キノの旅を総括したい

"世界は美しくなんかない。そしてそれ故に、美しい"
そんな世界を余すことなく総括する、キノの旅まとめサイト。ネタバレ注意


 
 〜 管理人コメント 〜

小説版キノの旅23巻が
2020年11月10日発売!
恒例のレビューは年末年始
頃からになると思います


キノの旅データベース
作中言語解説記事
〜それぞれ公開中です


全話リストはこちら


キノの旅 the Beautiful World Best Selection I    


 記事検索

 全話リストはこちら



 
SELECTED ENTRIES
RECENT COMMENTS
RECENT TRACKBACK
         













































キノの旅XV 感想(ネタバレあり)

●キノの旅XV -the Beautiful World-
「誰だって、悪いことはしない。 誰だって、何が悪いかは自分で決めている。」 -We're No Devils-
発売日:2011年10月10日
登場人物:キノとエルメス、シズと陸とティー、師匠と弟子、フォトとソウ

 

 

2018/7/10以後周辺〜巻全体を通し記事を加筆修正


この巻について
 この巻より小説12巻「雲の前で」にて生き残った少女フォトとモトラドのソウの生活が始まる。彼女らこそキノの旅シリーズ第四の主人公達である。ほかにも獰猛なヒグマを退治する師匠のお話「ケダモノの国」。小説2巻でのキノのピンチを救うことになる「マニアの国」。初代キノの足取りが垣間見える「ジャーナリストの国」などなど。

 そして、最後は著者による「あとがき」ならぬ「おしながき」。これまで出てきた食材を用いた料理のメニュー! これはよだれもの。奇想天外なキノの旅著者であるが、今回の小説カバーでは珍しく姿を確認できる。いつもは人ではないのでとても珍しいことである。

 


目次
口絵「見つけてしまった国」(三者三様)
口絵「白い国」
プロローグ「戦って死ぬということ・b」(シズのお話)
第一話「ケダモノの国」(師匠のお話)
第二話「マニアの国」
第三話「過去のある国」
第四話「フォトの日々」(フォトのお話)
第五話「ジャーナリストの国」
第六話「犯人のいる国」
エピローグ「戦って死ぬということ・a」(シズのお話)
おしながき

[ 小説第15巻 ] 22:41 - | comments(0) | trackbacks(0) |2017.09.06 Wednesday
キノの旅十五巻口絵 見つけてしまった国 感想

●見つけてしまった国 -Eureka!-
一言でいうなら:温泉を掘り当てた国の行方
名言:(強いてあげるものはなし)


登場人物:師匠と弟子、シズと陸とティー、キノとエルメス
話の長さ:数ページ
備考:三者三様

 

 

あらすじ
 師匠達が入国した国では白い湖があった。だがその白くて熱いお湯のおかげで魚は育たないし作物は枯れるのだという。師匠はこれを温泉だと言い、お風呂として利用すればたくさんお客さんが来てくれると言った。だが住人達は信じていないようなので、師匠は相棒の男に入るように命じる。男は渋々と全裸になって温泉に入り、「あー、気持ちいい」と言った。

 

 シズ達が入国した国では白い湖があり、その白くて熱いお湯のおかげで温泉街として潤っていた。聞くところによると温泉のおかげで儲かってしょうがなく、やがては近隣の住人を雇って自分達は楽をするのだという。残念なことだとシズは言い、一行は温泉(注・混浴ではなかった)に入った後に出国した。

 

 キノ達が入国した国では普通の湖があった。その周辺では使われてしまわなくなった建物が並んでいた。かつて温泉街として栄えたが、少し前の地殻変動で温泉が枯渇してしまい、稼いだお金は建設費などに消え、元の貧乏国家として暮らしているとのことだった。だが住人達はそれでよかった、稼いでいたときが狂っていたと振り返る。


オチ
 エルメスが湖の砂場に砂金があることに気付き、この事を住人達に言うかキノに聞いた。キノは答えた。


感想
 教訓を得たと思ったら再び悪しき歴史が繰り返されそうなお話。最後にキノは住人達に話したのだろうか? 不干渉のキノだから話さなかった気がするが。

 

 

キノの容姿と装備:茶色のコート
殺害人数:0
国の技術レベルと特産物等:近代・温泉
収穫:温泉に入れた・キノは砂金を入手した?

