キノの旅を総括したい

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キノの旅XXII
the Beautiful World
(電撃文庫)

   


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キノの旅掘ヾ響曄淵優織丱譴△蝓

●キノの旅 -the Beautiful World-

「知っているのか 知らないのか 知っているのか」 -Where is the terminal?-
発売日:2001年1月25日
登場人物:キノとエルメス、シズと陸、師匠

 

 

2018/4/19以後周辺〜巻全体を通し記事を加筆修正

 

この巻について
   第一話にはシリーズ最大のピンチと言っても過言ではない「城壁のない国」。銃や近接戦闘においては無敵のキノであるが、別の手段により危うく旅が強制終了しかけた。ほか、シリーズで初めて明かされた師匠の元でのキノ修業時代「説得力」。さらに後の主人公フォトの前日談「雲の中で」が描かれるのもこの巻である。

   そして特筆すべきは「差別を許さない国」。小説上で「×××××」が連発するという面白さもさることながら、そこから「本当の蒼い空」が登場した真意の考察には脱帽ものであった。

 


目次
口絵「愛と平和の国」(シズのお話)
プロローグ「雲の中で・b」
第一話「城壁のない国」
第二話「説得力」
第三話「同じ顔の国」
第四話「機械人形の話」
第五話「差別を許さない国」
第六話「終わってしまった話」
エピローグ「雲の中で・a」
あとがきの話

[ 小説第3巻 ] 14:44 - | comments(0) | trackbacks(0) |2017.08.06 Sunday
キノの旅三巻口絵 愛と平和の国 感想

●愛と平和の国 -Power Play-
一言でいうなら:歌で戦争を防いでいるつもりの話
名言:「戦争のことしか考えてない国も、戦争のことを考えていない国も、お断りだな」


登場人物:シズと陸
話の長さ:数ページ

 

 

あらすじ
   辿り着いた国には城壁がなかった。この世界では国は城壁があって当たり前である。シズが落ち着かない様子で国の指導者に事情を聴くと、この国はいままで戦争があったがすべて平和的に解決しているという。そしてタイミングよく敵軍が現れた。すると国のコーラス隊が敵兵の前で平和の歌った。最初は固まっていた敵兵だったが、そのうちに声援を送ったり楽しそうにはしゃぎだした。
   シズが出国すると、さきほどの敵軍団を見つけた。

 

オチ
   軍司令官によると兵士達は宣戦布告なんて知らず、慰安という名目で国に来ただけであった。そして別の大国を見据え、その大国がさきの国を攻撃しようものなら属国防衛という大義名分のもと戦争し、勝利を収めるとのことだった。

 

感想
   やっぱり歌程度では戦争は止められないというお話。シズが城壁がないことが落ち着かないと言っているが、キノの旅の世界では国の技術レベルに関係なく城壁があるらしい。現実世界において城壁は中世ではそこらじゅうに存在したが、火薬と大砲の発展により陳腐化してしまった。そしてその役割は要塞や塹壕が担うことになった(参考URL:ウィキペディア「城壁」https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9F%8E%E5%A3%81)。日本国内で最後の攻城戦が行われたのは、ちゃんと調べたわけではないが西南戦争のはず。2016年4月の熊本地震の際、メディアによく取り上げられた熊本城あたりか。

 

追記

   「×××××」という記述が登場。一巻のキノの本名以来の登場である。今回の場合は国家体制にあたる言葉のようだ。

 


殺害人数:0(シズの累計殺害人数:2)
シズの主張が認められなかった回数:0(累計数:1)
国の技術レベルと特産物等:近代(イラストから察するに)
収穫:なし

[ 小説第3巻 ] 19:49 - | comments(0) | trackbacks(0) |2017.08.06 Sunday
キノの旅三巻第一話 城壁のない国 感想

●城壁のない国 -Designated Area-
一言でいうなら:草中毒にされかけた話
名言:
「(自分に遊牧民は向いていない→どういうのが向いているの)それを探すこと、かな」
「なるほど、君は、自由という不自由に耐えることができるのか。大したもんだ」


登場人物:キノとエルメス、ラウハー
話の長さ:約40ページ
備考:戦闘あり

 

