くてもちゃんと怖いと感じているという、純粋な少女の感情が垣間見える貴重な台詞である。
そしてとても珍しいことに、冒頭のキノについて十代後半ほどと定義している。これは幾多の冒頭における説明が十代半ばほどといった類なのに対し、後半だと踏み込んでいるとても珍しい記述である。さらにはゴーグルが黄色といった定例外しがなされており、時系列の想像を膨らませる。
追記
助けた恩を仇で返された後味の悪いお話。改めて読み返すとキノは狩ったウサギに最大限に敬意を表していることに気付く。狩った際に立つ瀬がないと言ったり、男達の感謝に対しウサギにも促したり、去り際に「悪く思うなよ。ボク達は人間なんだ」と言っている。最後の台詞は、ウサギ達の死が結果的に無駄になってしまったことを気にしつつ、汚い面もあるのが人間と言いたげである。
キノの容姿と装備:十代後半ほど・防寒着・オーバーパンツ・毛皮のついた帽子・黄色いゴーグル・フェイスウォーマー・カノン・森の人・多種のナイフ・レーザーサイト・補助スキー装備のエルメス
エルメスの言い間違い:なし(累計言い間違い数:3)
殺害人数:3(キノの累計殺害人数:5)
キノが危害を加えられそうになった回数:1(累計数:10)
国の技術レベルと特産物等:国外
収穫:なし