 

[ 小説第15巻 ] 23:12 - | comments(0) | trackbacks(0) |2017.09.06 Wednesday
キノの旅十五巻口絵 白い国 感想

●白い国 -Taste!-
一言でいうなら:貝が有り余ってしまった国
名言:(強いてあげるものはなし)


登場人物:キノとエルメス
話の長さ:数ページ

 

 

あらすじ
 入国した国はいわゆる白い国だった。城壁・路面・家の壁・その他人工物はどこもきれいに真っ白だった。さらに道を進むと湖の畔に白い山があった。それは貝殻で作られた数十の山々だった。その貝の中身はどうなるのかというと、食事としてキノの前に出れた。さまざまな貝料理をキノは堪能した。

 住人にこの国は貝が好きなのかと聞くと、まさか正直見たくないと返ってきた。なんでも、この貝の繁殖力は異常で、こうやって食糧から人工物にいたるまで貝を消費しないと、国唯一の水資源である湖を維持できなくなってしまうという。そのため仕方なくさまざまなことに活用しているそうだ。だが、昔からそうというわけではないらしい。

 

オチ
 これだけ貝が有り余ってしまったのは、これまで稚貝を食べてくれていた鳥を人間が食べつくしてしまったからであり、50年前に起きたそうだ。それをアドバイスしたのは旅人だったという。

 

感想
 人間が自然の食物連鎖を壊した故に損をする話。自然の摂理を守らないと手痛い目に会うことを教訓としたい。
 最後のアドバイスをしたというのはもしかして師匠達なのか? 五十年前とのことだが、師匠達が活動していた時期が示されている話はこれまであったか?

 


キノの容姿と装備:不明
エルメスの言い間違い:なし(累計言い間違い数:35)
殺害人数:0(キノの累計殺害人数:48)
キノが危害を加えられそうになった回数:0(累計数:45)
国の技術レベルと特産物等:現代・貝
収穫:貝料理

 

[ 小説第15巻 ] 23:47 - | comments(0) | trackbacks(0) |2017.09.06 Wednesday
キノの旅十五巻第一話 ケダモノの国 感想

●ケダモノの国 -Standing Beast-
一言でいうなら:ヒグマとその黒幕を倒す話
名言:(強いてあげるものはなし)


登場人物:師匠と弟子、ブラッキー(ヒグマ)
話の長さ:数ページ
備考:戦闘あり

 

 

 

あらすじ
 師匠達は積雪地帯の交通を考慮し赤茶色のキャタピラ搭載トラックで旅をしていた。国につくと、なにやらヒグマがでたとのことで討伐隊が組まれていた。ヒグマはこれまで見たことはなかったのだが、近ごろ出没し人的被害が出て国の産業、さらには存続も危ぶまれているという。国の住人が師匠達を討伐隊に加えてみてはどうかと、討伐隊のリーダーである警察の部隊長に言うが、旅人に迷惑をかけるわけにはいかないということで断られた。師匠はその日の夜、弟子に大口径の銃と特定の弾丸を準備しておくように言った。


 次の日の朝、師匠達は美味な豚肉を食べていると、警官隊が襲われたとの声が聞こえた。討伐隊は大損害を受け、半数以上がやられたという。すると、この国の国長が師匠達に面会を求めてきた。ヒグマ退治の依頼で報酬は国民の命と個人の財産以外、欲しければ老い先短い自分の命でもいいという。師匠は依頼を承諾し、反対する部隊長をよそに大掛かりな装備の用意を頼んだ。


 防御に徹したトラックと、その中で重武装した師匠と弟子が出発した。まずはヒグマを探し出すために油放射で森を燃やして回った。そしてついにヒグマを発見、何度かの追跡劇を繰り広げ、ついにヒグマにとどめをさそうとしていた。だが最後で師匠は思い留まった。珍しく動揺する弟子に、師匠は逃げるヒグマを追跡するように指示した。師匠はヒグマが首輪つけているという。


 時間をおいて師匠達のトラックが国に帰ってきた。トラックの後ろには倒したヒグマが引きづられていた。国長や部隊長が集まり師匠達を出迎えた。師匠はこのヒグマは「ブラッキー」と言った。住人達が意味が分からないでいると、さらに洞窟でみつけた旅の一家のらしき死体を見せ、部隊長の被害者だと言った。