 

 

あらすじ
   エルメスで走行中退屈していると、遊牧民のテントの群れがあった。そこで暮らす大人達の半数はパイプをくわえていた。歓迎を受けたキノはテントで食事をごちそうになるが、そこでもみながパイプを吸うものだから、煙くてキノは外に出た。すると一人の男が近寄ってきて短い間言葉を交わすとすぐに行ってしまった。その男には次の日も同じように話しかけられた。


   三日目の昼、ぜひにと誘われた食事をキノはたいらげた。食後のお茶を勧められたがキノは断った。そして旅立とうと席を立つと、いきなり女性が棍棒で殴り掛かってきた。民に包囲されかけるが、テントの柱を撃ちなんとかやりすごした。外に出て身を隠した瞬間、背後からいきなり口をふさがれた。キノは口をふさぐ男の顎を狙いカノンの引き金を引いた。しかし弾は出ずキノの表情が凍りついた。だがキノを拘束した男は危害を加えないと言った。声の主は先日言葉を交わした男でラウハーと名乗った。そしてキノに味方し寄ってきた民を殺した。

 

 

オチ
   ラウハーの指示でいったん一つのテント入った。そこにはラウハーによって保護されたエルメスがいた。ラウハーが保護しなければエルメスは壊されている所だった。ラウハーによるとここでは昔から旅人を見定め無能なら殺し、有能なら草を吸わされ草中毒にされてしまうのだという。民が常にパイプを吸っているのは禁断症状を避けるためであった。そしてラウハーも元旅人で、そうやって取り入れられたのだった。当時やけくそになっていたラウハーであったが、遊牧民の女性に生きていればいいことがあると言われ結婚。だが彼女は死産し、もう子供を産めないという事で殺されてしまったそうだ。


   追っ手に見つかった。2人は包囲されてしまうが、ラウハーの細工により例の草の保管庫が燃えた。これでみなの命は十日だという。それを悟った民は火に飛び込んだり、消火しようとして酸欠になったりと地獄絵図となった。残った途方に暮れる者はラウハーが苦しまずに死ねると殺していった。


   近くの国へ行き中毒を抜く方法をさがさないかとキノ。だがラウハーは残された子供たちに大人が何をしたかを教えるため残ると言う。ついでにもしキノが取り込まれたら、ラウハーと夫婦にさせられるところだったそうだ。


   キノが去った後、ラウハーは子供たちの元に行くが、意思を伝えられないまま子供に殺された。そして子供たちは族長が隠し持っていた草を吸った。「半月ほど後。この部隊は、」という文章で物語は終わる。

 

 

感想
   やはり最後は全滅したと思えないのだが、救いはあるのだろうか。少なくとも草の中毒になったのは間違いない。うまく新しい草を見つけたとしても、結局元のままなのだから救いがない。

 

   それにしても今回のキノは危なかった。不審なお茶程度ならキノは回避できるが、もしラウハーが味方してくれなかったらさすがにエルメスは破壊されていた。まあ馬を強奪すればなんとかなるかもしれないが、エルメスとはほぼお別れに変わりない。とにかく、キノの生存にはラウハーの存在によってであった。ラウハーが味方してくれなかったら、ラウハーの妻が殺されてなかったら、ラウハーは元の国では暗殺のプロでキノを拘束から殺すこともできた、そう考えるととても危険な回であった。こちらのページでキノのピンチ回をまとめているが、このお話こそが1位だと思う。


   随所でキノの優しさが垣間見える話でもある。殺されそうなのにキノは不殺だし、ラウハーに近隣の国で生き残る道を探そうと提案した。管理人は正直キノは殺されそうになったら殺す+事なかれ主義だと思っていたが、ラウハーへの提案にはキノを見直した。


   ところで、パイプを吸っている人物というとあなたは誰を思い出すだろうか。世界的に有名な人ならやはりシャーロックホームズではと思う。実は彼が吸うあれ、大麻用のパイプだそうだ。もちろん当時は違法というわけではなく(参考URL:ヒロ嶋田のスモーキートークVol.40「シャーロック・ホームズのパイプ」http://cigardirect.hk/Hiro_Shimada_smoky_talk_40.html)。これはアヘン戦争がテーマの掲示板から知った。

