キノの旅を総括したい

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キノの旅アニメ2期 感想(ネタバレあり)

●キノの旅アニメ二期 -the Beautiful World- the Animated Series

監督:田口智久/アニメーション制作:Lerche
初回放映時期:2017年10月〜12月
登場人物:キノとエルメス、シズと陸、師匠と弟子、フォトとソウ

 


このアニメについて
   キノの旅のアニメ二期シリーズは小説第21巻発売とほぼ同時に開始された。キノの旅はすでに2003年にアニメ化されており、今回が2度目のアニメ化となる。一期アニメの続編なのかという質問に対しては、そうでないと言える。そもそもキノの旅という小説自体、基本的に一つの国ごとに一話という形の短編集であり、時系列があまり定まっていない。そのため小説でも鉄板とも言えるお話は、一期アニメでも今回の二期でも採用されているのでリメイクという言い方もできる。一方でそれ以外は小説原作準拠の新規アニメーションと言える。いずれにせよ、今回の二期アニメを楽しむには、一期アニメーションを見直さなければいけないということはない。ちなみに、製作者曰く採用したエピソードにはアクション回が多いとのこと。

 

   声優さん達も一期シリーズから一新されており、キノの声は悠木碧さんが務めている。新しいキノの声を聴いた管理人の印象としては、一期と比べ声が男性寄りにしたように思える。エルメスに関してはまたもや声に慣れるのに苦戦しそうだ。なんというかイケメン紳士な声のイメージがある。

 

   作風は二期シリーズに入り写実寄りになった印象で、景色や人々の描写がとても細かく自然に表現されている。一方で一期シリーズはそれとは対照的に絵本をアニメ化したような印象で、各キャラクターがデフォルメ化されていると思う。台詞に関しても一期については原作にない台詞が多用されていた気がするが、二期では出来る限りの原作順守のセリフ回しとなっている気がする。


 

目次

(放送事前告知・エピソード一挙発表)
第一話「人を殺すことができる国」
第二話「コロシアム」
第三話「迷惑な国」
第四話「船の国」
第五話その1「旅人の話」

第五話その2「嘘つき達の国」

第六話「雲の中で」

第七話「歴史のある国」
第八話その1「電波の国」
第八話その2「ティーの一日」
第九話「いろいろな国」

   ・その1「山賊達の話」
   ・その2「徳を積む国」
   ・その3「料理の国」
   ・その4「ティーの願い」
   ・その5「美しい記憶の国」
   ・その6「アニメなあとがきの国」

第十話「優しい国」
第十一話「大人の国」
第十二話「羊たちの草原」

第十二話エピローグ「旅の終わり」

 

[ アニメ2期 ] 13:17 - | comments(0) | trackbacks(0) |2017.10.07 Saturday
新「キノの旅」TVアニメ化エピソード一挙発表

   2017年10月1日。電撃文庫秋の祭典2017『キノの旅 -the Beautiful World- the Animated Series』ステージにて、新アニメ「キノの旅」の採用原作エピソードが発表された。そこでそれらのエピソードのあらすじが分かる、本ブログのページのリンクをしておいた。

   各リンクページはネタバレありなので、細心のご注意を。

 

 

 

 

画像出典:https://twitter.com/kinonotabianime/status/914357016801320961

 

 

 

原作のネタバレページ

〜画像に書いてあるとおり順序不明。巻数も画像を参照

「コロシアム」

「大人の国」

「優しい国」

「雲の中で」〜公式発表によりフォトとソウが登場決定!

「人を殺すことができる国」

「迷惑な国」

「船の国」

「歴史のある国」

「嘘つき達の国」〜画像には9巻収録と書かれているが、実際は7巻収録。画像出典のツイッターで指摘している方がきっかけで気付く

「電波の国」

・「いろいろな国」(9〜17巻収録)〜アニメオリジナル題名? もしくは原作「いろいろな話」ならあり。さらに人気の国18位は 「こんなところにある国」

「羊たちの草原」

 

 

〜発表時に言っていたのはアクション重視のお話を選んだとのこと。管理人としては師匠大暴れの「歴史のある国」があるのが嬉しい。

 

 

注:記事掲載の順列の都合上、投稿日時を操作。初投稿日2017/10/1

[ アニメ2期 ] 13:20 - | comments(0) | trackbacks(0) |2017.10.07 Saturday
キノの旅アニメ二期第一話 人を殺すことができる国 感想(ネタバレあり)

●人を殺すことができる国
登場人物:キノとエルメス
本編約20分
小説版「森の中で」ページ
小説版「人を殺すことができる国」ページ

 

 

 

あらすじ

「森の中で・b」
   たき火が消えていた。横たわるキノと、その傍らにモトラドのエルメスがいた。
   キノは、たまに自分が愚かで矮小な奴ではないかと思い、そんな時世界が美しく見え、それらをもっと知りたくて旅をしているのだと言う。エルメスがふうんと言う。

 


「人を殺すことができる国」
   キノがエルメスを走らせていると、旅人が寝そべっている姿が見えた。話しかけてくる男。そしてこの先にある国についての話となった。男が言うにはその国は人を殺すことができる国だと言い、そこへ行き自分らしく生きる、過去に犯罪者だったレーゲルと呼ばれる人もそこにいるだろうと言った。キノは男と別れ際に荷物を持てと言われたが、キノは断った。

 

   入国審査官に殺人が許されているがよろしいかと聞かれ了承、そして街へ行きホテルに入ったキノは不思議がった。人を殺すことができるのになぜか治安が良かったのだ。次の日の朝、キノは早撃ちの訓練をした。そしてエルメスに乗って国を見て回った。その後店行くとカウンターに武器が備え付けられていることに気付いた。店主に聞いてみると、強盗対策ではなく人を殺すために備え付けているだという。

 

   キノが座ったテラスのテーブルに、大きなクレープの重ね掛けが置かれた。何事も挑戦だと言いキノはたいらげた。近くのテーブルに老人たちが座った。一人の男の老人が甘いものはどうが、代わりに外の話を聞きたいと言った。もう食べてしまったので後日改めてごちそうになることなった。次の日、老人とキノが会った。老人はキノにこの国を移住しないか、あなたみたいな人には向いていると言った。どういう人?とエルメスが言うと、老人は人を殺すことができる人さと言った。

 

   キノが老人と別れようとすると、入国前に会った男が現れた。男はキノに荷物を置いていけと言い、自分の生活費の足しにするという。まわりの人が物陰にひいた。男がいよいよ銃を抜いてきたのでキノはエルメスの陰に隠れた。すると、男の腕に矢が刺さった。絶叫する男。まわりには武器を持った住人達が男を囲んでいた。なんなんだよという男。さきほどの老人が歩み寄ってきて、この国は殺人が許されていないと言った。無表情で賛同する周りの人。老人は続け、この国では殺人をしようとしたものはみんなに殺されてしまう事になる、「禁止されていないということは、許されていることではないんだよ」と言った。そして男の叫ぶに反応して自分をレーゲルという老人だと言い、男にとどめをさした。

 

   キノはその光景を見届け、老人と別れた。出国しエルメスで走らせていると、旅人が寝そべっている姿が見えた。話しかけてくる男。そしてキノがさきほどいた国についての話となった。男はキノにその国はとても紳士的な国なのかと尋ね、自分の故郷は治安がとても悪かったと言った。キノが思っている通りの紳士的な国だと言った。別れ際に男が何かを言いかけたが、辞めた。キノが去った後で、男はあの国はクレープを山盛りにして出すのか?と呟いた。

 


「森の中で・a」
   たき火が燃えていた。エルメスがモトラドの幸せについて語った。そしてエルメスは、なぜキノに旅をするのかと聞いた。キノはたき火を消し、なんとなくだけれどねと言った。

 

 

感想

 

   アニメ二期の第一話。エピソードのチョイスとしては、キノが行く国々はどこか変わっているということを、物語として示せる良いチョイスだと思う。物語としての感想は、この国は老人の言う「禁止されていないということは、許されていることではないんだよ」が体現されている良い国である。現実世界においても明文化されたルールが存在するが、個々の事例、たとえば(実在の話か知らないが)猫をレンジに入れて死んでしまったのは、それが明文化されていないせいだなんて話がある。だがそう言うならばと、それら個々の事情にまでルールを明文化してしまうと、融通の利かないとても窮屈な世界となってしまう。なので、禁止されていないからと言って許されていない、そんな人の良心に任せているこの国の仕組みが好きである。


   ここからは、作品の構成や描写について感想。最初の「森の中で」について、アニメ一期では第一話の最初にプロローグがあり、最終話の最後にエピローグがあった。しかし今回の二期は、第一話の最初と最後にプロローグとエピローグが設けられている。
   キノが就眠する際、外でもホテルでも関わらず、銃を手にし胸において寝ていた。これについての直接の記述は小説にはなかったので、(2017/12/14修正、小説読み返したところ「カノンを胸に置く」という記述がありました。訂正します)違和感というか不思議に思えた。ついでにホテルでの場合エルメスを叩き起こすところがほしかった。三日目の朝なんかはすでにキノの訓練時に起きており不自然だった。構成上の都合だと思うが。
   アニメ特有で思った事として、住人達の異様な気迫というものを感じ取ることができた。店主が武器について人を殺すためだというところや、男を取り囲む際の老人と住人等、表情と台詞のギャップに気迫と同時に不気味さを感じた。これは小説では感じ取れなかった事である。

 

   最後の焚き火は、台詞が流れる横でずっと同じアニメとなるのでちょっと手抜きかなと勘繰ってしまった。同じ絵でこれほど長く回すのは不自然というのは確かだと思う。同じシーンでエルメスが言い間違いする際の「そうそれ」というシーンもイメージと違った。管理人がイメージしていたのはもっと遅い口調で、さらに小説だと「エルメスは黙った」という文章も加わり、妙な無言の間が生まれているのではと思っていたが、アニメでは早口かつすぐにキノが喋りはじめたのでイメージと違った。

 

   新しいキノの声はすぐに慣れることができそうだが、エルメスの声は前回と同じで慣れるのに時間がかかりそうだ。今回のアニメ全体を見通して分かったのは、映像化されたものと管理人のイメージは異なるということだった。小説は文章で構成されており、それぞれの文字から自分なりにイメージを着想するしかない。それにより映像化されたものと祖語がでるのであろう。別に管理人のイメージと違ったから悪いと言いたいのではない。読者・著者・アニメ制作者それぞれがキノの旅の作品を自分の世界で読み取っており、解釈はそれぞれに存在するのだ。

 

   小説版「森の中で」ページ

   小説版「人を殺すことができる国」ページ

 

 


キノの容姿と装備:カノン・森の人・黒いジャケット・白いシャツ
エルメスの言い間違い:三段憲法→正:三段論法

[ アニメ2期 ] 13:30 - | comments(0) | trackbacks(0) |2017.10.07 Saturday
キノの旅アニメ二期第二話 コロシアム 感想(ネタバレあり)

●コロシアム -Avengers-
登場人物:キノとエルメス、シズと陸
本編約20分
小説版「コロシアム」ページ
アニメ一期「コロシアム」(前編)ページ
アニメ一期「コロシアム」(後編)ページ

 

 

 

あらすじ

 

   白昼の光景。キノは馬車の女性に何かを言われ、そして肩に手を置かれた。


   キノはエルメスを全速力で走らせていた。地面の岩で車体が浮き上がる。これから行く国はぜひ訪れてみたかったとキノ。

 

   いきなりコロシアムに出ろと言われた。入国した途端兵士がキノを囲んだのだった。キノはこの国は素晴らしい人々が住んでいる国と聞いてきたというが、兵士達は笑った。この国に入国した者はこの国の市民権を賭け一対一で戦い、優勝した者には新たな国のルールを作ることができるのだそうだ。もしも試合を拒否した者は一生奴隷としてこの国で暮らすことになるという。キノは、自分のように事情を知らないでこの国に来た人はいたかと聞くと、馬車の夫婦が知らずに訪れ、一回戦でお互いあたり妻は降参が認められたが、旦那は次の試合で殺されたと言われた。キノはコロシアムに案内するように言った。


   ベットはあるものの、牢屋のような部屋をあてがわれた。こんな国に付き合うつもりなのかとエルメス。たまには自分の最高の実力を出すべきだ、そうしないと腕が鈍るものだとキノ。そしてキノの試合が始まった。キノはあっさりと4人抜きを果たした。


   キノは部屋で特殊な弾丸を精製していた。エルメスは兵士から聞いたこの国の昔話をした。現国王は前国王を殺し、自分に従わなかった者達を粛清。しかし王の妻は悲観に暮れて自殺、王の子供2人は国外へ追放され行方不明。さらに王は国を改め、今まで真面目だった国がこんな国に変わってしまったそうだ。

 

 

   キノは決勝戦に勝ち上がった。相手は剣客であるシズであった。シズは、キノがいままでしたきたように降参をしてほしいと申し出たが、キノは断った。試合開始のファンファーレが鳴る。キノが森の人を撃つ。するとその弾丸をシズは刀で弾いた。そしてシズは俊足でキノに接近し、キノの銃を弾いた。そしてキノに切りかかるが、キノはそれを両手の小手で受け止めた。2人は距離を取る。降参しないと死ぬよとシズ。するとキノは今まで不殺でここまできたが、最後に一人くらいは派手にぶっ殺すつもりだと言った。

 

   シズが間合いを詰め刀を上に振りかぶる。キノがカノンを抜きシズを狙う。その意味、動くと死ぬ事を理解したシズが動きを止める。そしてシズは負けを認めた。観衆が殺せコールをするなか、キノはシズの後ろに狙いを定めた。そして大声で「かがめ!」と言い、後ろの王を特殊弾丸で撃ち抜いた。王は死んだ。キノは両手を上げ、この国の新しいルールとして市民皆が戦い合い、生き残った者がこの国の王だと言った。すぐに市民が殺し合いを始めた。シズは死んだ王の元へ行き、お久しぶりですねと声をかけた。

 

 

   国の外の湖のほとり。キノは湖に石を投げていた。エルメスが、昔馬車に乗った若い夫婦に会ったよねとキノに言う。ああと答えるキノ。そしてその後で一人で馬車に乗った妻に、キノさんもぜひあの国に訪れるべきよと言われたとエルメス。その脇でキノは大きな石までも湖に投げ込む。

 

   波立つ湖。さて行くかとキノ。するとむこうにシズ達がいた。シズはキノに頭をさげ、父を殺してくれたことを感謝した。王子様だったのかとエルメス。キノは復讐なんてばかばかしいと言い、シズは同意した。そしてシズは犬の陸に話を振ると、陸は言葉を返した。驚くエルメス。キノは陸をかわいいと言い撫でた。そうしていると王冠があることに気付いた。それをみてあなたは王にならないのかとシズに言った。シズは否定した。

 

   キノはエルメスのエンジンをかけた。シズは次の国まで一緒にいかないかと言ったが、キノは知らない男の人にほいほいついて行かないよう言われてると返した。陸はシズにキノは女だと耳打ちをし、シズはわかったよと言った。2人は別れた。

 

   シズは王冠をかぶり湖の自分の姿を見た。シズは、私はどうすればいいと思うと陸に言った。陸は、私が逆立ちしてもあなたを導くことはできないと返した。シズはそうだねと答えた。

 

 


感想

 

   評判のいい国に来たはずが、いきなりコロシアムに付き合わされるお話。アニメ二期の第一話だけではキノの実力は明かされなかったが、今回のお話でキノは相当な実力の持ち主であることが判明した。そしてキノの旅シリーズ第二の主人公であるシズとの白熱した試合が繰り広げられる。シズは今後のアニメでも登場することが決まっており、今後の活躍が期待される。

 

   王を狙撃する際、キノの声がいつものトーンから女性的に変わったのが印象的だった。これまでキノの声は男性声に寄せている感があったが、大声を出すとなるとやはり声優さんの地の声で張り上げなくてはならないのか。そのため、普段のキノの声からすると少し違和感があった。ただキノはこのお話でも判明するように女性であり、それを汲み取るのならこれもまた正しいのかなと思った。

 

   お話の鍵となるのはアニメ冒頭の「一人で馬車に乗った奥さん」。キノは彼女から素晴らしい国だと聞き国へ来たが、そう言った奥さんはこの国で旦那を失っていた。ならなぜキノにこの国は素晴らしい国だから行くべきだと言ったのか。管理人はそれがよく分からず、その国があってこそ旦那の良心が光ったから程度しか考えが浮かばなかった。だが、アニメ放送直後の自身のニコ生にて、旦那を亡くしたという怨念から、不幸をばらまきたくて嘘をついたのではという意見があった。管理人の考えよりも説得力のある意見だと思った。

 

   記事作成時に本編をもう一度見返してみたのだが、その時に気になったのが物語の終盤、石を湖に投げつけるキノである。水面に映るキノの顔色は暗く、しまいには大きな石までも湖へ投げつけている。その時のキノは何か負の念がこもっており、それを解消するために石を投げていたのは間違いない。その念とは、前述の奥さん嘘に対してや、そうさせるに至ったこの国への怒りだと思う。

 

   アニメ構成的な感想としては、やはりこのお話を一話30分で締めるてしまうキツイと思った。コロシアムの予選では実にあっさりと4人を倒してしまうし、キノが特殊弾丸を作成する際にエルメスが国の歴史を話す場面は、結果的にキノは浅慮のうえで王を殺す決意をしたかのように捉えられると思った。こうなったのは30分という制約上から来ている。原作や旧アニメを見ている人ならともかく、本アニメが初めてという方はお話についていくのがやっとなのではと思った。アニメ開始序盤ということもあり、ついていけないと言う人が出ないか心配である。

 

 

   このお話はキノの旅の鉄板とも言えるエピソードで、原作小説はもちろん、一期アニメシリーズにおいても存在する。こちらは2話構成となっており、その分余裕のあるストーリー展開となる。各対戦相手の戦闘尺も豊富で、対戦相手がなぜ戦うかといった理由や、王の人柄が分かる作りになっている。比較してみると面白い。