 部隊長がいきなり師匠に発砲しようとしたが、弟子が撃ったゴム弾がそれを防いだ。そして、ヒグマに首輪がついていたこと、そこからヒグマと一家を含めサーカスの一団であったこと、そして一家の死因となった銃弾を使用しているのは部隊長だけだと証拠を並べた。

 

 

オチ
 すると、手詰まりを迎えた部隊長が国長を人質にとった。彼はもともとこの国から出国したかったが積雪地帯で足がなく、サーカスの一団を殺しその足を奪った。その際ヒグマも殺したつもりだったが、仕留めきれていないことに気付いたのだった。部隊長は国長を人質に師匠達いろいろ要求したが、師匠は自分達は旅人であり国長の命など関係ないと言った。そして隙を突き弟子が男を無力化した。

 

 

感想
 ヒグマ退治のお話。多人数のほうがかえって仕留めるが難しいというのは意外だった。さらに連射式のパースエイダーを撃っても勝てないとは。ヒグマなんてと管理人はネット上でしか知らず軽く見ているが、実際に遭遇したら命はないと思う。

 

追記

 お話の冒頭で「ペミカン」と呼ばれる保存食が登場、詳しくはググれば出てくる。著者は旅人の携帯食料についてよく読者から聞かれるそうで、おおまかのモデルはカロリーメイトだそう。詳しくは著者の過去のツイートにて。

 

 

 

師匠達の容姿と装備:油放射による火炎が可能な装甲トラック・散弾パースエイダー・ライフル・大口径ライフル・自動で連射できる軍用ライフル・ほか高威力のパースエイダー・サイレンサー付きハンドパースエイダー・ガスマスク

殺害人数:0(師匠達の累計殺害人数:116)
師匠達が狼藉を働いた回数:0(累計数:10)
国の技術レベルと特産物等:近代
収穫:豚肉料理・ヒグマ退治の報酬

[ 小説第15巻 ] 21:42 - | comments(0) | trackbacks(0) |2017.09.07 Thursday
キノの旅十五巻第二話 マニアの国 感想

●マニアの国 -What I Want & Why I Want-
一言でいうなら:銃マニアに出会う話
名言:(強いてあげるものはなし)

 

登場人物:キノとエルメス
話の長さ:約ページ
備考:他の話とリンク(人を喰った話の前日談)・口語がメインの話

 


あらすじ
 キノが案内されたのはパースエイダーマニアのコレクション部屋だった。案内した男の物で、普通の給料では足りなかったのでレストランの会社を始めて、国で一大チェーン店の創設者になったのだという。男はキノのパースエイダー細かく分析、そして感心した。そしてどれか、もしくは全てを譲ってくれないかと申し出たがキノは断った。男は自分の場合でも同様に答えるだろうと理解し、引き下がった。

 

オチ
 だがキノがこの銃で人や動物を殺すと聞くと男は驚いた。銃は芸術品であり、撃って血に染めるなんてありえない、そんなことがある旅になんて絶対出ないと言った。次の日、キノに男から手紙と小荷物が届いた。自分が入荷した物の中にナイフ型のパースエイダーがあり、大嫌いなので使ってほしいそうだ。さらにナイフは人を傷つける恐ろしいもので、この国では殺人事件の九割以上が刃物によるものだという。手紙を読んで最後まで妙な人だったとキノ。そしてナイフ型のパースエイダーをもらっておき、今後雪上で走行するためにエルメスに雪上仕様の装備させることを考えた。

 

感想
 銃は本来人を殺すものなのに、その本分から離れている銃マニアのお話。そのくせナイフは嫌っているのが矛盾しており変である。この話は第二巻「人を喰った話」の前日談であることがうかがえる。エルメスの雪上装備の言及と、もらったナイフ型のパースエイダーである。キノはこのパースエイダーにより命拾いすることとなる。
 作中、キノの装備についてマニアらしい事細かな解説がなされる。これを聞くとメタルギアソリッド3でのスネークの銃の独奏を思い出す。

Youtube「観るMETAL GEAR SOLID 3 SNAKE EATER」https://youtu.be/KZea7E7drnM?t=1h26m53s

 


キノの容姿と装備:カノン・森の人・フルート
エルメスの言い間違い:切り札もないね→正:身も蓋もない(累計言い間違い数:36)
殺害人数:0(キノの累計殺害人数:48)
キノが危害を加えられそうになった回数:0(累計数:45)
国の技術レベルと特産物等:現代
収穫:ナイフ型のパースエイダー・レストランチェーン店の無料利用