 

 


キノの容姿と装備:十代半ばほど・茶色のコート・ゴーグル・カノン・森の人・大きな鞄
エルメスの言い間違い:なし(累計言い間違い数:6)
殺害人数:0(キノの累計殺害人数:6)
キノが危害を加えられそうになった回数:1、一連を合わせて(累計数:11)
国の技術レベルと特産物等:中世
収穫:牛肉など振舞われた食事

[ 小説第3巻 ] 20:16 - | comments(0) | trackbacks(0) |2017.08.07 Monday
キノの旅三巻第二話 説得力 感想

●説得力 -Persuader-
一言でいうなら:師匠には勝てないが盗賊なら圧勝できる話
名言:「"落ち着きなさい、キノ。常に冷静に。怖がるのも、恐れるのも、後で"」


登場人物:キノとエルメス、師匠(直接表記なし、老婆表記のみ)
話の長さ:約10ページ
備考:キノが旅に出る前の話・戦闘あり

 

 

あらすじ
   老婆とパースエイダーの模擬戦をした。キノはゴム弾で帽子越しに顔を撃たれ悔しいと言った。エルメスには慰められた。
   老婆と共に家に戻ろうとすると、盗賊らしき3人の男がいた。それを見た老婆は合図で彼らを動けなくするようキノに命令した。自信がないとキノ。何事も練習だ、強くなりたいのでしょうと師匠。
   老婆はおぼつかない操作でエルメスに乗り盗賊に近づいた。やきもきするエルメス。盗賊達は老婆を見て金を出せと言ってきた。そこで老婆が合図した。キノは森から飛び出しゴム弾を撃ち2人を無力化、もう1人は両手を撃ち話せるよう狙ったままでいた。老婆は彼に金目のものをほとんど出すように言った。

 

オチ
   事が済みキノはエルメスに、彼らはなんであんなに弱いのに盗賊をしているのかと心配そうに言った。エルメスにはその意味が分かったが言わなかった。そんな話をしながらキノは手斧を投げると薪が真っ二つに割れた。これが薪割りの方法だった。

 

感想
   師匠には敵わないがキノは十分実力がついているというお話。それに気付かず純粋に盗賊たちのことを心配するキノが可愛らしい。そして師匠のがめつさは年をとっても健在。さっそくエルメスがオニだなーと発言している。

 

追記

   本エピソードのタイトルは「説得力」、英題は「persuader」となっている。キノの旅でのパースエイダーは拳銃を言い換えた単語としての認識が強いが、もとの英単語persuaderの意味は「説得者、有無を言わさぬもの」という意味を持つ。シリーズにおいてはシズが「説得」という言葉を使うことが多かったりと、著者こだわりのキーワードなのだと思う。

   後のシリーズ作品を知っている身としては老婆が師匠だとすぐに分かるが、作中では老婆とだけ記述されており、師匠という単語は存在していない。キノの修業時代は明かされたのは今回が初めてで、そもそも師匠が登場したのも「狙撃兵の話」以来2回目である。これから段々と明かされていくのである。

 


キノの容姿と装備:十代の半ばほどもしくはそれより下・緑色の厚手のジャケット・青いパンツ・帽子とゴーグル・散弾を放つパースエイダー
エルメスの言い間違い:なし(累計言い間違い数:6)
殺害人数:0(キノの累計殺害人数:6)
キノが危害を加えられそうになった回数:1、普通に行ったら加えられるのでカウント(累計数:12)
国の技術レベルと特産物等:国外
収穫:パンかごいっぱいの宝石やブレスレットやら

[ 小説第3巻 ] 22:55 - | comments(0) | trackbacks(0) |2017.08.07 Monday
キノの旅三巻第三話 同じ顔の国 感想

●同じ顔の国 -HACCP-
一言でいうなら:クローン人間の国
名言:(強いてあげるものはなし)


登場人物:キノとエルメス、案内人の子供に固有名詞多数、指揮官の子供に固有名詞
話の長さ:約40ページ

 

 

 