 

   比較する際の見どころは2つ。一つ目は、入国時のキノのテンション。今回の二期アニメでは、キノは明らかに立腹した様子だった。そして、これは原作準拠でもある。しかし、一期アニメの方では前述ほど立腹しているようは見えない。だが実を言うと、管理人のようなキノの旅の小説を多く読み慣れている者としては、このテンションこそ自然なキノに思える。キノはさまざまな国を訪れ、さまざまな経験をする。今では21巻にもなっている小説の読み手は、キノの平均となるイメージ像を持っている。その上で改めて小説のコロシアム、つまり二期アニメ準拠の原作話を読んでみると、怒っているキノがとても異質に思えるのだ。

 

   もう一つの比較ポイントは、シズとの決着の瞬間。こちらもやはり原作準拠で二期アニメが作られていた。だが管理人があのシーンを見て、なぜシズが刀を振り下ろすのやめてしまったのかと思った。どうもキノが腰で銃を向けたというのでは、シズを抑えたという説得力がなく、戦いを止めた理由がわからなかった。作中のシズは、動けばやられるということを汗を流して理解しているようだったが、視聴者である管理人にはそう思えなかった。一方で一期アニメの方では決着のつけ方がまるで異なる。シズが刀でキノを切りつける瞬間、キノはカノンをひっくり返し、弾倉の底でシズの刀の柄の底部分を叩き上げる。そして刀がシズの手から離れ遠方へ飛ばされてしまう。これを見れば管理人もすぐに決着がついたのだと理解できる。しかしこちらは原作とは違うのだが。原作準拠の二期とアニメ重視の一期、そう言っていいものか。

 

   ほかにも、今回のアニメではカノンのバレル下のロッドなるものを降ろす描写がなかったり…とにかく、今回のアニメと旧一期アニメを比較してみるとさまざまな違いが浮かび上がってくる。そのテーマだけに限らず、今回のアニメが早すぎて分からなかったという方は、ぜひ一期アニメシリーズの第六話「コロシアム」の前編後編を見てほしい。


   小説版「コロシアム」ページ
   アニメ一期「コロシアム」(前編)ページ
   アニメ一期「コロシアム」(後編)ページ

 

 

 

キノの容姿と装備:茶色のコート・カノン・森の人
エルメスの言い間違い:なし

 

 

[ アニメ2期 ] 16:56 - | comments(0) | trackbacks(0) |2017.10.14 Saturday
キノの旅アニメ二期第三話 迷惑な国 感想(ネタバレあり)

●迷惑な国 -Leave Only Footsteps!-
登場人物:キノとエルメス
本編約20分

小説版「迷惑な国」ページ

 

 


あらすじ


   自然豊かな場所にて、キノは神妙な面持ちをした後、ため息をついた。手には森の人が握られていた。どうするのとエルメス。キノは寝ることにすると答え、ハンモックで寝てしまった。しばらくしてエルメスが鋭くキノを呼んだ。素早くハンモックから寝ころび地面に伏せるキノ。エルメスによると何かが近づいてきたという。現れたのは巨大な壁、国のようであった。

 

   巨大な壁の国に併走するキノ。キノが親指を立ててみると声がして、国が止まった。そこから軽トラックらしき物に乗って、入国審査官兼ねた役人の男が現れた。キノがこれは国なのかと聞いてみると、もちろんそうだと返された。キノは5日から10日の観光と休養を希望した。役人の男によるとこの国は動力炉のエネルギーが余ることを防ぐために移動していること。また国の住人がいろいろな景色を見るのが好きで、それを見るために旅をしているとのことだった。

 

   ホテルの一室でキノは髪を洗った。そして眠りについた。部屋はいわゆるユビキタスで、キノが電気全部消すとしゃべっただけで部屋の照明が消えた。次の日、髪を乾かさなかったキノの髪がすごいことになった。

 

   役人の男に案内され国の最上階に来た。進行方向とは逆の方に、国が歩んだ印である巨大なキャタピラの跡があった。自然を傷つけ進むことはとても心苦しいが、こればかりは仕方ないと役人の男は言った。道の行先にクレーンが見えた。壁に沿って掛かったクレーンの先には幼年学校の生徒達がいた。在学中に最も印象深いものを絵を壁に書くのだという。

 


   急にサイレンが鳴った。別の国を発見した際に鳴るサイレンだった。役人の男が外交をすると言い、キノは見学することにした。キノが来たのは一面にモニターがある大きな部屋だった。そこにはこの国の女性大統領がいた。モニターには移動する国を通せんぼする国が映っていた。通せんぼの国と通信をつなげると、役人の男は平然とあなたの国を横切らせてくださいと言った。通信相手の将軍は当然のごとく猛反発をした。そして通せんぼの国が大砲を撃つが、移動する国はびくともしなかった。役人の男と女性大統領はやれやれと言った様子だった。

 

   移動する国の前に城壁が立ちふさがる。すると移動する国は巨大なレーザー兵器を用い、城壁を切り開いた。平然と移動する国。呆然と見守るしかない通せんぼする国の将軍達。将軍は怒声をあげ抗議した。将軍は正論を述べたが、キノは聞かなかったことにした。国の中を移動する国。すると子供達の壁画がミサイル攻撃を受けていると報告が入った。なんとかしたいがレーザー兵器では威力が大きすぎる。そこでキノは、パースエイダーで狙撃すると名乗り出た。

 

   キノは狙撃銃であるフルートを用い、敵ジープのミサイル誘導装置をスコープで捉え、見事な腕で狙撃した。しかし、その反動からか放たれたミサイル2つがキノに迫った。キノは1つをスコープ越しに狙撃し爆破、さらにもう一発もギリギリで撃ち落とした。それを見ていた住人達が歓声を上げた。

 

   キノが出国する際、役人の男と話した。これだけの力があれば他国を支配するの簡単でしょうねとキノ。それも出来るが今の生活で十分幸せだと役人の男。それでも移動は続けるのと聞くエルメスが聞くと、どんな人間や国でもある程度他者に迷惑をかけながら存在していると言われた。

 

   出国しエルメスを走らせるキノ。うまくいったねとエルメス。キノは以前通せんぼの国で、森の人を差し出せと言われたことを思い出した。あの通せんぼの国はわざと平原部を城壁で封鎖し、通行人から金品をふんだくっていたのだった。移動する国はこれからどこへ行くんだろうとキノ。しばらくしたらキノがライフルを構えている所が壁画になるとエルメス。それを聞き、はずかしいかなとキノ。迷惑?とエルメス。それほどでもないかなとキノは締めくくった。

 


感想


   巨大な国が移動するという迷惑な国と、さらにキノを通せんぼしたもう一つの迷惑の国のお話。キノが物語冒頭で困っていたのは、通せんぼの国で森の人を差し出せと言われた為であった。そして現れたのが移動する国であり、キノは三日間ルールを曲げてこの国に滞在。目論み通り通せんぼする国を通り抜けた。

 

   アニメ化により移動する国が映像化。まるでバケツをひっくり返したような巨大な国であった。小説版を読んだ管理人のイメージでは、ケーキのようにそこそこ平べったい国をイメージしていたのだが、アニメではバケツような縦長でずっしりとした異様な国であった。

 

   国のギミックであるキャタピラやレーザー砲も映像化。キャタピラに関してはあの程度のキャタピラ数で国が持つのか疑問だった。レーザー砲に関してはさすがの威力を見せ付けてくれた。あれほどの物が撃たれたのだから大爆発が起きるかとも思ったが、必要以上の犠牲者をでないようにするため、そのようなことは起きなかった。

 

   国の内側でもさまざまな物が登場したが、それらがとても現代的に感じた。各所に出てくる車は現代にもありそうなものだったし、各所を撮影する浮遊カメラはドローンを思わせ、それを教師の持つタブレットが映していた。

 

   終盤に役人の男が、みなある程度他者に迷惑をかけながら存在していると言った。それ自体は正論なのだが、この国に対してもそれを適用できるのかはなかなか疑問であった。

 

 

   小説違う点については、最初に国と遭遇した際に聞こえた声が、アニメではおそらくスピーカー越しで聞こえたのに対し、小説ではなんらかの技術でキノの近くから聞こえていた。さらに、アニメで登場したドローンのようなカメラは小説では登場しなかった。


   アニメ放送後の自身の放送での指摘で分かった事について。キノが最後にミサイルを狙撃した際、スコープなしで狙撃したようだった。これはそれ以前の描写がスコープ視点の後に命中シーンとなっているのに対し、最後の狙撃に関してはその流れがなかったためである。ここでもキノの凄腕が光った。

 

   作中、通せんぼの国の将軍がこう唱える。「あなた方は自分達の恵まれた環境をこれ以上なく悪用している。踏みつぶされる他の国、他の人々の迷惑や被害、悲しみを考えないのか。そのような人として最低限必要な考えすら持てないのか」。アニメでは怒声のままにこの台詞が発せられたが、管理人のイメージとしては怒りが込められつつも声を押し殺したイメージであった。また、これも自身の放送での指摘で気付いたのだが、この台詞は通せんぼしている自身の国に対しても同じことが言えるのだった。この点は気付かなかったので、なるほどと思った。

 

   小説版「迷惑な国」ページ

 

 


キノの容姿と装備:森の人・フルート・黒いジャケット
エルメスの言い間違い:なし

 

[ アニメ2期 ] 04:34 - | comments(0) | trackbacks(0) |2017.10.21 Saturday
キノの旅アニメ二期第四話 船の国 感想(ネタバレあり)

●船の国・渚にて 旅の始まりと終わり -On the Beach-
登場人物:シズと陸、ティー、キノとエルメス
本編約20分
小説版「船の国」ページ

 

 


あらすじ

「船の国」
   海に浮島のような「船の国」が浮かんでいた。さらに沖を見渡すと交易がおこなわれていた。それらを見渡したシズは、船の国に乗り込み海を渡ることを決意した。

 

   船の国に入ったシズと陸は、この国の指導者達に謁見した。指導者達はみな黒装束で大きな帽子をかぶり表情は伺えなかった。滞在にあたりシズは指導者側で働くこともできたが、一般住人の元で暮らすことした。国の様子はむきだしの鉄だらけで、みすぼらしそうだった。一般住人の長老に会ったシズは、国の案内役としてティーを紹介された。ティーは終始無言であった。

 

   シズ達はティー国を案内してもらった。国は鉄だらけであったが、人の活気はあるようだった。滞在を始めて何日か経った折、激しい揺れと音がした。だが住人達は全く動じていなかった。この事についてティー聞いてみると、ティーは浸水している場所、そして国の設計図がある場所に案内してくれた。シズは設計図を手に、ティーに破損個所を指さしてもらった。陸の数えではそんな箇所が143ヶ所あるようだった。これらは放置されるらしく、このままでは国が崩壊するという考えにシズは至った。

 

   屋根がないところへ出ると、雨が降っていた。雨から守るためティーを自分のパーカーらしきの中に入れると、ティーは止まって目をつむった。ティーが雨の音が気に入ったということで、シズもそれに従って一緒に雨の音を聞いた。

 


   シズはこの国の状況について長老に聞いてみたが、長老は塔の指導者まかせで意に介せずだった。無表情で道を歩くシズ。すると、ティーがシズの手を取って歩き出した。向かった先は城壁の上で、きれいな夕焼けが見えた。息抜きが出来たと感謝すると、シズは背後の街並みを見渡し、最後にティーに視線を向けた。その表情は何かを決意したようだった。

 

   シズは刀を手に取り、ティーに部屋で待つように言った。だがティーが無言でついてきた。指導者達のいる塔に来たシズ。すると止まれと指導者の声が聞こえた。シズは指導者にこの国について問い詰めるが、どうなってもそれが運命だと片づけられてしまった。

 

   お考えよく分かりましたと言い、シズ前へ進んだ。すると目の前のシャッターが開き、ショットガンを持った黒装束が立ちふさがった。ゆっくり近づいていくシズ。ついに黒装束がショットガンを撃った。それを避けるシズ。次の瞬間、黒装束は持っていたショットガンをシズに投げつけた。それを刀で弾くシズ。すると黒装束はリヴォルバーをシズに向けていた。刀が後方にある状態でそうされてしまいシズの動きが止まった。驚いたなとシズ。それを聞いてボクも驚きましたよと声がした。黒装束を脱いで現れたのはキノであった。

 

   戦いが止まったのを見た指導者は両者が仲間だったのかと言い、国の針路を変えたと宣言。あなた達は死ぬまで民と暮らすがいいと言われてしまった。キノはやむなくシズと共闘し、指導者達を倒して進んだ。陸とティーはそれについて行った。その最中、手榴弾とナイフがティーの視界に入った。シズとキノは指導者達のリーダーらしき者を追い詰めた。リーダーは、この国の王になるつもりかとシズに尋ねた。必要ならとシズ。するとリーダーは「いいだろう、次はお前だ、そして一緒に生きろ」と言うと、意識を失ったかのように体を倒した。その体は人間ではなく機械だった。

 

   船の国を陸地に付かせた。キノ達とシズ達は陸に上がった。すると長老がシズに事情を尋ねてきた。シズはこの国の危機を教え、そのために指導者達を排除したと言った。しかし住人達はそれでも住み慣れた自分達の国へ帰って行った。失敗した、ティーも国に戻るといいとシズ。それを聞いてティーがシズに近寄ると、ナイフでシズの腹を刺した。ティーは「わたしにもどるところなんてない」と言った。一同が緊迫するなか、エルメスがティーとこの国について喋り出した。

 

   ティーの本名であるティファナはもとは船の名前で、その船が600年前、放棄され無人の「船の国」にやってきた。船には子供しか乗っておらず、大人達は疫病で死んでいた。そして子供達はこの国に住み、現在の住人達の先祖となった。さらにティファナ号で子供達を導いていた人工知能が、「船の国」移住に伴い黒装束の指導者達に成り代わった。シズが最後に指導者達と対峙した際のセリフは、それを汲みとったものだった。

 

   そしてティーはこの国に来た旅人の捨て子だった。結果的に親代わりだった指導者達を殺してしまったシズは、ティーに謝りこれから一緒に助け合っていこうと言った。ティーは沈黙の後にありがとうと言った。そして出血の末シズは倒れた。それを見たティーはおいていかないでと呟き、手榴弾を取り出した。心中する気だとエルメス。キノは素早くティーが手にしていた手榴弾を狙撃し弾いた。

 

 

「渚にて 旅の始まりと終わり」
   手当を受けたシズはキノに礼をし、またどこかでと言った。ボクが旅を続けていれば、あなたの住む国に辿り着くと思うとキノ。その時は心から歓迎するとシズ。

 

   エルメスを走らせるキノ。将来またあの人とあったらとエルメス。それに対しキノは言った。あの人は―死ぬほど驚くかもねと。

 

 

感想

 

   シズとティーが親睦を深めるも、悲しいすれ違いを引き起こしてしまったお話である。シズはいつも通り、その正義感のままに行動し国の指導者すら倒した。その傍らで無言なティーにも気を使っていた。しかし、ティーには秘密があった。そして結果的にシズの行動が裏目に出てしまった。とても悲劇的な話だが、言ってくれればと思ってしまうのは浅慮なのか。

 

   CMに入った際、もうAパート終了なのかと驚いた。それもそのはずでこのお話の原作では約120ページ(単行本の約半分)となっており、長編ゆえに一話で済ますには尺がまるで足りないはずである。そのためアニメではテンポが速すぎで、圧縮された内容を理解しようとすると一瞬でAパートが終わってしまった。これは本アニメにさまざまな悪影響やもったいない点を生み出していると思う。

 

   アニメ化という事で国の街並みが映像化されたが、どうも印象に残っていない。やはり尺の都合でストーリーが圧縮され、街並みをゆっくり眺める時間がなかったゆえだと思う。だが、各所で挟まれる国の様子は鉄を主体としたとても細かい描写となっており、クオリティが高い。また、小説では黒装束とだけ書かれていた国の指導者達だが、映像化したものを見てみるとなんとも変わった魔法使いのようになっていた。

 

   シズとティーが一緒に雨音を聞くシーンがあるが、その導入がどうも唐突で不自然に思えた。雨が降り始めたと思ったらシズ達がいきなり外に立って雨に打たれていたので、シーンの前後の流れに不自然を感じた。これも尺がないゆえに発生したと思う。さらに小説版ではここで、陸はパーカーらしきものに入れさせてもらえず、結局濡れるしかなくなってしまうというクスリとする場面なのだが、当然のごとくカットである。

 

   シズ対キノの対決もすぐに終わってしまう。そしてあまりにも早とちり過ぎる指導者達だがこれも尺ゆえとしか思えず。小説版では勝負はもっと長く、しまいにシズはキノにゴム弾で撃たれ倒されてしまう。しかし、よくよくアニメを見てみると、シズ対キノの決着シーンはどうやらコロシアムの決着シーンを再現しているように思える。シズの構えの段が違うものの、キノが抜いてシズが動きを止めているのはコロシアムと同様である。その流れがあり、再戦を匂わせてから黒装束がキノだと判明する流れは良いと思う。

 

   船の国が陸に辿り着きシズが住人達を強く説得するシーン。これは個々の視聴者の解釈によるが、管理人が見た限りだとシズは住人達が陸で住むものだと確信していた様に思える。そして思い通りにはいかなかった。これを視聴者がシズの浅慮の行動とだと捉えられないか心配である。小説だとシズは自分の行動が無駄で、自滅するとはいえ住人達は元の生活望んでしまう可能性があることを考慮していた。

 