[ 小説第15巻 ] 23:40 - | comments(1) | trackbacks(0) |2017.09.07 Thursday
キノの旅十五巻第三話 過去のある国 感想

●過去のある国 -What We Have Taught.-
一言でいうなら:無人の国に住み着いた話
名言:「(早起きを否定するエルメスに)そんなことはない! エルメスはやればできるモトラドだと思う! さあ、昔を思い出すんだ! 明日から自信を持ってよろしく」

 

登場人物:キノとエルメス
話の長さ:約20ページ

 

 

あらすじ
 これから向かう国は、師匠になぜか人のいない美しい廃墟だと聞いた国であった。誰もいないならそこに住むのか、なら二人ではさびしい、それならカノンに喋ってもらおう、エルメスとカノンが仲良くなって結婚したら子供の名前を考える、そんな会話をしながら目的の国を見つけた。
 見つけた国には普通に人がいた。旅人が来たと行くことでお祭りになり、豪華な食事がふるまわれた。だがこの国は八百年ほど前から存在し、それまでの間留守をしたことはないという。不思議がりながらも国を見学、出国しようとした矢先、国で一番長生きの長老と呼ばれる老婆がキノに会いたいと言ってきた。

 

オチ
 老婆によると師匠の言う通り元はこの国は無人で、老婆自身も含めた祖先である重犯罪者百人が見つけ住み着いたのだという。そのため国で伝わっている歴史は嘘であり、後からすべてをでっち上げたものだった。さらにその歴史の決め方とは発言した声が大きくて議長が聞き取れたものという決め方だった。そして老婆は元の持ち主が帰ってくるのではないかと恐れており、真実を知る者は自分だけで、子孫達は事情も知らないままになる。なのでせめて旅人さんだけは覚えておいてほしいと言う。
 老婆と別れキノ達は出国した。キノが"本当の歴史"ってなんだろうねと言うと、エルメスは"そこにいるみんながそう思っていること"でしょ?と言った。そしてキノも何か歴史を作れば自慢でき、お金持ちになれるよとエルメス。そんなつもりはないがエルメスの歴史を作ってあげるとキノは言い、早起きするエルメスの歴史を作ってあげた。エルメスは無言になった後、その過去いらないと言った。

感想

 誰もいない国。いったいなぜそんな国ができたのか。別の国では占い師のお告げに従い遺棄した人々もいたが(つながっている国)。名言で書いたようにキノは「!」を使いエルメスに発破をかける。キノが「!」を使うなんて初めてではないだろうか。
 エルメスとカノンの結婚し生まれた子供の名前…。なにかいい名前を考え付いたらここに書こう。それぞれ関連性がある名前が適しているはずだ。追記、「パッヘルベル」なんてのは? 少し長いから愛称はベルで。由来は「パッヘルベルのカノン」より。カノンにつながりがあり、エルメスはギリシャ神話の神様の名前から来ている人名?で、パッヘルベルも人名なので。

 

 

キノの容姿と装備:コート
エルメスの言い間違い:なし(累計言い間違い数:36)
殺害人数:0(キノの累計殺害人数:48)
キノが危害を加えられそうになった回数:0(累計数:45)
国の技術レベルと特産物等:現代
収穫:羊の丸焼き等振る舞われた食事

 

[ 小説第15巻 ] 00:25 - | comments(0) | trackbacks(0) |2017.09.08 Friday
キノの旅十五巻第四話 フォトの日々 感想

●フォトの日々 -the Beautiful Moment-
一言でいうなら:安住の地に辿り着く話
名言:「よく考えろ。その金で救える人だって、いるだろ?」

 

登場人物:フォトとソウ
話の長さ:約30ページ
備考:他の話とリンク(雲の前での後日談)

 

 

「あの日から」 -Since I was Born.-

 

あらすじ
 ソウ(モトラド)のご主人はフォトという17歳の女性。


 フォトは生まれたときには親と祖母がいたが、流行病で死に孤児となってしまった。孤児院に引き取られたフォト(当時は別の名前だった)はよい子に育ったが、生まれた国で宝石の採掘高が足りなかったせいで、宗教国家の教祖様から商人達に売り飛ばされてしまった。商人からは奴隷として扱われ、ひどい仕打ちをうけた。しかしソウは「人類皆仲良し」といったような故郷の教えを信じ耐えていた。そんな最中、商人達は毒にあたりフォト一瞬躊躇し止めることができなかった。そしてフォトは一人生き残った。