あらすじ
   巨大な谷の中央に国はあった。病気を未然に防ぐため、注射による血液採取が必要になるが良いかと聞かれると、キノは押し黙った。まさか注射が怖いとか言わないよねとエルメス。そんなことないと早口のキノ。

 

   その後ホテルへ案内されたが、その間に見た男は男、女は女で同じ顔をしていた。次の日、案内人にそのことについて聞いてみると、自分たちはみなクローンなのだという。昔別の国でクローン製造が禁止され、そこの研究者の男女がこの地をやってきて国を作り、自分達のクローン育てていった結果が今の国となった。そして工場での完全品質管理体制のもと、生まれる前の赤ちゃんは試験管で育てられるという。

 

   技術的には女性の体内で子供を産むことも可能であるが、体の不自由や負担をかけてまで妊娠したいとい人はいないそうだ。同時に、この国の住人が子供がほしいと思っても幾多の試験が必要で、とても困難を伴うのだという。子供はペットを感覚とは訳が違い、大人の身勝手な都合で子供が良く育った試しがないためだそうだ。そしてこの国で親が子供を殺したら理由を問わず死刑、逆に子供が親を殺しても無罪。そんな子供に育てたのは親なのだからという。それを聞いてキノとエルメスは沈黙した。

 

   案内を終え、今までの国で一番驚いたとキノ。その後、案内人の家族の元へ案内された。そこには多くの顔の同じ子供達がいたが、キノは短時間で同じ顔の子達の名前を当てた。その後案内人はキノに重要な話があると言った。

 

 

オチ
   出国すると、違う顔の男たちに呼び止められた。彼らは兵士で安全な場所へ案内すると言う。指揮官によると、自分達の国の人間が迷い込むようにあの国へ入国したところ、同じ顔していた彼らに衝撃を受け一人は自殺、残りの者も相当精神的にショックを受ける事態になっためあの国を攻撃するという。そして攻撃が始まり街が爆発。任務を達成し、指揮官は双子の娘の写真を取り出した。キノは2人の違いが分からないと言ったが、指揮官は会えばすぐに分かると言った。

 

   それから100日後、地中から四角いコンクリートがお顔を出した。彼らは生きていた。「生き残ろうとする意思があれば、そんなに簡単に滅びはしませんよ」。案内人兼大統領は言った。

 

 

感想
   英文サブタイトルの「HACCP」って何?と思い調べてみたところ、製品の安全を確保する衛生管理の手法のことを指すそうだ。厳格な管理を経て赤ちゃんが親に届けられることを示唆している。


   街を攻撃する際、燃料を撒いてから一気に点火し大爆発を起こす攻撃がなされるが、これは気化爆弾か。エースコンバット4などで広範囲を攻撃できる兵器だったからよく覚えている。


   指揮官の双子の娘。見た目が同じだからといって娘が同じではなく性格が違うのは指揮官自ら発言している。だがそれはクローンにおいても変わりないはずである。

 

   その他、両親が子供を殺すと死刑で逆は無罪。これはキノが生まれた国と真逆である。またキノが注射を苦手だと言うのは今回が初めてである。

 

 

 

キノの容姿と装備:十代の半ばほど・茶色のコート・黒いジャケット・ゴーグル・パースエイダー・銀色のカップ
エルメスの言い間違い:なし(累計言い間違い数:6)
殺害人数:0(キノの累計殺害人数:6)
キノが殺されそうになった回数:0(累計数:12)
国の技術レベルと特産物等:近未来・クローン技術
収穫:無料のホテル

[ 小説第3巻 ] 19:17 - | comments(0) | trackbacks(0) |2017.08.08 Tuesday
キノの旅三巻第四話 機械人形の話 感想

●機械人形の話 -One-way Mission-
一言でいうなら:自分を機械だと思っている老婆の話
名言:「よりけり、です」


登場人物:キノとエルメス
話の長さ:約40ページ
備考:国外・ひと気のない国

アニメ一期「機械人形の話」ページ

 


あらすじ
   目当ての国を探す最中、老婆と出会った。老婆はその国を知らなかったが、自分がメイドとして仕える家に来ないかと言った。キノは招待を受けることにした。家に着くと老婆は最初にお知らせすることがあると言った。実は老婆はこう見えて機械人形なのだと言う。話を聞いてみたが、それでもキノとエルメスは信じられない様子だった。