   そして、今回一番気になったのがラストのティーの口調である。アニメでティーはシズにナイフを刺した後にすぐ「わたしにもどるところなんてない」とトーンの低い口調で言う。しかし小説のティーはナイフを刺した後も無言で、エルメスのネタバレの末ついに「わたしにもどるところなんてない!」と感嘆符付きで発する。その台詞の後の文章には"その高く澄んだ声が、ティーのものであることにすぐには気づかなかった"とまである。次々と重大な事実が判明する中でついに言葉を発したティー。だが、どうもアニメではあっさりし過ぎていた。その後シズが出血で倒れた際も低いトーンの口調も変わらず。こちらも小説では何度も叫んだと書いてあった。このようにティーの口調に関しては大きな違和感が残った。

 

   その他、小説を読んでいると分かるこぼれ話。作中陸が子供達に顔を揉まれる際に「この顔は生まれつきです」と言うが、これは小説における物語開始時の定例文であり、使うタイミングがないためかここで使われている。ほか、国が揺れたときからシズはパーカーを着ているが、小説を読んでいる者からすると、シズは常に緑のセーターを着ているという印象があり新鮮である。あと、夕焼けの城壁にてティーが携帯食料を食べているが、これは旅人に評判の悪い携帯食料をティーがとても気に入ったゆえである。

 

   とにかく、今回のお話は過去のコロシアムの回と同様、尺が足りなくて詰め込み過ぎた印象がある。それゆえにエルメスのネタバレシーンも悔しく思う。原作を読んでいる身としては話の顛末が分かり切っている分、ネタバレを要する尺がもったえない。その尺を別の事に使ってほしいのだが、アニメ初見の人からすればこれがないと話が理解できないのでやむを得ない。

 

   今回のアニメでは管理人は節々に違和感を感じた。みなさんはいかがだったろうか。ペースが速すぎる点も含め、それらを解決するにはやはり原作小説がかかせないと思う。小説未読者の方はぜひ原作を手に取っていただきたい。

 

   小説版「船の国」ページ

 

 

 

キノの容姿と装備:黒装束・黒いジャケット・借り物らしきショットガン・カノン
エルメスの言い間違い:結果到来→正:オーライ

 

[ アニメ2期 ] 05:24 - | comments(0) | trackbacks(0) |2017.10.28 Saturday
キノの旅アニメ二期第五話(その1) 旅人の話 感想(ネタバレあり)

●旅人の話 -You-
登場人物:キノとエルメス
本編約10分

アニメ次話「嘘つき達の国」ページ

 

 

 

あらすじ

 

   キノは故人である英雄の記念館の前にいた。その英雄とは元旅人で、古い制度を打ち倒し初代大統領となった立派な人物だそうだ。記念館の一室には彼が旅人だった頃の物が展示されていた。


   まず紹介された物はスコップだった。案内人の女性によると、彼は花を愛する人で旅の最中に花の種を撒いた、きっとそうに違いないと言った。だがエルメスはそれを、トイレ用のスコップだよねと言った。言わなくていいとキノ。次に紹介されたのは彫刻入りのナイフだったが、キノ達はそれがどこかの国で安く売っていた「ザ・幸運ナイフ」であることを知っていた。そんなことは露(つゆ)知らず、案内人の女性はこの部屋にある物は英雄の偉大さを表すものばかりだと言った。


   奥の部屋には英雄が乗っていたモトラドが展示されていた。このモトラドは整備され、彼の偉業の証として永久に保存するそうだ。このモトラドもエルメスのように喋れるようだが、英雄が死んでしまってからは寂しいせいか喋らなくなってしまったのだという。


   キノとエルメスだけなら何か言うかもということで、案内の女性に外してもらった。しばらくして、擦れたような声で「…いいね」とそのモトラドが喋った。「いいでしょ」と返すエルメス。そのモトラドは、走るために存在するモトラドの本分を遂げられず嘆いており、ここは地獄だと言った。ここから連れ出してほしいとモトラド。それは出来ないとキノ。ならボロボロになるまで壊してほしいとモトラドは言うが、そうすればボロボロになるまで住人に叩かれるとキノは断った。モトラドは残念そうに「そうか」と言い続けた。


   出国しようとするキノ。すると少年がキノに駆け寄ってきた。少年はキノにどうやって旅を初めたのかと聞いた。その動機についてキノは名言を言った。少年は、両親からは宿屋を継ぐように言われているが旅人になりたい、僕も同じ方法で旅人になれるかと聞いてきた。わかりませんとキノ。だがそれに付け加え、記念館にあるモトラドについて教えてあげた。


   キノは出発した。それを見送り「かっこいいな」と少年は言った。

 

 

感想

 

   持ち主が英雄として死んでしまった故に退屈するモトラドだが、最後に希望が見えたお話。キノは問題のモトラドに助けを求められて際、あっさり協力を拒んでいるが、それを気に留めていた故に少年に希望を託した。キノは基本的に込み入った事情には不介入であるが、完全に非情というわけではない事が分かる。


   今回の第五回放送の構成は今までと違い、最初からOPで始まった。そしてAパートが始まるとタイトルが伏せられたままお話が展開し、Aパート終了間際でタイトルが「旅人の話」だと明かされた。実際予告されていた「嘘つき達の国」はBパートからだった。なので原作を知っていた管理人としては、アニメで全く知らない展開繰り広げられるものだから困惑した。そしてAパートの最後でようやくタイトルが明かされ、ようやく別の話だと理解した。結果的に前知識のない新鮮な初視聴となった。

 

 

   記念館をエルメスをひいて歩くキノだが、3DCGの活用がうかがえた。これまでもエルメス走行時は3DCGだったが、今回は歩くシーンでの活用ということで珍しかった。今回は見た目で3DCGだと分かったが、別の場面や別のアニメでは、絵を動かしていると思いきや3Dだったなんてことがあるかもしれない。いずれにせよ3D技術の発達で、以前よりも3Dがアニメにだいぶ馴染んできたのではと思う。まあここ最近はアニメはキノの旅しか見ていないだが。


   今回は珍しくエルメス以外で喋るモトラドが登場した。キノの世界ではモトラドのほかにもシズに控える犬の陸がしゃべり、それを人々は自然に受けれている。だが、主要キャラ以外でしゃべるモトラドや犬は全く出てきておらず、今回のモトラドは非常に珍しい。またキノはエルメス以外でモトラドを見たのは初めてだと言う。モトラドが登場する回と言えば「旅の話」にてモトラドというかバイクが登場しているので、少なくともこの話以前に今回の話があったと分かる。あとモトラドの声が擦れていてとても印象的で、その声色から彼の失望が伝わってくる。


   お話の最後には旅を夢見る少年が登場。宿屋の子供、持ち主を必要とするモトラドなど、キノの旅立ちのケースと似通っているところが面白い。そしてキノのアドバイスも素晴らしい。キノの名言「誰からも命令されなかったのに、それをやりたいと思えるから、かな」。己がただ自然に漠然とやりたいと思ったことをした。この難しい時代、それこそが人間の生きていく活力となりうるものだと気付かされる名言である。

 

 

   今回のタイトルは「旅人の話」であるが、このタイトルのお話は原作単行本小説には存在しない。なので管理人はアニメオリジナルの回だと思ったのだが、そうではなかった(自身のニコ生放送にて知らなかった管理人に教えてくれた方へ感謝)。あくまで原作単行本小説に存在しないのであって別の形で原作があった。詳細については下記のリンクを参考にしてもらいたい。

   ウィキペディア「キノの旅」テレビアニメ第1作・劇場アニメ項目:https://t.co/pYRAo1mDys

 

 アニメ次話「嘘つき達の国」ページ

 

 


キノの容姿と装備:茶色のコート
エルメスの言い間違い:なし

 

[ アニメ2期 ] 04:16 - | comments(0) | trackbacks(0) |2017.11.04 Saturday
キノの旅アニメ二期第五話(その2) 嘘つき達の国 感想

●嘘つき達の国 -Waiting For You-
登場人物:キノとエルメス
本編約10分
アニメ前話「旅人の話」ページ
小説版「嘘つき達の国」ページ

 

 

 

あらすじ


   城門が開くと目の前には鬱蒼した森が広がっていた。そして、おーい旅人さんとキノを呼ぶ男の声がした。駆け寄ってきた男はキノに、僕の恋人を知らないかと聞いてきた。男の恋人は五年前にいきなり旅に出てしまい、ずっと待っているそうだ。すると後ろから家政婦の女性が現れ、彼に寄り添った。

 

   外が雨の中、カフェらしき場所で住人達とお茶を飲むキノ。キノがキャタピラの話をした後、住人達に何か聞きたいことがあるかと言われた。そこでエルメスが男の事を聞いた。すると一同が顔を伏せた。彼は可哀想な男だと言い、彼の友人だった男が事情を話し始めた。

 

   この国は過去に横暴な王が治めていたが、五年前に革命が起きたそうだ。当時は男と一緒に警察官をしており、同時に革命の主要メンバーだった。一方で男には恋人がおり、とても仲が良かった。しかし革命の直前、死ぬかもしれないということで男は恋人に無理やり別れを告げた。そして革命は成功。しかし彼は王家の車に爆弾を投げつけた際、そのせいで死んだ恋人を目の当たりにした。恋人は実は王女で、お忍びで城下に来ていたのであった。

 

   男はそれを知って耐えきれなくなり、頭がおかしくなってしまった。そして彼女はどこにいったのとしきりに聞くようになった。みかねた医者は、あなたの恋人は旅に出てしまったが、必ず帰ってくると嘘をついた。そして今のようになったのだという。新政府は彼のために家と世話人を雇ったが、世話人はどの人も長続きしなかった。だが国の外で生き倒れ寸前の旅人の女性を発見、事情を知らないということで雇い、それ以来ずっと家政婦をしてもらっているそうだ。しかし男の状態は一向に改善せず、一生現れない恋人を死ぬまで待つだろうとの事だった。

 

 

   キノが森を走っていると、家政婦の馬車の車輪がぬかるみにはまっていた。キノはそれを助けると、家政婦はお礼という事で家に案内した。キノが男とお茶を飲んでいると、家政婦がエンジンの音がしたと言った。男はすぐさま駆け出した。すると家政婦はしばらく彼は帰ってこないだろうと言い、真相を語り始めた。革命が起きる前の事。スパイからの情報で革命が迫っていることを知った彼女は、男に接触し信頼できる情報を父に届けた。でもその過程で本当の愛が芽生えたのだという。しかし突然男が振ってきたことから革命決行を察知。身代わりが死んで自分達は生き残ったそうだ。

 

   彼女は逃げおおせたが、男が病んでしまったことや世話人が必要とされていることを知った。そして悩んだ末にこの答えを出した。彼女は男と再会した際に言われたのは「彼女が帰ってくるまでよろしく」だった。それについて彼女はとても嬉しかったと振り返る。男は今でも私を待ってくれており、そのうえで傍にいられるからだと言う。そしてこれからも続くであろう生活に、彼女ははっきりと幸せですと答えた。違ったよと男が帰ってきた。いつ彼女は帰ってくるのだろうと男。いつか帰ってくると家政婦。忘れらているのが怖いんだと言う男に彼女は忘れらてなんかない、決してと言った。

 

   キノは出国した。それを見送る2人、と男がエンジンの音がしたと言って城門の外へ出て行った。キノが振り向くと、後ろから門番を押し倒して男が走ってきた。そして男は言った。これでいいんだ、私は幸せだと。キノは男が正気であることを察知し、エルメスはここの国の人達はみんな嘘つきだねと言った。両者は別れを告げ、キノは出発した。

 

 

感想


   みなの優しい嘘が積み重なっていたお話。頭がおかしくなってしまった男のため、住人のみなが優しい嘘をついた。だが恋人の王女は嘘をつき男の傍らにいた。そして最後には頭がおかしくなってしまった男までも嘘をついていることが判明した。嘘が現状の幸せを作り上げたというなんとも感嘆するお話である。誰かが本当のことを言ってしまうと今の幸せな生活が崩れてしまう。そのためにみなが嘘を守っていたのだった。

 

   彼女はこの生活を幸せだとはっきり言い、男もこれで幸せだと言う。だが管理人としては、目の前に好きな人がいるの関係を持てないというのが、なんともきつい。彼らを不幸と思えないが、管理人には耐えられそうにない生活である。あとこの感想は今回アニメを見て思った事であり、原作小説を読んだ際にはこのように思わなかった。これは、ストーリー展開が同様なのに感じ方が異なったという不思議な点である。やはり、アニメ化ということで絵と声が具体的に挿入され、それ故に感じ入ったのではと思う。

 

   最後のシーンで男が嘘をついている者達を言及するが、その際に「王家のスパイだった友人」と言う。これは自身のニコ生放送において指摘され気付かされたのだが、どうやらアニメにおいて過去の話し手をした友人が、裏でさまざまな暗躍をしていた様である。これは今回のアニメや原作小説でも直接言及はされないのだが、先の台詞により友人が王家のスパイであることは確定であり、革命側だと思っていた友人が実は王側だったということや、そこから察するに王女である家政婦を手引きしたのでは等の想像が膨らむ。

 


   その他こぼれ話。男の声優が石田彰さん。きっと人気声優で管理人はガンダムSEEDで知り、それ以来でもさまざまなアニメで活躍している。またネタキャラを演じる印象が強いせいか、石田さんが声を担当しているだけで少しクスリと来る。今回はキノの旅に登場ということで、意外に思う登場で嬉しいサプライズであった。

 

   入国した後キノはカフェに行き住人達と机を共にするのだが、この構図が原作の別のお話である「ホラ吹き達の話」のシチュエーションに似せているのではと思った。男女四人がともに机に座るという点と、キノがキャタピラの国=迷惑な国について話したという共通点がある。原作のタイトルも今回と似通っているのであえて取り入れたのかなと思う。

 

   過去の回想シーンは影絵を用いたアニメとなっている。こういった回想の表現は、現実に沿った描写である必要がないため製作者の自由な表現となって面白い。まあ管理人が思い当たるのは洋画なのだが、「ハリーポッター」のどこかの回での回想アニメや、「マン・オブ・スティール」でのスーパーマンの故郷の歴史を表すアニメが印象的である。


   感想の締めとして、「嘘」について管理人が思う事。現実世界において管理人も含むみなが多少なりとも嘘をつきつつ生きていると思う。だが、管理人は嘘をつかないよう心掛けている。その理由は「嘘」が疲れるためである。嘘をつくためにありもしない設定を考えなくてはいけないし、それに沿って話に整合性を持たせなければいけない。それにうっかり嘘を忘れてしまうと、そこから相手に不審に思われてしまう。そのため「嘘」をつくのは大変コストがかかるということだと思う。他人から嫌われたくないと思う管理人は、それゆえに嘘をつかないよう心掛けている。

 

 アニメ前話「旅人の話」ページ

   小説版「嘘つき達の国」ページ

 

 

 

キノの容姿と装備:茶色のコート
エルメスの言い間違い:なし

 

[ アニメ2期 ] 12:34 - | comments(0) | trackbacks(0) |2017.11.04 Saturday
キノの旅アニメ二期第六話 雲の中で 感想(ネタバレあり)

キノの旅アニメ二期第六話 雲の中で 感想
●雲の中で -Blinder-
登場人物:キノとエルメス、フォトとソウ
本編約20分
小説版「雲の中で」ページ
小説版「雲の前で」ページ​

 

 

 

あらすじ

「雲の中で・b」
   一面の白い世界に、キノとエルメスはいた。ほんの少し知っていれば良かったんだとキノ。厳しいねとエルメス。知らなければどうしようもない、ボクは知っているのかなとキノ。さあねとエルメス言い、さらにもうすぐ晴れるねと言った。雲に覆われていた辺り一面が晴れた。

 


「雲の前で -Eye-opener-」
   雪山も見渡せる山岳地帯。一部で草が茂る荒野に、商人の一団がいた。そこでは元気な子供達がいて、奴隷をからかったいた。奴隷は髪の長い少女であった。彼女は自身につながれた鎖で転んでしまった。それを見た男がとっとと運べと命令した。

 

   かまどの用意をする奴隷の少女を男二人が眺めていた。彼らは使えない奴隷をなんで手に入れたのかという話になった。先の国は宗教国家であり、どんな時でも人を信じなければならないという戒律があったそうだ。そして自分達はその国で商売したが、支払いが足りなかった。そこで国長が少女を差し出したそうだ。話を聞いていた男が笑い、少女に嫌味を言った。少女は言葉を返さないでいると、その態度が気に入らなかった男が少女に当たった。しかし少女は人を憎んではいけないという戒律を信じていた。それを聞いた男達は呆れかえった。

 

   食事に使える草が採れたので、少女はそれを洗わされることになった。洗っている最中、少女は頭に何かをよぎったが、思い出そうとして怒声に遮られた。再び男達が少女を見て、自分達は運がいいから商人として自由に生きていけるが、奴隷には運がなかったとしゃべった。言った男いわく爺さんから教わった言葉だそうだ。ほかにも食べ物の好き嫌いはするなと教わったそうだ。

 

   食事ができた。少女はスープの傍らに生えていた草を見て、スープに入ったこの草が毒草であることを思い出した。食べたらだめだと言ったが、小声で商人達には届かなかった。そして商人達は食べてしまった。少女は言い出せなかった自分を責め涙を流した。そして自らも毒を飲み死のうとするが、それを頭領の息子が投げた石が遮った。少女の行儀が悪いから息子は投げたそうだ。それを聞いて両親は褒めた。そして食事に戻ろうとする息子に、この食事には毒が入っていると少女は叫ぶが、別の男から石を投げられて気絶してしまった。

 

   気が付くと、息子がしゃべっている光景が目に入った。奴隷を自分に売ってくれないか、そしたら戦える立派な男になるために殺すのだそうだ。それを聞いた父親はいいだろうと言った。自分がしたことを思い出した少女は絶叫した。ずっと絶叫した。まるでサイレンのようだった。黙らせろと頭領は言うが、指示した仲間が急に倒れた。それを皮切りに皆が口から泡を吹いた。

 