 そして話し手ことモトラドのソウにフォトは出会った。ソウはフォトに金目のものを集めるよう説得し、生き残るためにおぼつかないトラックの運転で旅立った。ソウはその時名前のなかったフォトのために「×××××・×××××」と命名、旅は十日以上続いた。その間さまざまな景色を見て、この景色を絵に閉じ込められたらいいのにとフォトは言った。


 燃料が尽きかけ、いざとなったら自分を置いて生き抜けとフォトに言った矢先、ついに国を発見した。その国はとても理想的な国であった。入国してしばらくすると、背広の男女の一団がフォトに事情を聴きたいと話しかけてきた。ソウはフォトを守るために嘘の話をするつもりだったが、フォトは洗いざらい真実をしゃべった。ソウは肝を冷やしたが、背広の人はそもそも商人達の存在を知っており、それをフォトの話と照らし合わせ納得したのであった。そしてフォトが持ち出したトラックの物をオークションに出し、それをフォトの資産にすることを提案。それを承諾したことでフォトはお金持ちになった。


 お金を寄付すると言い出したフォトだったがなんとかなだめ、とりあえず住処を購入することにした。仕事がしたいというフォトに、ソウはあえてオークションから外したカメラについて教えた。フォトはカメラにのめりこんでいき、ソウに乗って撮影をして回った。そのうち、写真を撮ってくれる少女がいるというふれこみで、報酬を出すので写真を撮ってほしいと依頼が来るようになった。そして家に写真撮影引き受けますと看板を立て、ついに店としてやっていくことになった。


 そのうち彼女は、ソウが名づけた「×××××・×××××」ではなく、「フォト」とみなから呼ばれるようになった。

 


感想
 フォトは苦難と幸運の末生き残った。そして運良くいい国にたどり着き写真屋として店を構えることなった。ソウが憂慮するように、キノの旅シリーズの傾向からしてみればとても幸運なことである。


 この国では国土は広く高層ビルはないが、巨大なドームがあるという。確かいままでの国でそんな国があった気が。ドームだけならプライバシーゼロの「国境のない国」が挙げられるが、さすがに違うであろう。またシズが後にこの国へ入国する(渡す国)ので、少なくともシズが過去に来た国ではない。

 

[ 小説第15巻 ] 05:29 - | comments(0) | trackbacks(0) |2017.09.08 Friday
キノの旅十五巻第五話 ジャーナリストの国 感想

●ジャーナリストの国 -How to Be a Liar-
一言でいうなら:元祖キノのデマに仕返しする話
名言:「その場にいない人を悪く言うほど、簡単なことはないよねえ」

 

登場人物:キノとエルメス
話の長さ:約10ページ
備考:初代キノ関連

 

 

あらすじ
 入国審査官にキノという名前の旅人は多いのかと聞かれた。そうは思わないと答えると、あなたは年も性別も違うから別人でしょうねと入国審査官。その後もキノは行く先々で、キノと名乗るたびに警戒されるも別人だと言われた。警官に話を聞いてみるとこの国の有名なジャーナリストが書いた本に、キノという名の背の高い茶色いコートを着た殺人鬼について書かれているとのことだった。そしてその本はあまりにセンセーショナルであり、大ベストセラーとなったそうだ。
 キノは出版社に電話し著者に言伝を頼んだ。そして目論見通り著者と会えることになった。著者の自慢話を聞き流した後、キノは例の本が嘘であり報酬がほしいと切り出した。

 

オチ
 自分の国では旅人はみな茶色のコートを着てキノと名乗っていること。そして本のキノに会ったがそんなことをするような人でないこと。それについて言いふらすことはしないこと。逆にネタにしていいので少し路銀がほしいこと。この申し出を断ったからといって言いふらすつもりはないということ。そしてこれはあなたがやったことと同じくビジネスで、お金のための嘘だと言った。
 キノは荷物を満載したエルメスで出国しようとした。その際郵便局も兼ねている城門にて、カセットテープと手紙の入った小包を渡し、報道各社へ送り届けてもらうよう頼んだ。出国し、もう燃料タンクに録音機を隠すのは嫌だとエルメス。そして報道各社がこの件を報道するかなと聞くと、キノは報道社の損得次第だと答える。エルメスは死んだ人の名誉って回復されるかなと聞いた。