   仕えている家族は夫婦とその息子の3人であった。旦那に老婆は機械人形なのかと聞くとその通りなのだと言った。そして近くに国はないかと聞くが、やはりないと言う。ならどうしてここに住んでいるのかと聞いた。すると、国はないとさきほどと同じ返答を返さてしまった。その後、家族と食事を共にした。老婆が部屋を出て、キノが食事を終えると家族のみなが手に着けていなかった食事を捨てた。そして老婆が来ると家族はおいしかったと言った。

 

   次の日、老婆が良いものを見せてくれると案内してくれた。そこは巨大な谷あり底の方には湖があった。その湖をよく見ると都市が沈んでいた。老婆曰く滅んでしまった太古の都市だというが、キノが見たところ滅んで間もない感じでこれが探していた国だと確信した。

 

   家に戻り老婆と昼食を取った。その後キノはエルメスを整備した。しかしスピードメーターが壊れたままであった。すると老婆がそれを知り見事に直してくれた。キノはますます老婆が何者なのか疑惑を深めた。

 

   次の日、老婆が倒れた。寿命だと老婆が言った。そしてキノは家族と共に老婆の最後を見守った。埋葬を済ませると、家族が真実を教えると言ってきた。

 


オチ
   老婆はやはり人間で、機械人形なのは家族の方だった。そして湖に沈んだ国はもとは2つの民族の諍(いさか)いが絶えず続く国で、老婆は三十数歳の頃争いをなくすために機械人形を作っていた。そして念願の機械人形が完成させるが、夫と息子はテロに巻き込まれ死亡、駆け寄った彼女も瓦礫の下敷きになってしまった。それを完成した我々機械人形が救出、しかし彼女が目覚めると自分を機械人形だと思い始めてしまったのだった。そのまま月日は流れ、国は崩壊し住人は国を捨てた。機械達は森に引っ越すことにし、彼女がつらい過去を思い出さないようダムで都市を沈めたのであった。


   話を聞き終えたキノは出発すると言ったが、機械人形は役目がほしいと言ってきた。しかしキノは残念だができることはないと言った。機械人形たちは湖へ身を投げた。

 


感想
   食事がおいしいので、昼食が…夕食が…と幾度も出発を引き延ばすキノ。やはりがめつくてクスリとくる。


   役目を得るために「心の底から必要とする人がいない人生なんて、寂しくはありませんか?〜。」という機械人形の問いに、名言を返すキノ。機械人形の意見は多数派に思えるが、自分がそう思っていないのであれば曲げる必要はない。そして機械人形は身を投げるという後味の悪い結末を迎える。キノは残念ながらできることはないといったが、ほかの主人公なら結末も変わっただろう。正義感あふれるシズならなにか生産的な役割を与えただろうし、師匠なら召使いなり足手まといならほどほど科学力が進んだ国まで連れて行き、役目だと言って高値で売り飛ばすはず。

 

   立地が巨大な谷というと前の「同じ顔の国」と同じ。じゃあその国の未来なのかと言われると、建国以来2つの民族が対立する細長い国と言われているから違うか。むしろ谷で細長い国なら今後キノを通せんぼする「迷惑な国」ほうが近いが、今のところ同じ国だと言う有力な証拠は見いだせない。

 

 

 

キノの容姿と装備:十代半ばほど・黒いジャケット・2丁のパースエイダー
エルメスの言い間違い:なし(累計言い間違い数:6)
殺害人数:0(キノの累計殺害人数:6)
キノが危害を加えられそうになった回数:0(累計数:12)
国の技術レベルと特産物等:国外・湖に沈む都市
収穫:宿・美味しい食事

[ 小説第3巻 ] 00:06 - | comments(0) | trackbacks(0) |2017.08.09 Wednesday
キノの旅三巻第五話 差別を許さない国 感想

●差別を許さない国 -True Blue Sky-
一言でいうなら:何気ない言葉が差別な国
名言:「"本当の蒼い空"、って何だと思う?」


登場人物:キノとエルメス、リューグナー(入国審査官)
話の長さ:約20ページ
備考:三日間ルールキャンセル・最短入国時間・口語がメインの話・汚い国・巨大ドーム

アニメ一期「仕事をしなくてもいい国」ページ(ごく一部が登場)