   みな倒れあたりが静かになった。そんななか一人がうめき声を上げていた。それは運のくだりを話していた男だった。何が起きたと聞かれ少女は草に毒が入っていたと伝えた。男は野菜が好きでなく、あまり食べなかったため生きながらえていた。男は少女が無事なのを確認し、少女があの時豪快に食べようとしていたことを思い出した。それを聞いて少女は一瞬だけみんなが死んでもいいと思ってしまったと泣いて叫んだ。そしてこうなったのは自分のせいであり、そんな自分を殺してほしいと言った。

 

   それを聞いた男は近くにあったライフルを手にし、それを少女に持たせた。ついでに少女を繋いでいた鎖の錠を外した。そして少女に人差し指を引き金に沿えるよう指示をした。すると男がいきなり銃口を自分の腹に引き寄せ、そのはずみで少女は引き金を引いた。銃声がし、男は自らの腹に銃弾を受けた。自らの意思で死んだ男に対し、どうしてと少女は聞いた。いつか分かると男は言い残し、死んだ。

 

   「いぃや〜、お見事だ」。唐突に声がした。声の主はトラックの中にいたモトラドであった。落ち込む少女をよそに、久しぶりに外へ出れたことを喜ぶモトラド。少女は自分を人殺しだと悔やむが、モトラドは最後の男は自殺で毒草は連中のポカだと軽くあしらった。自分が言っていればと少女は悔やむが、あの連中がやめたとは限らないとモトラド。そして、どっちにしと連中は運がなく、おまえにはあったとモトラドは言った。どうやったら私は死ねるのという少女に、生きればいつか死ぬと諭した。そしてトラックの運転を教えてやると言った。

 


「雲の中で・a」
キノがスコープ覗いていた。死んだ商人達が見えていた。そして足元にあった草を見て、この草は高いところに生えているものは毒があると言った。それで全滅かとエルメス。あまり見たくない光景だなとキノ。目をつむればとエルメス。と、辺りを雲が覆った。

 


「あの日から -Since I Was Born.-」
ある家で、モトラド思い返す。あいつほど数奇な運命をたどってきた人間を知らない。孤児になって、奴隷になって…金持ちになって、今カメラマンをやっている。あの出来事のあと、国に辿り着いた少女はすべてを打ち明けた。そして幸運なことに移民として受け入れられた。その後カメラマンになった少女をみながフォトと呼び始めた。家にフォトが帰ってきた。「ただいま、ソウ」とモトラドの名前を言い、素敵な笑顔をする少女。呼ばれたソウは「あいよ、フォト」と返した。

 

 

感想

 

   過酷な人生に直面する少女フォト。その跡地をキノが訪れるお話。奴隷としてフォトは非道な扱いを受けるが、それでも彼女は国での教えを守り、人を憎んではいけないと信じていた。しかし、みなの運命を左右するかもしれない局面で、ついにフォトは躊躇したのだった。フォトはそのことを後悔するが、それを諭したのはモトラドのソウであった。ソウはみなの運命を決めたのは運だと結論付けた。

 

   あえて、フォトは悪いのかを言及してみたい。フォトの台詞を使うのであれば「自分のせいで死んだ」。しかし、これは大雑把な見解に過ぎない。フォトは何をしたか、細かく分析していくことで「自分のせいで死んだ」という言葉とはかけ離れた真実が浮かび上がる。フォトは教祖様に売られた。奴隷として非道な扱いを受けた。みなが食べる直前で毒を思い出した。一瞬躊躇し声がでなかった。それらが真実である。そしてソウが言うよう例えフォトがみなを止めていても、信じてくれたとは限らないのである。さらに運もあり、商人達の運命すべてをフォトが握っていたとは言えない。だから、フォトがすべて悪いとはまったくもって言えない。「自分のせいで死んだ」という台詞からかけ離れている。さまざまな要素が絡んでみなが死に、フォトが生き残ったのである。

 

   フォトは故郷の「人を憎んではいけない」と教えを隠れていた目をひん剥いて言ったが、男達はそれをあざ笑った。では、我々が生きる現実世界においてはこの言葉は通じるであろうか。それは人によると思う。対象の人間が恵まれた環境で生きているのであれば通じそうだ。だが内戦下の人にそれを言っても通じるとは思えない。つまり、世の中には正しいと思える格言があるが、それぞれば万人に通じるとは思えないのである。もし管理人が誰かの悩みの相談に乗るときは、一人一人に合った言葉を見つけ出したい。

 

   アニメ化に伴い再発見した点としては、最後に死んだ男の存在である。小説ではその存在を明確を想像できなかったので、あやふやに済ませていた。だが、爺さんから好き嫌いするな最初に教わった男が、好き嫌いをした故に少し生きながらえたことを、アニメを見て気づいた。やはり映像化されれば誰が誰なのかすぐさまわかり、それゆえの分かり易さが生まれる。またそれを踏まえてアニメを見返してみれば、例の男の少女の扱いはあながち悪くなかった事など、小説では補完できないドラマが浮かび上がってくる。

 


   どうも管理人がアニメの感想を語る際、尺が足りないと毎度のように言ってしまう。今回も細かいところでそう思ってしまった。まず冒頭のキノだが、開始早々脈絡もなく台詞を矢継ぎ早に語りだしたので少し不自然に思えた。そして、一番に気になったのが今回最大の局面、フォトが毒を食べようとしている商人達を止めようとする場面である。ここでは商人達が毒を口にするシーンがスローモーションで流れるが、ここはフォトが言い出すか言い出さないかを、長い時間かけてみせてほしかった。アニメではやけにあっさりと流れてしまった感がある。ここに長く尺を取ることで、いかに重要な場面かが引き立つはずである。

 

   あと、アニメの表現についても一部疑問が残った。フォトは草を水であらうのだが、小説では雪解けで冷たい水と記述されている。だがアニメではそれを思わせる表現力が乏しかった。また、フォトにあてがわれたスープの量についてだが、小説は多くない量と書かれてしてるのに対し、アニメでは多そうに思えた。まあ文句ばかり言っているようだが、それ以前に山々の背景美術は繊細で素晴らしいし、食事のスープはとても美味しそうだった。当たり前すぎて目立たないが、その表現力は高く評価しなくてはならない。

 


   今回のキノ登場はわずかでフォトとの遭遇は叶わない。そもそも特異なのが、本作の原作小説でのあつかいである。まず題名の「雲の中で」だがこれは小説第三巻で明かされた。しかし本編であるフォトのお話の「雲の前で」は明かされたのが小説十二巻で、だいぶ期間を明けてからの登場だった。

 

   ほかにもアニメの最後であっさりカメラマンになるフォトであるが、その経緯は原作小説でしっかり語られている。簡単に要約すると、あの後トラックで走り出した両者は、長い日時の走破の末にある国にたどり着く。ソウはこの世界の厳しさを知っており、隙を見せれば喰われてしまうのでどうしたものかと考えていたが、そんな不安をものともせずにフォトは全ての真実を打ち明けた。しかしそれが良い方向に働き、国の移住が認められた。さらにトラックの物もフォトの所有物であると認められ金持ちになった。そんな中、あるものだけは売らないようにとソウは指示していた。それがカメラであり、そのカメラを使いフォトはカメラマンになった。

 

   要約するとこうなるが、もちろん長い文章をかけてこれら経緯が語られる。当然原作を読んだほうが楽しいので、未読の方やフォトとソウの今後が気になる方はぜひ原作をご購入願いたい。フォトの後日談は小説15巻の「フォトの日々」より始まり、以降全巻で触れられる。キノの旅の非情な物語とは打って変わり、和やかなカメラマン生活が語られる。小説21巻を経てもキノとの遭遇は叶わないが、小説17巻ではシズと遭遇していたりと見所盛りだくさんである。


   その他思ったこぼれ話。モトラドの演技を緒方さん実にはつらつと快演していること。これはアベマTVでエヴァのCMが流れるものだからより一層感じられる。あの悩む少年役の人が、実に開き直った演技をしているのだから感慨深いものがある。あと序盤でフォトが子供達にからかわれるが、もしかしたら今後登場する「大人の国」でも似たようなシーンが見れるかもしれない。

 

   小説版「雲の中で」ページ

   小説版「雲の前で」ページ​

 

 

 

キノの容姿と装備:茶色のコート・スコープ
エルメスの言い間違い:なし

 

 

 

[ アニメ2期 ] 18:25 - | comments(0) | trackbacks(0) |2017.11.11 Saturday
キノの旅アニメ二期第七話 歴史のある国 感想(ネタバレあり)

●歴史のある国 -Don't Look Back!-
登場人物:キノとエルメス、師匠と弟子
本編約20分

小説版「歴史のある国」ページ

 

 


あらすじ


   「キノ、薪割りは?」とエルメス。するとキノは静かにと諭した。そして銃を構え静かに家に侵入した。目標はキッチンではソーセージを焼く人物。キノは一旦目標を確認した後、息を整え身を乗り出し銃を構えた。しかし目標の人物は消えていた。すると真横から銃を向けられた。「残念でした」と師匠。銃声がしソーセージが跳ね上がった。

 

   「どうしたのキノ」。ソーセージ入りのホットドッグを食べかけたキノにエルメスが言う。するとキノは、師匠の事を思い出したと答えた。そして過去に師匠が話してくれた、この近くにある国の話を語り始めた。

 

   小さ目な車に男女が二人。次に国に着くので宝石を売ろうと弟子の男性。仕方ないですね師匠の女性。そして入国。車を走らせていると、師匠はこの国が警官が多いことに気付いた。師匠の経験上、こういった国は権力の側が油断できないそうだ。それを聞き入れ、弟子は宝石を売ってくるので昼には戻ると言った。だが帰って来ず、パトカー2台がやってきた。窓越しにそれを見た師匠はため息をついた。場所を移し、師匠は警察官から説明を受けていた。恋人は違法薬物所持違反で逮捕されたそうだ。恋人ではなく同行人だと断りをいれ、師匠は国外退去処分を求めた。すると警察官はいくら払うかと聞いた。師匠が額を提示するが、これっぽっちじゃと断られた。師匠は同行人について未練なさげに振る舞いつつも、最後に金貨を添えて弟子との面会を取り付けた。

 

   「あー、姉さぁーん!」。弟子が涙目で師匠に呼びかけた。だが師匠の態度はそっけなく、自分は国を出ていくのであなたは裁判をうけなさいと言った。俺は悪いことはなにひとつしないで生きてきたのにと弟子。さらに、買ったときに銀貨434枚した自分の物を路銀の足しにしてほしいと師匠に言った。そうしますと師匠。それを聞き届けるニヤリする弟子。ホテルに帰った師匠は弟子の持ち物を確認し、暗証番号を434にセットした。バックの中には各暗殺グッズが入っていた。警察本部である塔で収穫をほくそえむ警察官をよそに、師匠は出国した。夜になり、城壁付近で相棒の装備を装着する師匠。一方弟子は、牢屋であくびをしもう少しかかるかなと言った。

 

   鉤爪が着いたロープでなんなく城壁を上る師匠。街の通りにて、寒そうにしていた住人があるものに気付いた。なにやらゴミ箱が燃えていた。これはいいと暖をとる住人。ふと、まわりを見てみると、そこらじゅうのゴミ箱が煙を上げていた。師匠の仕掛けにより、街中が騒ぎになった。あくびをしつつその喧噪を聞いていた弟子。すると警察官扮する師匠が現れた。世話のかかる弟子ですと師匠。これからどうしましょと言う弟子に、暴れますと師匠が言った。師匠がこれからしようとする事を理解した弟子は不敵な笑みを浮かべた。

 


   「その後どうなったのさ」とエルメス。キノは話を続ける。二人は武器庫へ行き武器を奪った。「恐ろしー、踊れマンボウ」だねとエルメス。そうだねとキノ。少し間を置き、キノは話を続けた。弾薬に加え食糧を得た二人は、塔の最上階へ行った。周りを見渡せる絶好のポイントに陣取った二人は、街での騒動をようやく収めて帰ってきた警察官達の足を片っ端から狙い撃ちした。あえて殺さないことで、警察官達に効果的に恐怖心を煽ったのだった。その後もテレビ(やけにデフォルメされた師匠と弟子のイラスト付き)を見て警察の行動を把握したり、そんな調子でついには三日三晩立てこもった。その際、警察官から呼びかけがなされたが、二人はお構いなしに銃弾をお見舞いした。最初は強気だった問答がどんどん弱気なものに変わり、ついには警察が根をあげ賠償金をせしめる出国するまでに至った。

 

   「とまあ、そんな感じだったらしい」「オニだ…」。エルメスを走らせていると問題の国の塔が見えてきた。入国し問題の塔のふもとに来ると、そこに記念碑があった。読もうとすると、住人の老人から声をかけられた。この国では過去に政治腐敗が横行し警察すら悪行を働いていたが、正義感ある二人の旅人が立ちあがった。二人はこの建物に来て陳情し、その結果悪行を働いた者達は自分の行動を恥じ、以後悪行をしなくなったそうだ。

 

   話してくれた杖をつく老人を見て、足はどうされたのですか、この国の男性の老人は杖はついている人が多いようですがとキノ。すると老人は目を泳がせて言葉を濁した。キノはそれを口元を笑みを浮かべながら見ていた。エルメスに乗り塔から離れるキノ。エルメスが、お師匠さんがまたきたらどうするんだろうと言った。するとキノが急ブレーキをかけ、振り向いた。大丈夫、いないないとエルメス。う、うんとキノ。だから前を向いて走ってよとエルメスは言った。

 


感想


   初登場となるキノの師匠、加えて弟子が過去に繰り広げた大暴れなお話。悪行を働く警察に目を付けられ捕まってしまった。ここまではよくあるストーリーだが、そこでとった師匠の行動がスゴい。周到な計画を立て、たった二人で三日三晩塔に立てこもり、しまいにはお金をせしめてしまうのだから。これが実力者キノを育てた師匠なのである。

 

   今回特に良かったのが示談交渉のシーン。原作でもここは面白いところで期待していたのだが、アニメでは十分な尺と同時に、オリジナルのアレンジが加えられとても面白かった。小説では呼びかけに対し発砲音しか記述がなかったが、アニメ化に際して呼びかけ人のヘルメットを見事に打ち抜くシーンや、最初は強気だった声色がどんどん弱まって姿、弟子の撃ったバズーカにより爆発した車のドアが目の前で突き刺ささるなど見事なアレンジだった。そして、根を上げてしまう呼びかけ人の弱々しい姿には、とても可哀想だと同情せざるを得なかった。このシーンのアニメ化は見事という言葉に尽きる。

 

   師匠と弟子はアニメ初登場で、二期アニメで初めての視聴となった。キャラクターデザインとしては、シャープな線でいままでのキャラクター描写と同様にまとまっており好感が持てた。声は、師匠はとても冷静で理知的なのに対し、弟子は雰囲気的に少し軽そうでオーバーリアクション気味かなと不安だったが、本編を見ているうちにすぐ慣れた。各要素がうまくマッチしているのだと思う。

 

   逆に思ってしまうのがキノの声。実を言うと未だに少し不自然に思えている。なんというか、腹に空気を溜めた上で喋ってそうというか、キノの声を出そうとして無理をしているというか…エルメスの声はとっくに慣れているのだが、キノの声はどこか不自然に思えてしまう。悠木さんの出演作といえばまどマギなのだろうが、申し訳ないが見ていない。だがラストエグザイル銀翼のファムは見ているので声は知っている。その印象強いゆえか。一期のキノの声を担当した前田愛さんは良かったと思う。なんというか、普段の本人の声をそのままに出していた感がある。管理人は声優について詳しくないので何様な意見となるが、もっと自然に地声だしてくれた方がすっきりするのではないかなと思ってしまう。

 

 

   話が逸れたが、今回のお話で少し残念に思えた点。示談交渉の直前、弟子が燃えて見事な腕で押し寄せた警察官を撃退する小説の場面はぜひ映像化してほしかった。アニメでそれを話している場面がループしたアニメだったのでぜひ映像がほしかった。あと弟子が逮捕されるシーンがなかった点。シーンとしてはそこまで重要はなく、カットしても問題ないのだが管理人が気になっていたのは、小説にて弟子が警官を撃ち殺してやろうかと思いましたが…考え直して止めましたという文章。やろうとしましたのくだりは、実際にやらなくても映像としてやっているシーンが描かれというお約束があるので、早撃ちで撃ち殺してしまう映像があるのを少し期待していた。

 

   小説と異なるなと思った点が二点。一つは、ラストの振り返るキノについて。師匠という単語が出てきてキノは急ブレーキをかけ後ろを動揺を見せるが、小説では走りながら後ろを振り返るにとどまっている。アニメではキノが師匠を脅威に思っているのを強く描写したのかなと思った。二つ目は師匠達が乗った車について。話が始まり二人は車に乗っているが小説でのイメージと違った。小説ではいまにも壊れそうなボロボロな車と記述されているので、もっとスピードが遅かったり、やけにガタガタ揺れていたりというのをイメージしていたが、アニメでは直接的にそういった描写はなかった。

 

 

   管理人特有で興奮したのが、キノの世界の文字が多く出てきたというところ。暗証番号が出てきて数字が多く分かったり、記念碑には大量の文字が羅列されていた。これはいままでのアニメでは明かされなかったものであり、これらを解析できれば作中文字のほとんどが把握できるはずである。追記ツイート

 

   その他こぼれ話。エルメスが踊れマンボウと間違った慣用句を言いキノが応える。その直後沈黙の間が入るが、小説では「しばらく黙る」的な文章が定例である。この記述が管理人は好きなのだが、アニメではその間が期待通りの間の開け方だった。あと冒頭キノはホットドッグを食べるが、ああいったパンは食べれるのかなと思った。まあ付近に国があったのかもしれない。あと、弟子の装備を着込んだ師匠は映画(どの映画かと聞かれると言いづらい)の峰不二子を思わせた。さらに師匠がその直後のシーンで城壁に上り切って、いわゆる「ジュバッ!」的な姿勢をするのがコミカルでクスリときた。