感想
 少し設定の整理を。オチから語られる事実はほとんどが嘘である。確かに初代キノの故郷の旅人はみな茶色のコートを着ているが(故郷は旅人用のコートがこれしかないため)、みながキノと名乗っているわけではない。ただ本の内容が初代キノをモデルに書かれていることは、キノの行動からして間違いない。そこから察するに、初代キノはこの国を訪れ本の著者と出会った。初代キノは別に悪いことはせずに著者と別れたが、著者はキノの殺人鬼だとでっち上げた。そして、それに怒ったキノが路銀入手と真実の告発のためにエルメスに盗聴機を仕込み、それを報道各社に送った。というのが事の顛末のようである。
 お金のための嘘はつくことができる。だがそれ相応のリスクが伴う。本の著者は嘘で莫大な利益を得たが、キノにより嘘のリスクを精算することとなった。

 


キノの容姿と装備:茶色のコート・パースエイダー
エルメスの言い間違い:なし(累計言い間違い数:35)
殺害人数:0(キノの累計殺害人数:48)
キノが危害を加えられそうになった回数:0(累計数:45)
国の技術レベルと特産物等:現代
収穫:優れた工芸品ほかキノの要求物

 

[ 小説第15巻 ] 20:08 - | comments(0) | trackbacks(0) |2017.09.08 Friday
キノの旅十五巻第六話 犯人のいる国 感想

●犯人のいる国 -He Had Done It.-
一言でいうなら:双子だと思った殺人鬼が三つ子以上だった話
名言:(さんざん大口を叩たのにあっさり倒した殺人鬼に)「"無敵で、思考の、上位の存在"?」「だから何だ?」

 

登場人物:キノとエルメス
話の長さ:約80ページ
備考:戦闘あり・他の話とリンク(ケダモノの国、昔話で言及)

 

 

 

あらすじ
 キノは定例の訓練を済ませ目的の国へと向かった。入国審査官はこの国は治安が悪いので命を落とす覚悟をしてほしいと言う。相手に言ってねとエルメス。そしてこの国では目に付くところにパースエイダーをかざすのは禁止であり、滞在中は鞄の中にパースエイダーを入れておくことになった。レストランに行くことになったキノとエルメス。キノは美味しい唐揚げだというと、店の人は不思議そうな顔をした。店の人は唐揚げという言葉を知らずほかの国にもこんな料理があることを知らなかった。

 

 食事を終えホテルに帰ろうとエルメスを走らせていると、死体とその犯人がいた。犯人はすぐ逃げたが顔は確認できた。警察に通報すると、犯人は国を騒がしている連続殺人犯だった。犯人の特徴をエルメスはしっかり覚えており、詳しく刑事に話した。次の日、犯人確認のために協力してほしいとキノとエルメスは男の家に行くことになった。男は確かに犯人の顔をしていたが、彼には完全なアリバイがあった。捜査協力を終えエルメスで道を走っていると、いきなり車が道を防いできた。例の男が襲ってきたのだ。キノは反撃しようと銃を取り出そうとするが、それがカバンに入っていることに気付きナイフを取り出した。そして攻撃してきた男と対峙するが、男は荷台から落ちた箱から森の人を取り出し、持ち逃げしてしまった。


 警察に襲われた件を話したが、やはり前回の男にはアリバイがあった。ここでエルメスはありきたり過ぎて言っていなかった双子説について聞いてみた。すると刑事は双子がなにかを知らなかった。キノ達により双子とは何かを教えられ、刑事達は驚愕した。


 そしてキノは自らが男の家に乗り込み真犯人を倒すことにした。一応不法行為を働くこととなるが、この国の法律には抜け穴があり旅人にはさして罰せられないのであった。男の家に行きまずはアリバイ役の男を無力化、家に煙を充満させ真犯人をあぶりだそうとした。だがなかなか男の姿をみせない。キノは地下室の存在に気づき乗り込んでいった。視界が聞かない中、キノははなから目を閉じて気配を察知、男が有利な状況の中で見事撃破した。

 

 

オチ
 これで一件落着かそうでないかなとエルメスは言った。キノは出国、森の人は取り戻したし、これ以上変態兄弟に付き合っていられないといった。後日国では死体と「兄弟達の恨みだ」と書かれた文字があった。

 