あらすじ
   国に入ったので「×××××(おそらくホテル)はないか」と住人に聞いた。それだけなのに、国の住人からなんてことを言うんだと怒られた。キノはコミュニケーションを取ろうと試行錯誤するが、一向に話が噛み合わないので出国した。結局住人達は終始怒りっぱなしだった。キノが出国後、住人達は読者には差別に思える会話を繰り広げた。

 

オチ
   入国審査官に「さっきああ言った理由、分かったろ」と言われ、キノはうなずいた。さらにこの国は超巨大なドーム状でできているのだが街中が汚く、帽子・マスク・手袋という姿で入らないと耐えられないのだそうだ。

   審査官が本当の蒼い空とはなんだと思うと聞いてきた。キノは「そんなものは、ない」と答えた。いろいろな景色を見てきて、これこそがそうだと言えるものはないからだと言う。


感想
   う〜ん、この国では何が差別で何が差別じゃないんだろう。今回はできないが、いつか詳しく分析してみたい。

   「本当の蒼い空」とは何か。管理人にはちょっとすぐには思いつかないが、万人が共通して思い描く空のはず。

 

追記

   ネットで検索したところ、Yahoo知恵袋においてなるほどと思わせる考察があった(https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1330392298)。「×××××」の意味を始め、その後に出てくる「本当に蒼い空」の意味まで踏み込んでおり、脱帽ものだった。管理人は「本当の蒼い空」と言えばこのツイートぐらいしか考え付かなかったが、よくよく考えてみれば差別の国の後で関係ない話をするはずがない。超巨大ドームというのも「本当に蒼い空」が見れないという流れに汲んでいる。

   さらに分量が少ないが著者のコメントも見つけることができた。著者と漫画版作者の対談ページ(https://natalie.mu/comic/pp/kinonotabi)にて"キノが使う言葉がその国にとっての差別用語という扱い"だと著者が述べている。とにかく、いまさらながら本作の真意に触れられたと思う。

 


キノの容姿と装備:ハンドパースエイダー
エルメスの言い間違い:なし(累計言い間違い数:6)
殺害人数:0(キノの累計殺害人数:6)
キノが危害を加えられそうになった回数:2(累計数:14)
国の技術レベルと特産物等:近未来・超巨大ドーム
収穫:なし

[ 小説第3巻 ] 19:46 - | comments(0) | trackbacks(0) |2017.08.09 Wednesday
キノの旅三巻第六話 終わってしまった話 感想

●終わってしまった話 -Ten Years After-
一言でいうなら:キノとの決闘に負けた話
名言:(強いてあげるものはなし)


登場人物:キノとエルメス、イーニッド
話の長さ:約20ページ
備考:国外・第三者が主体の話・戦闘あり

 


あらすじ
   深夜に原稿を書き終え、ふと昔を思い出した。自分が十代で『拳銃』を握りしめていた頃…あの生意気なモトラドは何をしているのだろうか。


オチ
   イーニッドはエルメスを盾にキノと対峙していた。エルメスの茶々を跳ね除けながらキノを倒すべく奮戦するが、キノの敵ではなかった。イーニッドは海賊になるために今日の戦いに臨んだが、負けてしまいうなだれた。運が悪かったのだよとエルメス。
   海賊の仲間たちがやってきた。危害を加えないかつ賠償をするとのことでキノは彼らと会うことにした。海賊の頭領は金銀財宝を用意していたが、他人のものだと疑われるということで燃料をもらった。頭領はあの子が仲間にならなかった悔しいが、死ななかったのはキノのおかげだ、殺そうと思えばできたのになぜ殺さなかったのかと聞いた。キノは分からないと答えた。それを聞き頭領はあの子は運が良かったんだと結論付けた。
   こうしてイーニッドこと私は海賊になれず、その後無人島に引き籠り、仲間がこっそり水と食料を置いて行ってくれなかったら死んでいるところだった。私は海賊を秘密裏に支援している国で、普通の人として暮らすことになった。そして今に至る。いままででエルメスというモトラドに乗ったキノという旅人は来たことがない。キノ達が来たら、私はさぞかし歓迎するだろう。