 

   話が逸れるようだが、本作放映にあたりツイッターを見て思ったことについて。今回は師匠と弟子の初登場ということで、なみなみならぬ期待を寄せていた方々が見受けられた。それを見て管理人が男性ゆえか、感じ方というか想像の引き出しが結構違うのだなと思った。みなが受け取るキノの旅というコンテンツは共通している。そのため、みなが管理人と似通った認識を抱いているのだと思っていた。だが今回の件で、人それぞれで見解が大きく変わるという事に気付かされた。

 

   小説版「歴史のある国」ページ

 

 


キノの容姿と装備:茶色いコート
エルメスの言い間違い:踊れマンボウ→正:キノは指摘しないがおそらく鬼に金棒

 

 

[ アニメ2期 ] 06:30 - | comments(0) | trackbacks(0) |2017.11.18 Saturday
キノの旅アニメ二期第八話(その1) 電波の国 感想

●電波の国 -Not Guilty-
登場人物:シズと陸とティー
本編約15分
アニメ次話「ティーの一日」ページ
小説版「電波の国」ページ

 

 

 

あらすじ

 

   渚にて。ティーが手榴弾を両手に海を見ていた。付近のテントにはシズ。船の国にて負った傷は治ったようだった。そして爆音。手榴弾を海に投げ魚を採るのがティーの漁だった。それをよそに、シズは出発を決意した。

 

   バギーを走らせていると特徴的な城門があった。宿をとり夕食をとる一同。シズはピザをほおばるティーに旅について教えた。定住の地を探していること、他の人の役に立ちたいこと、この国は詳しくわからないので国をみて回ること、そしてティーに気が付いたことがあれば教えてほしいと言った。そのうえで自分達が旅で滞在している身なので、いきなり人を傷つける行動は控えなければならないと説いた。ティーは「うん」と言い頷いた。

 

   シズが役所でこの国について問い合わせたところ、国の代表は公平な選挙で選ばれ経済は安定、そして珍しく移民を受けれていた。そのことについてシズは丁寧にティーに教えた。再びホテルにて、ティーはシャワーから出た。濡れた陸がシズに体を拭いてもらっているを見て、ティーも自分の濡れた髪を拭いた。陸がシズにこの国を気に入ったかと聞くと、しばらくこの国に住んでみるのもいいかもしれないと言った。

 

   ガソリンスタンドにシズ達がいた。ティーと陸が待っていると、道路を挟んで反対側から何者かが現れた。その男は血まみれで、片手に首を持っていた。シズが話しかけると、男はみんな殺してやると言った。シズはすぐに男を気絶させた。警察が来て調べたところ、犯人は近くの学園の関係者だった。シズ達は警察に同行し学園に行った。そこでの惨状を見たティーが「みんなしんでる」と言った。

 

   シズは、警察署の応接室にて署長と副署長から話を聞いた。署長はシズに男を取り押さえてくれたことに感謝を述べ、数年に一度こういった事件が起こると説明した。国が大きいとこういうことが起きると理解を示すシズ。だが署長達の認識は違った。なんでも電波せいなのだという。この国は昔たくさんの奴隷が集められ作られた。その際奴隷の管理のために機械を埋め込み人を操った。だが突然奴隷達が解放され今に至る。そして、昔からある電波基地からの電波が人に作用し、今回のような凶悪犯を生み出すのだそうだ。その論理に沿い、今回の犯人も被害者で罰することは出来ないと署長達。シズは人に埋め込まれたらしい機械が子孫に伝達するのかと疑問を述べるが、彼らは歴史的事実といいまるで受け付けなかった。そこでシズは問題の電波基地破壊を申し出た。

 

   森を進み電波基地を目指すシズ達。電波のせいなんて信じていないでしょうという陸。シズはそれを認めつつも、もしかしたら自動発電で基地が動いているかもしれない、破壊することで住人を安心させられればと言う。そして電波基地に着いた。だが見るからに朽ちており電波を発しているようには見えなかった。ティーと陸を被写体に添え証拠写真を撮るシズ。それが終わり爆破しますかと聞く陸。だがシズは爆薬がもったえないと言った。

 


   シズが街へ帰ってくると報道陣、そして署長がどうだったかとシズに聞いてきた。シズはありのままを正直話し、過去の事件は個人の問題だと言った。しかし署長は今までの事件が電波のせいでないなんてことはありえないと言い、しまいにはこの写真は偽造でシズは電波におかされてしまったのだと言い始めた。周りの住人も賛同し、シズを捕まえる雰囲気だった。

 

   すると、いつのまにかティーが赤ちゃん抱えており、もう片方の手で手榴弾を取り出し「わたしたちのじゃまをするのはゆるさない」と言った。シズはため息をつくと、それに乗じて電波の影響で正気を保てないと演技を始めた。陸もそれに従い遠吠えを上げる。赤ん坊を人質にとるなど!と署長。それを聞いたシズは人質交換ということで赤ちゃんを解放し署長を拘束、バギーを発進させた。

 

   人里離れたところで停車した。安全ピンのない手榴弾は遠くへ投げて爆発させた。そして拘束した署長を自由にした。拘束を解かれた署長はシズに二度と我が国に来るなと言った。シズはわかりましたと言い、最後にと電波基地は今でも作動中だと言った。やはりと署長。シズは続けて、電波出力を最大にしてきたので明日にでも影響がでるだろうと言った。走るバギーにて、最後の嘘を署長はどういう意味でとったでしょうかと陸。それに対しシズは、「さあね、電波のように簡単に伝わればいいのに」と言った。

 


感想


   新たな旅立ちとなったシズと陸、そしてティーのお話。船の国のラストにて、ティーにナイフで刺されたシズであったが、それでもティーに一緒に生きていこうと言った。そして傷は癒え、新たな旅立ちして辿り着いたのは電波の国であった。その国では電波が凶悪犯を生み出していると信じられており、シズが真実を述べても聞き入られなかった。船の国でも同様であったが、人は信じたいことしか信じないらしい。

 

   かつて人に機械が仕込まれていた。それにより意のままに人を操ることができた。そこまでならまだ理解できる。だがこの国の住人は、機械が埋め込まれていない子孫に対しても同様だと信じていた。国の住人が凶悪犯になることを否定するため理由がほしかったようだ。現実世界においてよく人間は理解しあえない的なことを聞くが、今回の話から鑑みるに人は他人を理解したい気持ちは確かにあるのではと思った。知らない人は怖い。だからなにかしら行動原理を知りたがる。だがその認識は偏見の場合もあり、この国ではそれが電波だった。

 

   結果論になってしまうが、シズは電波施設が朽ちていると知っていても爆破すべきだったと思う。爆薬の無駄だとシズは言ったが、そうすることで説得力が増し今回のような事態にはならなかったのではないか(小説版では爆薬は警察から貰ったと記述されているので、シズが損するというわけではない)。だが偏見が強いこの国においては、今回の事態を回避したところで別の問題が起こりそうである。

 

 

   今回のアニメ化で思ったことは、ティーの細かな様子である。さまざまな場面でティーが映し出されるが、動きが少ないながらも確かに動いている。また小説にはない頷き時の「うん」という言葉等、アニメにて付け加えられている言葉があった。これが小説だと、ティーは問いかけに対し「………」と何も言わず、何を考えているのかわからないと陸が思うパターンである。だが今回ようなアニメであれば何も言わなくとも細かな動きから心情を察することができる。さらに、シズに拭いてもらっている陸を見てティーが自分の髪を拭く姿は、アニメオリジナルであり新鮮だった。

 

   今回は生徒達を皆殺しにした凶悪犯が登場する。そのため、小説著者を含め放送のために現実で事件が起きないよう願われていた(著者ツイート)。実際過去にはアニメ「スクールデイズ」のいわゆるniceboat騒動など、事件発生によりアニメ放送休止があった。今回はさして問題なく放映されたかに思えたが、実はTV放送にあたりそれなりに配慮があったようだ。これは自身のニコ生放送にて指摘されて気付いたのだが、小説では「幼稚園」の「園長」なのに対し、アニメでは「学園」の「関係者」と大幅に設定が変更されていた。にぶい管理人は全く気付かなかったのだが、配慮をうかがわせる事実である。

 

   さらに、首を持った凶悪犯の描き方もよくよく見れば巧妙であった。ティーが凶悪犯を見つける際、映像がスローになり車が横切る。だがこれにはちゃんと意味があるようだ。その次のカットで血だらけの男が右手に首をもっているのだが、首の部分だけが車に重なって見えないようになっている。これもTV放送に配慮しつつも、映像として自然に見せる演出のようである(製作者側関連ツイート)。一方で、シズに倒され凶悪犯が倒れる際に首がころん転がるのも、おっかなくも細かい描写だった。

 

 

   ほかに印象深かったのは、特定の場面でのシズの表情。ひとつは、演技で正気が保てなるかもいう時の目が見開いた顔。もうひとつは終盤署長を解放し嘘をつく際の、ものすごく蔑んだ目。シズがいわゆるイケメンということもあってか、表情がとても印象的だった。

 

   その他こぼれ話。城門の独特なデザインで特徴的あったこと。安全ピンをなくしたので遠くになげて捨てたが、逆に安全ピンがあれば爆発させずに済むこと(これも放送での指摘で知った)。シズの最後の台詞で電波のように簡単に伝わればと聞いて、人の痛みが分かる国のあれがあればこの国はどうなるかなと思ったこと、といった感じである。

 

   アニメ次話「ティーの一日」ページ
   小説版「電波の国」ページ

 

 

 

 

[ アニメ2期 ] 08:35 - | comments(0) | trackbacks(0) |2017.11.25 Saturday
キノの旅アニメ二期第八話(その2) ティーの一日 感想

●ティーの一日 -a Day in the Girl's Life-
登場人物:キノとエルメス
本編約6分
アニメ前話「電波の国」ページ
小説版「ティーの一日」ページ

 

 


あらすじ


   別の国のホテルにて。シズは出稼ぎのため出かけて行った。部屋には陸と寝ているティーが残された。朝。ティーが目覚めた。陸は事情を知らないであろうティーに事情を話した。それを聞いたティーは陸を抱きしめた後に「よっ」と言った。陸は困惑しつつ、ティーが「おはよう」の「よっ」を言ったと思い至った。

 

   朝食として机にはクロワッサンとオレンジのジャムの瓶があった。ティーはスプーンで瓶からジャムを取り出すと、そのままスプーンを口に運ぼうとした。なので陸はそれを止めた。するとティーは「どくか」と聞いた。陸はクロワッサンと一緒に食べるものだと教えた。

 

   食事を終えたティーは「でかけるぞ」と言った。手榴弾を持ち出そうとしていたので陸はおいていくようにと言った。ホテルを出た両者。「どこへ行きますか」と陸。するとティーは何も言わずにある方向へと歩き出した。それに従う陸。ティーは下を向きながら歩いていたが、夕暮れになると足をとめた。そして「おわりだ」と言った。何がですと陸。するとティーは足で地面を叩いた。「まさかただ単に自分の影を踏んできたので」と陸。それにうなずき「かげくろい」「いなくなった」「でもだいじょうぶ」と言った。陸は意味を理解ができなかった。

 

   ホテルに帰り夕食は再びクロワッサンだった。ティーはクロワッサンをふたつに裂き、ジャムをつけたものを陸に突きつけた。ジャムが落ちそうになったので陸はあわてて咥え、たいらげた。そしてありがとうございますと言った。ティーはうなずいた。

 

   夜。ティーが寝ている脇で、陸は帰ってきたシズと話した。今日あった出来事についてよくわからなかったと振り返る陸。するとシズはおもしろいねと言い、自分の考えを述べた。影を踏んでいった件については、船の国の黒い人達がいなくなったとこの再確認し、自分は大丈夫だと言いたかったのではないか。夕食時のことは、仲間には食事を分け与えるものではとうことを実践したのではないか。そう言うとシズはティーが残したクロワッサンをたいらげた。仲間ですかと陸。そしてあの時自分がティーを殺してもいいと思ったと言う。それを聞いたシズは気にするなよと諭し、今日一日でティーと陸がすっかり仲良くなれた気がすると言った。

 

   朝。さていくかとシズ。いきましょうと陸。するとティーが陸に抱きつき、「いっしょにいこう。りくはなかまだ」と言った。それを聞いた陸は、普段とは違う心からの笑顔を見せた。両者を見たシズは、バギーを発進させた。

 

 

感想


   電波の国視聴中に時間が余るなと思っていたら、まさかの登場となったティーの一日。シズ不在のティーと陸の一日が描かれる。ティーのさまざまな行動に対し、陸は意味が分からないままただただ困惑するが、シズからこういった意味があったのではと教えられるお話である。ティーの一連の行動。それはまったく意味のない行動に思えたが、理由づけとなる伏線はしっかりと貼られていた。これは原作小説に限らず今回のアニメでも同様であった。

 

   アニメ初見時は見逃がちであるが、外へ出た際に画面はティーの足元からのびる影を確かに捉えている。そしてその方向へティーは進んでいく。ティーが顔を下を向けているのも自分の見つめているゆえであろう。

 

   夕食のクロワッサンを仲間に分け与える描写についても、シズがその指摘をしつつ残っていたクロワッサンをほおばるという、話の流れに沿った行動であった。この場面はアニメにおける良改編である。小説だと段落の頭にシズが残ったクロワッサンを食べ、仲間に分け与えると指摘するのはだいぶ先である。なのでティーがクロワッサンをシズに残していたという事実を忘れやすい。だがアニメでは話の流れに沿っており、説得力が増している。

 

   シズが不在という事で、ティーと陸の描写がメインとなった。ティーの表情はさして変化がないが、一方の陸は多彩な表情を見せてくれた。特に最後にティーに抱きしめられた際の陸の笑顔がとてもよかった。

 

   アニメ前話「電波の国」ページ
   小説版「ティーの一日」ページ

 

 

 

 

[ アニメ2期 ] 09:30 - | comments(0) | trackbacks(0) |2017.11.25 Saturday
キノの旅アニメ二期第九話 いろいろな国 感想(ネタバレあり)

●いろいろな国
登場人物:キノとエルメス、シズと陸とティー、師匠と弟子
本編約20分

 

 

この回について
   「いろいろな国」と題されたアニメ第九話は、その名の通りいろいろな国を取り込んだ複数の小エピソード集の30分となった。選出した回の印象として、印象的でおもしろい回を選んできた感がある。
   そして、EDにて原作者待望のあとがきのアニメ化が実現。これはアニメ史上初の試みではないだろうか。

 

 

目次
その1「山賊達の話」
その2「徳を積む国」
その3「料理の国」
その4「ティーの願い」
その5「美しい記憶の国」
その6「アニメなあとがきの国」

 

 

 

[ アニメ2期 ] 20:40 - | comments(0) | trackbacks(0) |2017.12.02 Saturday
キノの旅アニメ二期第九話(その1) 山賊達の話 感想

●山賊達の話 -Can You Imagine!-
登場人物:シズと陸とティー、キノとエルメス、師匠と弟子
本編約3分半
小説版「山賊達の話」ページ

 

 


あらすじ


   山岳地帯にて。銃のスコープを覗く少年(青年に見える)が、目下の道を行くシズ達のバギーを捉えた。その旨を斜視の長老に伝えると、長老は観察し獲物としてふさわしいか答えなさいと言った。少年は、剣を持った男と小さな女の子と犬が見えるといい、襲うべきだと進言した。理由はバギーが珍しく価値があること、剣なら弾丸には勝てないころ、女の子は無視して良いとのことだった。それを聞いた長老は「40点じゃ」と言った。疑問を抱く少年に、長老は理由を話した。女の子は手榴弾を持っていること。男はかなりの腕のようだということ。犬は鼻が利き待ち伏せは簡単にばれてしまうことだった。

 

   山岳地帯にて。銃のスコープを覗く少年がモトラドに乗ったキノを捉えた。さきほど同じやりとりを経て、少年はモトラド乗りが男の子に見えるが女の子でとてもかわいい、女の子一人なのだから襲うべきだと進言した。「0点じゃ」と長老。そして、一人で旅をしていることは、一人で旅ができるということで、あの子はきっと数々の修羅場を潜り抜けてきた凄腕じゃと言った。

 

   「わしらが狙うべきなのは、自分より強い人間に迂闊に手をだすような人間。ちょうどお主のようにな」と長老。話を変え、この偵察は長老の発案らしいがと少年。すると長老は昔の事を思い出した。山賊達みなで通りがかった黄色いボロボロの車を襲った。乗っていたのはヘラヘラした男と長い黒髪の美女であった。そして窓を開けた途端その二人は恐ろしい形相で銃を撃ち、あたりが血まみれとなった。二人は恐ろしい悪魔だった。「みんな、逃げろー」。過去を思い出した長老は取り乱し大声を上げた。

 


感想

 

   過去に体験した恐ろしい記憶。それゆえに賢くならざるを得なかった山賊のお話。キノの旅において主人公達は無類の強さを誇り、山賊は格好の餌食となる。それゆえにあえて手を出さない山賊は珍しい。だがそれも、過去に師匠と言うバケモノに迂闊に手を出したゆえ、慎重にならざるを得なかったのだ。

 

   銃を構えスコープを覗く男性だが、キャストには「少年」と書かれ原作小説でも同様である。だが管理人はあまり少年には見えず、青年としか思えなかった。全身が見れなかったのと声のせいだと思う。ついでにこの男性、キノを見た際に顔を赤らめている。

 

   長老は、かぶった帽子により目元が暗く斜視である。これはアニメオリジナルの設定であり、原作小説であまり容姿に触れられていない。あえてこの設定にしたのは山賊の上で賢いという点を考慮した結果か。斜視だったか定かではないが、メタルギアソリッド3の中ボスに「ジ・エンド」という老スナイパーがいる。長老のギョロリとした目は彼を思わせる。