感想
 事情があったといえ森の人を奪われてしまうのは、キノらしからぬ手痛いミスである。だが相手が有利な地下室で目をつむって敵を倒す芸当はさすがキノといったところ。名言で書いたキノのセリフは普段のキノらしからぬ口調であり、きっと強面な口から発せられたのだと思う。

 

 


キノの容姿と装備:十代の半ばほど・茶色のコート・黒いジャケット・ゴーグル・カノン・森の人・借り物のガスマスク
エルメスの言い間違い:弁解のないシャルルはいらない→正:キノは指摘しなかったため諸説あるが「例外のないルールはない」説が強いよう(累計言い間違い数:37)
(参考URL:2ちゃんねる「時雨沢恵一総合スレ 92」http://toro.2ch.net/test/read.cgi/magazin/1319252741/134-
殺害人数:0(キノの累計殺害人数:48)
キノが危害を加えられそうになった回数:1(累計数:46)
国の技術レベルと特産物等:現代
収穫:唐揚げ・犯人逮捕協力の謝礼

 

[ 小説第15巻 ] 22:00 - | comments(2) | trackbacks(0) |2017.09.08 Friday
キノの旅十五巻エピローグ・プロローグ 戦って死ぬということb・a 感想

●戦って死ぬということ -Order!-
一言でいうなら:洗脳少年兵の話
名言:(強いてあげるものはなし)


登場人物:シズと陸とティー
話の長さ:数ページ

 


bパートあらすじ
 男は絶叫した。そんな馬鹿なと言い絶叫し続けた。そして、嫌だ死ぬと言い自殺を図ったが、少年兵がそれを止めた。そして「どんな状況でも、しっかり戦ってから死ね」とあなたから教わったと言った。


aパートあらすじ
 シズ達が着いた国では戦争が絶えず、この国と似たような小国同士が資源の採取地を巡り争っていた。話し合って決めれば結果的にロスは少なくて済むという合理的な考えや、相手を信じることができないようだ。いつもより多めに補給をし出国、すると話に聞いていた軍隊の宿営地があった。そこには少年兵達がおり、そのうちの一人が「×××××! ×××××!」とわめいて自分達の乗る車に突っ込んできた。轢くかに思えたが、その前に少年は誰かに撃たれた。撃ったのは勲章をつけた正規の軍人の男だった。
 男は謝罪した。シズが殺す必要があったのかと聞くと、負傷させても薬と治療の時間が無駄なこと、規律を守らせるためには殺すのが一番のこと、頭を打たないと流れ弾が別の兵士にあたる可能性があったことを指摘した。シズ達はお茶に誘われ男の話を聞いた。自分は少年兵部隊を率いている将校であり、少年兵は命令を忠実に実行する理想的な兵士だという。そして少年兵に「どんな状況でも、しっかり戦ってから死ね!」と言い、少年兵がはいと受け答えた。そしてこのような優秀な少年兵は、以前開発された偽の記憶を埋め込ませることができる薬によるものだと言った。
 一連のやりとりをしティーがたいへんよくわかったと言った。そして珍しく長い台詞で、あなたは少年兵と同じ目をしている、昔のことを覚えているかと言った。すると男は絶叫した。


感想
 少年兵を使い捨てていたが、自分も少年兵だったことに気づかされるお話。ティーが長い言葉をかけて真実を叩きつける。少年兵の問題は恐ろしいものである。中でもポルポト政権下の少年兵の存在は常軌を逸していいる。

 


殺害人数:0(シズの累計殺害人数:27)
シズの主張が認められなかった回数:0(累計数:5)
国の技術レベルと特産物等:近代
収穫:なし

 

[ 小説第15巻 ] 23:40 - | comments(0) | trackbacks(0) |2017.09.08 Friday
キノの旅十五巻 おしながき 感想

●おしながき -Preface-
一言でいうなら:これまで出た食材を使った料理のおしながき

 

 

内容
 前菜と野菜・肉料理・魚料理・鍋料理・パン・お飲み物・デザートの項目で各料理が並ぶメニューとなっている。


感想
 「あとがき」ならぬ「おしながき」。管理人が選ぶとしたら、ちゃんと低い土地に生えている草を使った「野草のシチュー」に「クロワッサン&マーマレード」、あと「クリームたっぷりのシュークリーム」も食べたいなぁ。

 

[ 小説第15巻 ] 00:08 - | comments(0) | trackbacks(0) |2017.09.09 Saturday