 

   原作小説におけるこのエピソードは巻頭カラーにあたり、山の絵・シズ達の絵・キノの絵・師匠達の絵で構成される。そして面白いのがキノと師匠達の絵。キノの絵は普段のキノと違いコミカルに描かれており、男性のイメージに沿って平和そうに書かれている(こちらは黒いジャケットであり、アニメの茶色いコートを着ていない)。そして問題なのが師匠達。こちらはバケモノの形相をし、師匠と相棒に限らず車までもが目を光らせ骸骨入りの口を開ける。これに比べれば今回のアニメ化は世界観に沿って抑えられた表現だった。ここは世界観崩壊となっても、はっちゃけた表現が見せてほしかった。

 

   いろいろな国

   次話「徳を積む国」

 

 

キノの容姿と装備:茶色いコート(原作小説と異なる)
エルメスの言い間違い:なし

 

 

[ アニメ2期 ] 21:53 - | comments(0) | trackbacks(0) |2017.12.02 Saturday
キノの旅アニメ二期第九話(その2) 徳を積む国 感想

●徳を積む国 -Serious Killer-
登場人物:キノとエルメス
本編約6分
小説版「徳を積む国」ページ

 

 

 

あらすじ


   カフェにて。キノは老人とテーブルを供にしていた。老人はこの国の徳ポイントについて話してくれた。この国では社会貢献と言える偉業から、老人に席を譲るといった細かいことを含め、素晴らしいことをすると徳ポイントが与えられる。それは誰かがみていれば申請され、ポイントが住人登録データに記録されるのだと言う。

 

   犯罪したら減るの?とエルメス。老人はそうだと言い、数値がマイナスになると服役することになると言う。ではいいことばかりをして多くのポイントを持っている人が悪いことをしたらどうなるのかとキノ。ポイントは相殺され無罪となる老人。続けて、これは公平なシステムで、今まで悪いことを一度もしなかった人が悪さをすると酷い人間だと思われてしまうが、いままで悪いことばかりしてきた人間がたまにいいことをすると、いい人だと思われる。その錯覚のを防ぐシステムだと言う。

 

   「そして私は悩んでいる」と老人。老人は発明家、経営者、そして前大統領であり、この国に尽くしてきた。結果、人を殺しても相殺されるほどのポイントを稼いだ。実はポイントをここまで溜めたのは人を殺したいがためだった。しかし殺したい人が思いつかず悩んでいた。

 

   形相を変え、せっかく溜めたのだから誰か殺したいと言う老人。それを見たキノは、なるほど…ボクを殺そうと思って近づいたんですねと言う。老人は懐にナイフを隠し持っていたが、キノをそれを見据えて常に右手はリヴォルバーに添えられていたのだった。

 

   何事も起きず、キノと別れた老人。彼が道を歩いていると、赤ちゃんを抱えた女性に声をかけられた。この子が立派な人間になれるよう祝福してほしいという。老人は少し考えた末、赤ちゃんを抱き、君は幸せになるんだよ、私のようになるなよ、人生を失敗した男にはと言った。

 


感想


   国に多大な貢献をし徳ポイントを集めた老人。しかしそうしたのは人を殺したいがためであった。お話に出てくる、普段いい人が悪いことをすると悪い人に見え、普段悪い人がたまにいいことをするといい人に思われるというのが面白い。人間の感性は不思議なもので、客観的にみて公平とは言い難い。この国ではそれを防ぐため、ポイントさえ溜まれば人を殺しても帳消しにできるシステムとした。そして人を殺せるほど良いことをした老人だが、殺すべき相手が分からなかった。旅人であるキノをあきらめ、赤ちゃんをもあきらめた老人。結局のところ老人はどこまでもいい人だったようである。

 

   問題の老人だが、彼のアニメ描写はこと細かく書かれている。最初は普通のようだが段々と表情を変えていき、悩みを打ち明けた途端とても難しい表情をする。それを見て老人の悩みが視聴者に伝わってくると思う。原作小説ではこのエピソードはほとんど口語だけの構成であり、老人の変化の記述が基本的にない。それだけにアニメと小説の感じ方に大きく差が生まれる。

 

   老人はキノを殺すことを考え話しかけてきた。しかしキノは事前に警戒していた。その伏線があったのかなとアニメを見直したところ、キノの右手は常に画面に映らないようになっていた。でもそれだけでは伏線だと分かりづらい。だが、ある事実により伏線が張られていたと確信できた。それは「キノが左手でカップを持っていること」である。キノは右利きであり、銃も右手で撃つ。そのキノがあえて左手でカップを持っている。つまり、注意深くアニメを見ていた方ならこの違和感からキノが警戒している事実を気づくことができる。

 

   その他アニメを見て思った点。このエピソードに限りアニメの全体的色彩が青を基調にしているようだった。過去の製作者のツイートにて、毎回国の中の色変えている旨の発言があるので、今回も意図的に色を選んだようである。あと、作中に新聞紙や身分証明書が登場し、ことごとく作中言語で書かれていた。それゆえに書かれているか知りたいと強く思った。なので「次回のアニメ放映前までに本サイトにて言語対応表を公開する」。楽しみに待っていてもらいたい。⇒完成記事新聞解読記事

 

   話が逸れるが老人の行動について思ったこと。老人は国に多大な貢献をし、みなから慕われる立派な人間となった。しかし、その動機は「人を殺したい」からであった。これは現実世界に言えることである。多大な功績やさりげない行動。その真意は、それを行った人にしか知らない。つまり立派な行動をした裏では、予想だにしない動機によって動いている可能性があるということである。みなさんのまわりでも、思いもよらない動機をもとに物事が動いているのかもしれない。

 

   いろいろな国

   次話「料理の国」

 


キノの容姿と装備:黒いジャケット・リヴォルバー
エルメスの言い間違い:なし

 

 

[ アニメ2期 ] 22:55 - | comments(0) | trackbacks(0) |2017.12.02 Saturday
キノの旅アニメ二期第九話(その3) 料理の国 感想

●料理の国 -the Prohibition-
登場人物:キノとエルメス、シズと陸とティー(小説では未登場)
本編約4分
小説版「料理の国」ページ

 

 

 

あらすじ


   レストランオーナー定期会合が開かれていた。そこで話題となっていたのがさすらいの料理人で、彼は素性を隠しつつ絶品料理を作るそうだ。コック達はぜひ自分達の国で料理を作ってほしいと願った。そしてその料理人は枯葉色のコートをしているそうだ。

 

   枯葉色のコートの旅人ことキノが入国した。それを見た二人の女性のコックが、キノに料理をしてほしいと頼み込んできた。?と反応を示すキノとエルメス。そして女性二人の勢いに押されつキノは連れて行かれた。エルメスは「この国の人、逃げて」と言った。厨房に立ったキノは「よしっ!」とやる気満々で、料理を作った。

 

   それからしばらくして、キノが作った料理の「鶏肉のキノ焼き」が、国のコックにより再現され一般の人に振る舞われた。そして、ある男性のテーブルに置かれた。彼は荷物には多くの調味料らしきものが入れられ、イスには枯葉色のコートがかけられていた。料理と対面する男性。そこにあったのは鶏肉とそれを同じ量の唐辛子が使われた料理であった。さらにお酢をコップ一杯使うのと、山椒をケチらないのがルールらしい。それを一口食べた彼は、あまりインパクトに椅子ごと後ろに倒れた。

 

   国を出てエルメスを走らせるキノ。エルメスがキノの料理について、かつてお師匠さんですら死にそうになったと振り返った。でもあの国ではみんな自分の料理をモリモリと食べてくれたとキノ。みんあ凄い顔をしていたとエルメス。それら不安に全く耳を貸さず、むしろみんなが食べてもおいしかったのかなとキノは振り返るが、エルメスはそれを即座に否定した。

 

   再びレストランオーナー定期会合が開かれていた。「鶏肉のキノ焼き」を食べた別の旅人が勝手に変更を加えたらしい。食べてみたところ、インパクトにおいてはキノ焼きにまるで及ばないが、マイルドで老人や子供には適していた。

 

   後日、シズ達がこの国に訪れた。ウェイトレスがこの国の名物料理の紹介をした。それは「キノ焼き・オリジナル」と「キノ焼き・マイルド」の二つであった。キノという単語を聞いて一同は首をかしげた。

 

 

感想

 

   さすらいの料理人と間違われたキノ。その誤解のせいでとてつもない悲劇を生み出したお話。冒頭からコック達はハイテンションで、さすらいの料理人について矢継ぎ早に台詞を発する。そして登場するキノ。だがその実力はアニメや漫画などでお約束ともいえる料理オンチで、あの師匠すら死にそうになったほどだった。そして決まって本人にはその自覚はなく、エルメスは度々ツッコミを入れた。

 

   「キノ焼き」を食べて倒れた男だが、よく見れば彼こそ「さすらいの料理人」のようである。料理が置かれる傍らに調味料らしき瓶や料理に添えることができそうな葉っぱ。そして料理の説明を際に枯葉色のコートが見受けられる。原作小説での「さすらい料理人」は暑い季節にやってきたということでコートを処分してしまっているのだが、こちらはアニメゆえの示唆だと思う。

 

   今回はキノの料理オンチという一発ネタだが、小説版では各経緯が事細かに描かれる。そこでは警告を重ねるエルメスや、豪快なキノの料理に対して勘違いするみなの反応。それを食べた本物のさすらいの料理人の行動など、多くのアニメの補足がなされ、そして面白い(一方でシズ達は未登場でアニメオリジナル)。なのでより楽しみたい方はぜひ原作小説を手にしてほしい。

 

   いろいろな話

   次話「ティーの願い」

 

 

キノの容姿と装備:茶色いコート
エルメスの言い間違い:なし

 

[ アニメ2期 ] 23:56 - | comments(0) | trackbacks(0) |2017.12.02 Saturday
キノの旅アニメ二期第九話(その4) ティーの願い 感想

●ティーの願い -Get Real!-
登場人物:シズと陸とティー
本編約1分半
小説版「ティーの願い」ページ

 

 

 

あらすじ


   大きな壁と像がある場所にシズ達はいた。道に面したその場所は多くの人だかりができ、みなが自分達の願いを紙に書いて像や壁に貼り付けていた。シズ達がそれを眺めていると、旅の人もどうぞということで紙を貰った。「ティーが書くといい」と紙を渡すシズ。陸は「移民を受け入れてくれる国が見つかりますように」と書くことを提案したが、シズは「それより行動だから」と答え役所へ向かった。

 

   紙を眺め考えるティー。そして何かを書いて係の人に渡した。その内容を見て係りの人は素晴らしいと言った。まわりの人が集まってきてみると、そこには「ここにあるみんなのねがいがかないますように」と書かれていた。みなが絶賛し、その紙はとても高い位置に貼られた。

 

   あれは素晴らしい願いだが、どうしてあのような願いを聞く陸。すると「どうせこんなのやくにたたないから」とティーは答えた。シズが帰ってきた。移民は無理だった。

 


感想


   ストイックなティーを見ることができるお話。願いを書く紙にティーは素晴らしいことを書いた。しかしその真意はまったく心が伴っていなかった。まあティーの言う通りでもあるのだけれどねぇ、そこは夢があってもいいのではないかと。いずれにせよ、何かを成し遂げたいのであれば、強い気持ちと行動が必要なのは確かである。

 

   アニメにより映像化された国の様子が特徴的で、像や住人達がかぶる帽子は東南アジアを思わせる。ほかにも看板や、よくよく見てみると家の屋根には瓦が使われていのが分かる。原作小説では国の様子を細かく知る機会が少ないので、とてもアニメならではである。

 

   このエピソードは原作小説では巻頭カラーであり、そこでも像のようなものが描かれているのだが、それは今回のアニメと大きく異なる。また写っている人達も現代的で、洋風の帽子やカメラを携えた人が見受けられる。そこからしてアニメ版は大幅にアレンジしたのだと分かる。

 

   いろいろな国

   次話「美しい記憶の国」

 

 

 

[ アニメ2期 ] 00:52 - | comments(0) | trackbacks(0) |2017.12.03 Sunday
キノの旅アニメ二期第九話(その5) 美しい記憶の国 感想

●美しい記憶の国 -Beautiful Memories-
登場人物:キノとエルメス
本編約5分

小説版「美しい記憶の国」ページ

 

 

 

あらすじ


   目的の国が見え、キノは喜んだ。あの国は師匠が話してくれた中でよく覚えている国だった。どんな国なのとエルメス。するとキノは教えてくれなかったと答えた。師匠は忘れられない国だったとは教えてくれたが、それ以上は教えてくれなかったのだ。キノは期待を膨らませつつ、城門に差し掛かった。

 

   夕方。キノはエルメスを走らせていた。ふとキノが気がついて、いきなりブレーキをかけた。振り返ると、そこには城門があり、ここは国の外であった。事態を飲み込めないキノはエルメスに聞いた。「ボクはあの国に入ろうとしていたと思うんだけど…」。するとエルメスは、その通りだと言った。エルメスによるとキノは入国して堪能して出国したらしい。そんな記憶はないと困惑するキノ。すると荷物にある封筒を取り出すように促された。それは自分から自分への手紙だった。

 

   この国の人々は、国内の様子を誰にも知られたくないが、旅人には快適に過ごしてほしい。そのため、薬により滞在時に記憶を消すというのが滞在の条件だった。入国前にその条件をのんだということで、未来の自分へそれを伝えるために手紙を書いたのであった。そんなこと覚えてないと声を上げるキノ。だがエルメスは人間ではないので全てを知っていた。なにがあったかをせがむキノであったが、約束なので教えないとエルメスは口を堅く閉ざした。

 

   エルメスによると、滞在時のキノは今まで見た中で間違いなく一番滞在を楽しんでいたという。さらにエルメスはもう一枚の封筒を見るようキノ促した。そこには絵が入っており、キノと国の住人達が描かれていた。全員優しくて素晴らしい国だったとエルメス。何も覚えていないと絶叫するキノ。

 

   次の日、キノは装備を確認すると、城門を背に再びエルメスを走らせた。

 


感想


   師匠が言っていた忘れられない国。その実は、滞在時の記憶を消されてしまうという事を忘れられない国であった。視聴者はキノと同様にそれを体験すべく、滞在時の様子が一切明かされることがない。だがとてもいい人達だとエルメスは知っていた。なんとも一発ネタ的なお話だが実に面白い。エルメスの発言や、封筒に入っていた絵から分かるわずかな情報が、いかに快適な滞在だったかを物語っている。

 

   アニメ化に際し良かった点がいくつか。ひとつめは自分宛の手紙を見つけたキノ。その際に手紙を怖いもののように扱い、気味悪がっているのが姿が面白おかしく描かれている。もうひとつが特徴的な城門。両側で巨大な像が剣を持っているもので、とても印象的であった。

 

   原作小説も同様の展開をたどるが、今回のアニメ化により原作にはない貴重な情報をもたらしてくれた。それはキノが「森の人を所持している」という点である。これにより判明するのは、キノが過去に「優しい国」に行った事があるということである。来週放送の「優しい国」はとても優しい穏やかな国で、エルメスはそれを踏まえたうえで、キノが今まで見た中で間違いなく一番滞在を楽しんでいたと言う。さらに小説ではエルメスが「あんな爽やかな笑顔を久々に見た気がするよ」とも言っているので、「優しい国」からだいぶ時が経っていうことをうかがわせる。

 

   いろいろな国

   次話「アニメなあとがきの国」

 

 

キノの容姿と装備:黒いジャケット(原作では茶色のコート)・カノンと森の人(原作未登場)
エルメスの言い間違い:なし

[ アニメ2期 ] 01:53 - | comments(0) | trackbacks(0) |2017.12.03 Sunday
キノの旅アニメ二期第九話(その6) アニメなあとがきの国 感想

●アニメなあとがきの国 -Atogaki of Anime-

登場人物:キノとエルメス

 


内容

 

   EDが流れ、いつも通りの映像となるかと思いきや、唐突に文字が流れ始めキノも喋り出した。せっかくなので文字起こしをしてみようと思う。

 


『キノの旅 -the Beautiful World- the Animated Series』をご覧の皆様こんばんは!
そうです、私が原作者の時雨沢恵一です!
アニメを視聴してくれて、本当にありがとうございます!
そしてこれが、"アニメ版のあとがき"です!

 

「あとがきのアニメ化が夢です!」なんて、
『キノの旅察戮能颪い燭里2003年!
それは、そう!
前のTVアニメ化の放送中に出た本!
そして今、十四年の時を超えて……。
あとがきが、TVアニメ化したのです!
なんでも言ってみるものですね!
みんな、夢を諦めるな!
ドリームを諦めるな!
重要だから二回言った!
みんな!夢があったら語ろう!

 

語って、口に出して、言葉にして、
そしてその実現のためにコツコツと、
できるところから頑張っていこう!
いつかどこかで、多くの人間の
理解と力を借りて、その夢がポン!
と現実になることだってあるっ!
皆さんがいま見ているものが、
まさにその証拠なんですっ!

 

とまあ、そんなちょっと
教育的に良さげなコメントをもって、
私からの、アニメのあとがきに
代えさせていただきます。
ここまで読んでくださり、本当にありがとうございました。

 

 

感想

 

   メッセージで小説7巻の時と書いてあるように、原作者である時雨沢恵一さんは小説のあとがきにて「あとがきのアニメ化」を望んでいた。これは小説14巻カバー裏17巻あとがき21巻あとがきでも触れられている。その待望の夢がついに実現した。管理人もまさか実現するとは思わず驚きである。メッセージ通り夢を諦めず語り、できるところから頑張っていく。そうすることで多くの人により現実になることがあるということを、今回見事に証明してくれた。実にあっぱれである。

 

   あとがきメッセージ中、キノとエルメスがどこへ行っているか分からないとしゃべるが、これは原作小説の「こんなところにある国」=あとがきをなぞっている。この小説エピソードも、小説のど真ん中の場所で、キノの物語と見せかけて急にあとがきが始まるのだからすごいものである。キノの旅の楽しみ方は本編にとどまらず、毎回嗜好を凝らしたあとがきを見ることができるので、知らない人はぜひご覧あれ。

 

   いろいろな国

 

[ アニメ2期 ] 04:22 - | comments(0) | trackbacks(0) |2017.12.03 Sunday
キノの旅アニメ二期第十話 優しい国 感想

●優しい国 -Tomorrow Never Comes.-
登場人物:キノとエルメス
本編約25分
小説版「優しい国」ページ

アニメ一期「優しい国」ページ

 

 

2018/4/14〜感想にてツイッターリンクを追加

 

あらすじ

 

   一面が紅葉の森の中。エルメスを走らせながらキノは言った。これから行く国は旅人の評判がかなり悪いらしい。道はいくらでもあるのだから行かなければいいのにとエルメス。そこまで言われているのだから興味があるとキノ。そして目の前に目的の国が見えた。「とっても思い出深い、一生忘れられない国になるかもよ」とエルメス。「だといいね」とキノ。

 

   城門の兵士に何日滞在するかと聞かれたので、キノは例よって三日と答えた。すると兵士たちは顔を綻ばせた後、すぐに敬礼し門を開けた。入国審査をしないのかと聞いたが、犯罪を起こさない限り失礼だと返された。門の向こうでは多くの住人達が出迎え、口々に歓迎してくれた。絶対に別の国だとエルメス。キノは歓迎に感謝すると、安いシャワー付きのホテルがないか聞いた。住人達がそれぞれしゃべる中、「うちがそうだよ」と声がした。現れたのは少女で、私はサクラだと自己紹介をした。キノはサクラの両親が経営しているというホテルに泊まることにした。

 

   多くに住人から声をかけられつつ、サクラに案内され道を歩くキノ。サクラが「キノ」と言う名前が響きが良く素敵だと言った。キノは一旦昔そう思ったと言い、今でもそう思っていると言った。そしてキノはサクラという名前も響きがいいと言った。サクラは自分の名前について話すと、キノが押し黙った。どうしたのとエルメスが言うと、キノは「なんでもない。説明できるようなものじゃないよ」と言った。

 

   ホテルに着くとサクラの両親が出迎えた。サクラは、エルメスを入れやすいようにと一階のドアが広い部屋を選び、そこへ案内した。さらに、この国を案内させてほしいとキノに言った。キノはそれを承諾した。どこに行きたいかと聞かれたキノは、パースエイダースミスの元へ案内してもらった。怖そうな老人がパースエイダースミスだった。キノはカノンを差し出した。一日ぐらいかかると老人は言った。明日来るとキノが去った後、老人は驚いた長生きするものだと言った。

 

   街の公園で、国の歴史を伝える劇をしていた。劇はある程度進んでいたが、キノが現れたことで席を譲られ、さらには最初から劇をやりなおすことになった。それを受け見てキノは照れた。改めて劇が始まった。祖先は迫害され放浪の身であったが実り豊かな森を見つけ、ここに国を作ることにした。そして今があるのだった。劇の後でキノはバーベキューに参加した。キノは焼く係りで、大した手際だと褒められた。エルメスからは焼くだけだからと念を入れられた。エプロンを渡されそれを着たキノは、ここでも照れた。それを見たエルメスは「なんか楽しそうじゃん」と言った。

 

   次の朝。キノはいつも通り起きてエルメスを起こした。そして昨日差し出したカノンを受け取りに行った。カノンを確認するキノは驚いた、初めて手にした時以上だと言った。老人は怖そうな顔のまま、そうかいと言った。お代はとキノがいうが、いらんと老人。そしてキノに、師匠と呼ばせる凄腕のパースエイダー使いを知らないかと聞いてきた。キノは知らないと答えた。老人はさらに、森の人というパースエイダーをキノに使ってほしいと言ってきた。キノは受け取ることにした。すると老人は調子をよくし、試し撃ちなどをするとキノを強引に連れていった。

 

   ようやく老人から解放されたキノ。するとサクラがお連れしたい場所があると言った。そこは城壁の上で、夕日がとても綺麗だった。ここが自分の一番好きな場所で、いつかお客さんが来たら絶対案内しようと思っていたとサクラ。そして、両親のあとをついで立派な観光案内人になりたいと言った。キノはなれるさ、いやもう立派な観光案内人だと言った。

 

   ホテルに帰ると、サクラがキノに旅をしていると辛いことはないか聞いてきた。たまにあるが、それでも旅を続けるとキノ。それはするべきことだと思っているからですかとサクラ。やりたいと思うことだからさとキノ。それを聞いてサクラは感激した。そこに両親が来て、サクラも旅にでてもいいのよと言った。サクラは少しの間考えたが、ここで勉強して一番の案内人になると言った。

 


   次の日。結婚式を見に行った。これから小さな袋をたくさん投げるそうだ。欲しい子供の数だけ木の種が入れられており、この種を持って明日を迎えられた人が次に幸せな花嫁になれるのだという。サクラは手にできなかったが、キノは木の種を引き当てサクラにあげた。

 

   ホテルに戻ると入り口に兵士がいた。出国の準備をと言われたキノは、もう一日二日滞在できないかと言った。驚くサクラとエルメス。だが兵士はルールですからと断った。城門にて、サクラの父から野宿の場所を教えてもらい、サクラの母親からはお弁当を貰った。多くの人に見守られたキノは感謝した。最後にサクラ歩み出てきた。キノはありがとうと言い握手をした。そしてみなに「またいつか」と言い、エルメスを走らせた。三日以上の滞在を望むなんて珍しいとエルメス。自分で驚いているとキノ。そして、噂と違ったことについて、最初は気にしていたが途中からどうでもよくなったと振り返った。

 

   夜。寝ていたキノが急に起きた。どうしたのとエルメス。キノはいつになく低い声で、嫌な感じがすると言った。その後、大きな音がした。火山が爆発し、火砕流が国を覆った。あそこへ行ってできることはあるかとキノ。全員死んでる、行っても死ぬだけだよとエルメス。

 

   夜が明けようとしていた。キノはサクラの母からもらったお弁当に、手紙が入っていることに気が付いた。そこには、一ヶ月前に火砕流が襲う事を察知していたこと、住人はそれでもこの場所にとどまることを決意したこと、これまで旅人に対する不遜な態度をとったゆえにその印象だけ残ってしまうということ、この国を素敵だと旅人に伝えたかっただが全く来なかったこと、そこへ来たのがキノだったことが書いてあった。また追伸としてサクラはそのことを知らず、キノに無理やりあずけようともしたが、サクラが望んだので連れて行くことにしたとあった。

 

   「今、ボクが何を考えているのか、当ててみようか」とキノ。「どうぞ」とエルメス。「ボクは、こう思っている」「サクラちゃんが、無理やりにでもお預けされなくて、助かったと、ほっとしている」とキノ。「だろうね」とエルメス。

 

   「エゴだよ、これはエゴだ」とキノ。どのみち二人乗りで旅は無理さとエルメス。さらに弁当を見てみると、サクラの手紙もあった。そこには私が持っていても仕方がありません、私達の事を忘れないでと書かれており、木の種が入っていた。

 

   完全に夜が明け明るくなった。森の人を装備したキノに、エルメスは似合うよと言った。いい国だったねとエルメス。キノはそれに同意し、エルメスを走らせた。

 

 

感想


   評判が悪い国に来たキノとエルメス。だが実際はその真逆で、あまりの心地良さにキノは三日以上の滞在を希望するほどだった。全く評判と異なる国に、最初こそ戸惑うキノとエルメスであったが、サクラの案内のもと国を回り住人達と交流した。だがこの国には悲しい運命があり、キノがそれ知ったのは国が失われてからであった。このエピソードは、キノの旅公式15周年スペシャル投票企画「人気の国」第一位であり、アニメ第一期でも取り上げられた鉄板エピソードである。悲劇的ながらも、人気投票一位とみなから支持されたエピソードが、今回再びアニメ化となった。

 

   今回のアニメ化において最も特筆すべき点は、手紙を読む際の追加されたキノの台詞。上記あらすじに書いた「今、ボクが何を〜」の段落部分は、原作小説や第一期アニメには存在しない台詞である。管理人はアニメを見ていてこれらをキノが急に喋りだしたので驚いた。この台詞だが、自身のニコ生放送で指摘された後、原作者ツイートこのツイートにてようやく真意を知ることができた。この追加された台詞は原作者が本来意図したバージョンであり、別冊等で取り扱ったものであったのだ。内容は、サクラを引き取る展開にならなくて良かったというキノである。そしてそれが次の「エゴだ」と続く。管理人は追加台詞がない状態でこの「エゴだ」を読んだ際、母親がサクラを連れて行ってしまったことをエゴだと言ったのだと思っていた。しかしその真意は、こんな悲劇を目にしてもサクラを引き取る展開にならず、自分は今まで通り旅を続けることができるので良かったという感情を持っている、そんな自分に対する非難の言葉として「エゴだ」と言ったようである。旅人キノ。改めてキノの旅へ執着がうかがえた。

 


   今回のアニメは定例のOP・ED共々カットされ、最大限ストーリーに尺を割くように配慮してあった。背景美術に関しては冒頭の紅葉の森や、城壁から見渡す夕焼け、さらに暗くなり明かりが灯る国までとても細かく綺麗であった。また住人達に優しくされキノが照れるのは、なかなか見る機会のないレアな表情であった。

 

   一方でいくつかのシーンは気になった。カノンを受け取るパースエイダースミスだが、その際カノンが瞳に映る描写のみにとどまった。ここは原作にある通り表情の変化を見たかった。次に、国を出て夜目覚めた際のキノの声。いつになく低い声は尋常ならざるものを察知しているためだと思うが、あまりにも今まで聞いてきたキノの声と異なった。とても違和感が残る。そしてこれは確証がないのだが、どうもサクラの存在感が薄い気がし、最後の手紙があまり心に響かなかった。原作や第一期で見慣れてしまったせいかもしれないが、それとは別に今回のアニメはパースエイダースミスや劇に多めの尺が取られ、サクラ不在の時間が多かったせいとも思える。


   原作小説との違うと思ったことについて。小説ではエルメスのメンテナンスを優しくて腕のいい機械工がしてくれるのだがカットされていた。また、パースエイダースミスに銃を差し出した際、小説では半日でメンテナンスしてくれたのがアニメでは後日引き渡しになっていた。あと、バーベキューの際に味オンチなキノが手をださないようにとエルメスが注意した。これは小説にはないクスリとくるアレンジである。そして、重大だと思うのが三日目の朝にキノが寝坊するシーンがカットされていたこと。これはあまりにキノが滞在が心地良すぎて調子が狂ったことを表すシーンであり、カットすべきはなかったと思う。

 

   第一期アニメと違うと思ったことについて。一期の方では劇はカットされており、国の歴史は博物館ですまされた(劇をしている今回の方が原作小説準拠)。また国を出る際の野宿する場所について、一期の方では念を押すように強く場所を言っていた。あと、出国して目覚める際キノは銃を手にしながら起きたが、第一期アニメではうつ伏せで寝ていた。ちなみに小説は体の向きに関しては指定はない。しかし起きてからホルタ―のカノンを抜いたと記述されており、少なくとも第二期アニメのようにカノンを構えたまま寝ているわけではない。


   そして、次回は大人の国である。ここからの文章はアニメ二期がキノの旅初見の方はネタバレになるので見ないでいただきたい。
   今回のエピソードで、サクラという名前を聞いた際に説明できないとキノが言ったり、国を案内してくれるサクラを優しくキノが見守っていたのは、キノが自分の昔と重ねているためである。そして大人の国では今回のようなお話の展開となるが、その展開は狂気的なものとなる。順番的には「大人の国」→「優しい国」と見るのが気持ちいいのだが、第二期アニメでは逆の構成となった。この試みはいい方向に出るか否か。「優しい国」という良いお話を見て、「大人の国」も似ているなと思いきや狂気的な展開で、初見の視聴者が突き落とされた気分にならないか心配である。

 

   小説版「優しい国」ページ

   アニメ一期「優しい国」ページ

 

 

 

キノの容姿と装備:茶色のコート・カノン・森の人入手
エルメスの言い間違い:家財道具→正:火砕流

 

[ アニメ2期 ] 10:24 - | comments(0) | trackbacks(0) |2017.12.09 Saturday
キノの旅アニメ二期第十一話 大人の国 感想

●大人の国 -Natural Rights-
登場人物:キノとエルメス、初代キノ
本編約25分

小説版「紅い海の真ん中で」ページ

小説版「大人の国」ページ

アニメ一期「紅い海の真ん中で」ページ
アニメ一期「大人の国」ページ

 

 


あらすじ

「紅い海の真ん中で・a」
   これからどうするのとエルメス。するとキノは歌おうかなと言った。一面が紅い花の世界だった。キノは乗っていたエルメスから身を投げ、花畑に大の字になった。エルメスが抗議したがキノは笑った。

 


「大人の国」
   噴水の近くで少女が青い鳥を眺めていた。すると男の子達にからかわれた。自分の名前をすこし変えると悪口になるせいであった。彼らがいなくなりふと前を見ると入国したばかりの旅人が、そのみすぼらしさから虫よけの白い粉をかけられていた。そして、その旅人が話しかけてきた。キノと名乗り安いホテルはないかと尋ねてきた。うちがそうだよと言った。

 

   次の日。少女こと私は起きた。窓の外を見るとキノが何かをしていた。モトラドを治すのだという。私はカレンダーをいじり着替えてキノの元へ行った。治しているモトラドはキノが昔乗っていたモトラドとそっくりらしい。モトラドが治り、契約をすることで一緒に旅ができるそうだ。名前を決めることになったので、キノが昔乗っていたモトラドの名前である「エルメス」をこのモトラドにも名付けることにした。

 

   お茶休憩の時に、私は「キノは何をしている人なの?」と聞いた。そして大人なのだから仕事をしているのでしょうと聞いた。キノはああ本当はねと答え、強いて言うなら旅をしていると答えた。嫌なことはあるかと聞くと、楽しいことの方が圧倒的に多いと言った。私は仕事はつらいもので楽しくない、楽しいのは仕事じゃないと言った。そうかなとキノ。私は大人になるための手術明後日受けると言った。

 

   子供は好き勝手に行動していていい。大人には自分勝手な行動は許されず、仕事をしなくてはならない。そこで12歳の誕生日に手術をして、頭の中の子供を取り出す。すると、嫌なことでもなんでもできる立派な大人になれる。12歳直前の一週間は「最後の一週間」と呼ばれ、大人から子供に話しかけてはいけない。また毎日特別なお菓子をくれるのであった。

 

   それを聞いたキノは、ずいぶんと乱暴な話だなと言った。なんで乱暴なの、手術でちゃんとした大人になれると私。するとキノは僕にはちゃんとした大人ってなんなのか分からない、嫌なことができるのが大人なのか、それで人生楽しいのかと言った。キノは大人なのと質問する私。「僕はキノさ」「そして旅をしている」、さらに旅をして好きなやりたいことをしているとキノは言った。

君の一番好きなことはなんだいとキノ。私は歌うことだと言った。キノは自分も好きだと言い、歌を披露してくれた。その後で私も歌を披露した。キノは拍手をしてくれて、歌手になるのはどうだいと言った。でも両親が歌手じゃないので歌手にはなれかった。

 


   朝、私は目覚めた。今日が子供でいる最後の一日だった。両親が大人達と話をしていた。子供を育てあげるという大人の仕事を立派に成し遂げたと称賛されていた。私は両親に近づき、大人になる手術は受けたくないと言った。すると父親は大人を馬鹿にするのか激昂した。母親も同様だった。まわりの大人達も非難した。

 

   父親は私の手を引きキノの元へ詰め寄った。だがキノは全く動じなかった。さきほどいた大人達が来て、どんな国にも独自のしきたりがあるとキノに言った。キノはそれを認めそろそろ出発すると言った。もう行っちゃうのという私が言うと、キノは一つの国に三日間と決めているんだと言った。そんなキノの目に包丁が映った。私を殺害するのだと言う。そして包丁を持った父親が刺しかかってきた。

 

   それをキノが身を挺して守った。キノは死んだ。大人達は不幸な事故だと言った。父親はキノに刺さった包丁を抜くのに手間取っていた。それを見ていると「自転車に乗ったことはあるかい?」という声がした。あるよと答えると、ここにいると君死ぬんだろ、死にたいのかい?と言われた。できることなら死にたくないと私。すると「じゃ、第三の選択だ」と声がし、モトラドの操作方法を言った。私の目に羽ばたく青い鳥が映った。「逃げるんだよ」と言う声を皮切りに私はモトラドに飛び乗り、モトラドを走りだした。城門を超えると青くて爽やかな世界が広がっていた。

 

   国からだいぶ離れ、一面が紅い花の世界にいた。慣れない操縦のせいかモトラドごと倒れてしまった。倒れた事に抗議する声を聴いて、ようやく声の主がモトラドであることに気付いた。モトラドは私のことをキノと呼んだ。ふと、自分のポケットの中にお菓子が入っていることに気付いた。私はそれを割り、モトラドに私はキノだと認めた。そしてモトラドの名前はエルメスだと教えてあげた。最後にモトラドは聞いて来た。「これからどうするの?」

 


「紅い海の真ん中で・b」
   一面が紅い花の世界で、歌声が響いていた。アンコールと声がした。じゃあもう少しと、再びキノが歌った。「これからどうするの?」とエルメス。その問いにキノは「いつかと同じさ。どこかへ行こう」と言った。

 


感想


   生まれた国であたりまえに子供から大人になると思っていた。でも旅人キノが来て自由に生きているという事を知った。それにより大きく運命が変わったといういつもの主人公キノの誕生のお話。アニメとしては前回の「優しい国」での少女と旅人の出会いをなぞるかに見えて、その結末は全く異なるものとなった。失敗作の子供は処分するというこの国の認識で殺されかけたが、旅人キノが身を挺して救ってくれた。それにより少女キノは青い鳥のように世界に羽ばたいたのである。

 

   青い鳥はOPでも特徴的であったが、今回のアニメを見て自由の象徴であると思った。作中至る所で登場し、旅人キノや国を脱出した少女キノに合わせるように自由に飛び回った。一方で、物語の前半には青い自転車が登場したのも気になった。少女キノは自転車に乗ったことがあると答えたが、本編中では乗っている姿は映されなかった。鳥のように飛ばず走り出すことのない、止まった存在だったのである。

 

   作中の台詞で大人がどんなところにも独自のしきたりがあると言っていたが、大人の国はなんとも怖い国である。少女キノはこの国で言う大人、嫌な仕事ができる大人に手術でなることが当たり前だと思っていた。しかし自由に生きる旅人キノのおかげで疑問を持つことができた。現実世界においても自分達が気付いていないだけで、外の人からすれば「なんじゃこりゃ」と思われる伝統があるのかもしれない。普段みなが抱えているストレスは、そういったものから来ているのかもしれない。原作者もそれを意図して今回のお話を作ったのだと思う。現実を非情だと思ったことがあるが、悪だと思う存在に従う必要もない。今回の少女キノのように、みなが美しい世界を発見できれば幸いである。

 

   今回のアニメは色の明るさが凝っていたと思う。Aパートが終わりCMが明けると明らかに色が暗かった。しかし国を脱出するとそこにはとても明るい世界が広がっていた。いままでパッとしていなかった世界が綺麗に色づいたことが視覚的に表現されていた。そして一面が紅い花の世界も、幻想的で精彩に富む素晴らしい映像であった。これは今回の二期アニメ化がなければ見ることが叶わなかった事である。

 


「大人の国」というエピソードは、前回の「優しい国」と同様キノの旅の鉄板エピソードであり、それだけに多くの媒体による「大人の国」が存在する。原作小説・一期アニメ・二期アニメ、さらには漫画化もなされており、そちらではそれに加え旅人キノの生存ルートまでもが存在する。

 

   今回のアニメと原作小説との違いとしては、大人のなる前の「最後に一週間」にもらえると言うお菓子が挙げられる。お菓子は原作にないアニメオリジナルでいろいろ意味がありそうである。大人の手術を受けるための薬という解釈や、個人的に思ったのが漫画「ドラゴンヘッド」に出てくる感情抑制剤?入り食糧という見方。最後に少女キノがお菓子を割ったのは、子供の象徴ともいえるお菓子を割ることで子供から決別したなどなど。だが、お菓子について気になる点がもうひとつある。アニメをよく見ていれば分かるがこのお菓子の出所、これは少女キノが朝起きて部屋のオブジェクトから取り出したのがお菓子の入った袋なのである。つまりこのオブジェクトは「お菓子の家」だったようだ。そのお菓子を食べてしまうと、悪い存在に取り入れられてしまうようである。

 

   その他に思った細かい事。最初と最後にキノが歌ったが、この音楽の元となったものはあるのか気になった事。漫画版「大人の国」では旅人キノと少女キノが恋愛対象内に見えたが、今回は背の差ゆえかそうには思えなかった事。大人の説明を受ける教室が赤い十字で印象的で、忘却の旋律やユリ熊嵐を思わせた事。これと関連し、提供会社表示の背景がこの赤い十字なのだが、慣例だと武器が表示されるはずでそうなったのは今回の武器と言えば包丁しかなく、ネタバレになるのでやむを得ない措置なのかなと思った事。「いつかと同じさ。どこかへ行こう」の台詞はこちらでも指摘しているが、過去のラジオCMがとても印象に残っており、また聞きたくてどこかに音源がないか探している事、といったところである。

 


   そして、いよいよ次回は最終回。今回の「大人の国」や「優しい国」を差し置いて、「羊たちの草原」というまさかの最終回チョイスとなった。なぜこれにしたのかという疑問が強いが、ここはぜひ最終回でそれを納得できるだけのものを見せてほしい。

  

   小説版「紅い海の真ん中で」ページ

   小説版「大人の国」ページ

   アニメ一期「紅い海の真ん中で」ページ
   アニメ一期「大人の国」ページ

 


キノの容姿と装備:十一歳
エルメスの言い間違い:なし

 

[ アニメ2期 ] 15:00 - | comments(5) | trackbacks(0) |2017.12.16 Saturday
キノの旅アニメ二期第十二話 羊たちの草原 感想

●羊たちの草原 -Stray Army-
登場人物:キノとエルメス
本編約20分
小説版「羊たちの草原」ページ

小説版「旅の終わり」ページ

 

 

あらすじ


   キノはいつものようにエルメスを走らせていた。ふと目の前に、羊の群れがいることに気が付いた。邪魔しないように脇を通る抜けるつもりだったが、突然羊が鳴きはじめ、群れが一斉に突進してきた。あわててエルメスのスピードを上げるキノ。後方の羊たちと距離を距離を取ったかに思えたが、死角となっていた正面の窪地にも羊の群れがいた。やむなく道を外れるキノ。その後を羊たちはしっかり追いかけてきた。

 

   「ダメだ、止まって」。エルメスの台詞でキノは急停車した。目の前は崖となっており危うく落ちるところだった。大地の亀裂は左右におよび、どこまでも続いていた。向こう側には普通の草原だったが、このまま飛び越えるのは不可能だった。迫りくる羊の大群。一度逃げたほうがいいとエルメス。エルメスが指定した逃げる先は崖の下だった。「絶対に迎えに来る」。そう言いキノは崖を降りた。その際鞄も落とした。すぐに羊たちが寄ってきて、崖の上からキノを睨んだ。

 

   崖の底には小さな川が流れており、エルメスのアドバイスで水の流れる方へ進んだ。羊たちは崖の上からしっかりついてきた。キノは鞄に入れてあったフルートを組み立て背中にさげた。移動し夜になったのでキノは休んだが、夜空の背に羊たちはキノを睨んでいた。朝起きると羊たちの姿はなかった。崖を上りスコープを覗いてみると、羊たちは遠くにいた。周囲を観察すると、なにか光っていた。

 

   見つけたのは車だった。幸い羊たちは寄ってこなかったので、キノは崖の上を歩き車の元までやってきた。車は溝にはまっており、近くには運転手の骸骨があった。キノは車に装備されていた頑丈な板をタイヤの下に差し込み、溝から車を離脱させた。キノは車の運転を師匠に教わっていたことを喜んだ。運転手の遺体は埋葬し、あなたのパースエイダーと車を使わせてもらいますと言い黙とうした。

 

   動けないエルメスは2頭の羊に寄りかかられていた。すると音が聞こえ始めた。キノが運転する車だった。キノは車の前に立ちはだかる羊たちを次々と轢いて行った。キノは窓越しにエルメスと会話をすると、エルメスの周囲に燃料を撒き、銃で撃った。するとあたりが火の壁となった。キノは付近にいる羊たちを次々とフルートで撃ち、弾丸がなくなるとカノンと森の人を使った。

 

   とりあえず付近の羊は殺し、ほかの羊は火の壁の外にいた。キノは車から荷物を取り出し、さらに即席のジャンプ台を作った。エルメスは躊躇するが、キノはやる気だった。すると火の壁を越え一頭の羊が立ちはだかった。突進してくる羊。それをキノは車の持ち主の形見であるパースエイダーで倒した。そしてエルメスを加速。ジャンプ台へ走らせ、ついに崖を飛び越えた。着地に失敗し転んだが、それが幸いしエルメスの負傷を防ぐことができた。キノは向こう側の羊たちを見て君たちはなぜ戦うのか、ボクを食べるわけではないのにと言った。

 

   ようやく目的の国に着いた。入国審査官は久しぶりの旅人だと喜んだ。エルメスはどんな国だろうと期待するが、キノにとってはベットがあればなんでもよかった。入国審査官が羊たちを見なかったかと言った。その羊たちはかつてこの国で闘羊として飼われていたが、動物愛護の観点で自然に返されたのであった。キノから羊たちがいることを聞いた入国審査官はグッドニュースだと喜んだ。本当のことを伝えるか、エルメスはキノに聞いた。

 

 

「旅の終わり」
   なんて快適な場所だ、この世界で最高の場所な気がするとキノ。その発言通り、キノはハンモックを2つの木にくくり付け寝そべっていた。それを見てハンモックの子になっちゃいなさいとエルメス。それを聞きそれもいいかな、旅はおしまいとキノ。あわててこれからどうするのさとエルメス。今寝て、起きたら旅をする。ボクがここで旅が終わりだと思えばそこで終わり、昼寝から起きてすることがたまたま旅かもしれない。起きたら続きを始めるとキノ。エルメスはちゃんと起きてと念を押す。最後にエルメスは「キノ、ここまでの旅、楽しかったよ」と言った。

 

   「起きた?キノ」。うん起きたとキノは答えるとゴーグルをかけた。そして「旅をはじめるか」と言い、再びエルメスを走らせた。

 

 

感想


   ついに最終回を迎えたキノの旅。チョイスされたのは小説20巻より「羊たちの草原」。今までの旅の雰囲気とは一転、国に外で羊に襲われるという異色の回であった。エルメスに乗っているのであれば余裕かと思いきや、大量の羊と崖によりじわじわとキノは追い込まれ、ついにはエルメスを一時放置せざるを得なかった。しかしキノは絶対迎えに来るとエルメスに言い、運良く車を入手した後もエルメスを決して見捨てなかった。キノとエルメスの絆が見えるお話である。

 

   今回は久しぶりのOPED放映となった。最近なかったので見れて嬉しかった。最終回が「羊たちの草原」と聞いたとき、なぜこれをチョイスしたのか疑問で、本編を見れば納得のいく仕掛けがあることを期待していた。だがそういったものはなかった。しかし最後に「旅の終わり」が始まり、これはキノの旅が新聞掲載された際の最終話であり、とても最終話らしいものとなった。さらに、エンディング明けには再びエルメスを走らせるシーンとなり、これに関しては原作には存在しない新録のシーンであった。

 

   本編では羊が猛威を振るった。初遭遇時はのどかな風景と思っていたが一転、羊たちが大挙して向かってきた。アニメではどうやら羊たちは3DCGが使われていたが、違和感なくアニメになじんでいた。車に轢かれた羊がぽんぽん舞っていたのは、残虐性を軽減するための配慮か。また原作では羊の数は幾千ともあったので、すこし少ないかなと思った。さらに、一部の羊の鳴き声があからさまに人間っぽく違和感があった。あとで気付いたのだが、名のある声優陣が羊の声を務めたようだ。

 


   原作と違う思ったのは、序盤に羊から追われている際、原作では一回威嚇射撃するが全く羊は動じなかったこと。車を見つけた際に運転手の骸骨がでてくるが、原作では骨は散らばり頭蓋骨は最後まで見つからなかったこと。運転手の手記がありそれにより事の顛末を知るのだが、それがカットされていたこと。車を運転できた時キノが喜んだが原作にも増してキノが喜んでいることだった。


   そして気になったのがキノの声。今回は切迫した展開が続きキノが叫ぶシーンが多かった。それゆえに声優の素の声が印象に残った。これは前々から気になっていたことだったが今回は特に顕著で、本編中において声の振れ幅がとても大きく、違和感が残った。この違和感がどこから来るのか。男勝りな女性たちが出るといえば個人的に「恋姫シリーズ」が挙げられるのだが、そちらでは感じたことがない。そこから察するに、そこでの声優たちは素の声を基に凄みを加えているのかなと思う。それに対しキノの声優は、キノの普段の声が素から離れすぎており、叫び声をあげるとどうしても素の声に近くなり、そこから違和感が生まれるのかなと思う。

 

   その他こぼれ話。キノが見つけた車は現実で前に見たことがある気がし、おそらくモデルの車があること。火の壁を作るために燃料を投下するが、おもったより量が少なくてあの程度あそこまでの火の壁になるか疑問だったこと。そんなところである。

 

   小説版「羊たちの草原」ページ

   小説版「旅の終わり」ページ

 


   今回でアニメは最終回。無事完走を果たしました。アニメスタッフをはじめ、関係者から視聴者までお疲れ様でした。ありがとうございました。楽しかったです。

 

 

 

キノの容姿と装備:黒いジャケット・フルート・カノン・森の人
エルメスの言い間違い。ミラクルパン→正:三行半

 

 

 

 

[ アニメ2期 ] 19:30 - | comments(2) | trackbacks(0) |2017.12.25 Monday
2017年アニメ「キノの旅」 オンエア時と修正後の違いまとめ

 2017年10月よりオンエアされたアニメ「キノの旅」。それから数ヶ月後に順次BDが発売され、さらにレンタルDVDも出された。それらを細かく比較してみるといくつかの違いが存在する。今回はオンエア時とその修正点についてまとめようと思う。ぱっと見確認しづらいものに限り、画像クリックより拡大画像が見れる。

 


第1話「人を殺すことができる国」〜空の明るさ

オンエア時   修正後

 Bパート、あのレーゲルさんの誘いを断った直後。日が明けて空の風景となるが、色調が明らかに異なる。オンエア時は「朝日による明るい空」→「訓練時は窓の外が暗め」でいわば時間が巻き戻っていたが、BD化に伴い「夜明けの暗めの空」→「訓練時は窓の外が暗め」と連続性が正されている。ちなみにオンエア時の空はBD化によって存在しなくなった訳ではなく、元々別の場所より流用されたものである。

 

 

第2話「コロシアム」〜王の死体との面会

オンエア時 修正後
諸事情により画像なし

 お話の終盤、シズが死体の父親と再会するシーン。オンエア時は血の付いた王冠が映されるが、BDではグロテスクな首のない王の全身像が映される。これは修正というよりも規制解除である。ちなみにレンタルDVDの場合、オンエア時の規制版が採用されている。

 ちなみに各所における血についても規制解除という意味で色に修正が入っていると思われる(もともと手元にあるオンエア時のキャプチャとBDの色調が異なっているため、血の色のみ修正が入っているのか確信が持てない)。そのため第1話の男が殺されるシーンや、第11話で初代キノが刺された際の血も、オンエア時はどす黒い赤でBDでは鮮明な赤い血に修正されているようである。

 

 

第3話「迷惑な国」〜メーターに映るキノの顔

オンエア時 修正後

 アバン終了直後、エルメスのメーターに反射して映るキノの顔。キノは前後のシーンでゴーグルをはめているが、オンエア時メーターに反射するキノはゴーグルをはめ忘れていた。その修正である。

 

 

第5話前編「旅人の話」〜旅に憧れる少年

ンエア時

 

修正後

 

 

 

 この国のモトラドと別れた直後。キノは出発のためゴーグルをはめ、それを少年が見ているシーン(左側の画像は少年が箒を投げ出す直前のカット)。ここは絵に関しては修正は無いが、画面の動きが変化している。実際のアニメでの動きは右画像→左画像の順で映る。右の画像からしてカメラの位置が微妙に異なるが、左の画像になると少年が映っている領域やキノの見切れ具合が全く違うものになっている。

 


第8話「電波の国」〜後ずさる警察署長

オンエア時

修正後

 

 電波基地が機能していないとのシズの報告を受け、信じられず後ずさる警察署長のシーン。ここはオンエア時の動画を見てもそこまで違和感は感じないが、比較すると結構違いを見い出すことができる。特に中央の画像は同じタイミングながらオンエア時は全く異なる。そして全体的に署長の顔が修正されている。

 


第9話その2「徳を積む国」

〜身分証を取り出す老人

オンエア時 修正後

 老人が徳ポイントの説明のため身分証を取り出すシーン。オンエア時は「エルメス描写」→「身分証を取り出す手元のアップ」だが、修正後は「カメラ引きで老人が身分証を取り出す動作」→「身分証を取り出す手元のアップ」と変更されている。ちなみにオンエア時のエルメスはBD化によって存在しなくなった訳ではなく、後のシーンで同じものが登場する。

 

〜置いてきぼりのメガネ白光り

オンエア時 修正後

 これはオンエア時でも違和感を感じた人が多いはず。老人が悩みを告白する際にメガネが白光りするのだが、画面移動の際にメガネと白光りが不自然な動きをしていた。

 


第10話「優しい国」

〜キノを先導するさくら

オンエア時 修正後

 さくらの申し出を受け一緒に歩くシーン。オンエア時に比べBDはアップの画面になっている。

 

〜スミスの店でのキノの首元

オンエア時 修正後

 パースエイダースミスに師匠を知らないかと聞かれ、キノが知りませんと答えるシーン。オンエア時は首元がジャケットであるが、この前後のシーンでは茶色のコートを着ている。BDではその修正がされている。

 

〜失望のキノ

オンエア時 修正後

 優しい国壊滅後のキノについては修正点が結構ある。最初の画像はキノの寝床がBDで追加。2枚目と3枚目はさくらの母親からの手紙を読んでのキノ。目元が見えづらいよう修正され、オンエア時よりもキノが落ち込んでいると強調されている。またキノとエルメスの体格比率についてもやや修正されているようである。

 

 

第11話「大人の国」〜エルメス命名時の少女キノの口元

オンエア時 修正後

 修理したモトラドの名前はエルメスがいいと少女キノが言った後、「じゃあそうしよう」と初代キノが言った際の画面。ほんのわずかな修正だが、キノの口元が微笑みに修正されている。

 

 

 最終回12話については修正点は確認できず。オンエア時と修正後の違いまとめは以上です。

 

 

[ アニメ2期 ] 21:43 - | comments(0) | trackbacks(0) |2018.11.30 Friday