感想
   キノが大人になり過去を振り返るような所から始まるが、実際はキノではない。イーニッドは海賊になることが全てだと思っていたが、今では作家という新しい人生を歩んでいた。人生には無限の可能性があるのだ。

 

追記

   「終わってしまった話」とタイトルのように、冒頭は歳をとったキノを思わせる。しかし実際はイーニッドであり、発売当時は騙されたと思った人が多かった模様(参考URL:2ちゃんねる「キノの旅」http://salami.5ch.net/test/read.cgi/magazin/964296943/182-)。

   キノの旅で「銃」という単語は常に「パースエイダー」と置き換えられている。しかし、このお話の183p末尾には「拳銃」と単独表記されている。これはシリーズ中でも唯一的である。(これは、しまうました様のサイトの指摘で気付きました。トラックバックができなかったのでリンクさせていただきます。)

   小説12巻あとがきによると、著者は3の倍数の巻を話の区切りと考えているそうだ。だからこそ執筆当時はこれでキリよく終わりということで「終わってしまった話」を持ってきたのである。

 

 

キノの容姿と装備:ゴーグル・2丁のパースエイダー・レーザーサイト・大きな鞄
エルメスの言い間違い:杖か義足→正:通過儀礼(累計言い間違い数:7)
殺害人数:0(キノの累計殺害人数:6)
キノが危害を加えられそうになった回数:1(累計数:15)
国の技術レベルと特産物等:国外
収穫:燃料

[ 小説第3巻 ] 23:04 - | comments(0) | trackbacks(0) |2017.08.09 Wednesday
キノの旅三巻エピローグ・プロローグ 雲の中でb・a 感想

●雲の中で -Blinder-

一言でいうなら:死体の山が雲に覆われる話
名言:「ねえエルメス、ボクは知っているのかな?」


登場人物:キノとエルメス
話の長さ:数ページ
備考:国外・他の話とリンク(雲の前で

アニメ二期「雲の中で」ページ

 

 

bパートあらすじ

   真っ白だった。でもまたすぐに見えることになるだろう。ほんの少しの知識があれば、どこかで誰かが教えてくれたら、ボク達が一日早くここについていれば、彼らは助かったかもしれない。ボクは知っているのかなとキノ。エルメスはさあねと答える。風が強くなって白い空気を吹き飛ばした。


aパートあらすじ
   山岳地帯。キノが死体の山をスコープ越しに確認した。全員口から泡を吹いていた。この場所特有の毒草によって全滅したようだ。あまり見たくない言ったとき、それを雲が覆った。

 

感想
   全滅した人達を見たときの会話。出来事としてはなんてことのない、文章にしてすぐ終わるはずの話なのだが、それを物語として膨らませるにできるのはすごいことだと思う。
   キノは唐突に知っているのかなというが、それが何かは言葉になっていない。ここで当てはまる言葉は「死を回避できる知識」といった類だろう。この言葉ではあまりしっくりこないのだが。
   恐らくこの話は、「知っていた」第四の主人公フォト(雲の前で)が去った後の出来事である。

 

追記

   単行本冒頭の目次ページは白い霧がかかったキノのイラストとなっている。当時は気付かなかったがこれが雲に覆われた時のキノのようである。このイラストは両手を頭の後ろに置き、人の命とは儚いなという表情をしているように思える。

 

 

キノの容姿と装備:茶色のコート・スコープ
エルメスの言い間違い:なし(累計言い間違い数:7)
殺害人数:0(キノの累計殺害人数:6)
キノが危害を加えられそうになった回数:0(累計数:15)
国の技術レベルと特産物等:国外
収穫:なし

[ 小説第3巻 ] 05:28 - | comments(0) | trackbacks(0) |2017.08.10 Thursday
キノの旅三巻 あとがきの話 感想

●あとがきの話 -Preface-
一言でいうなら:一巻最初の物語にあとがきを埋め込み
 

 

内容
   世界は、あとがきなんかじゃない。そしてあとがきが生まれた…。
   そんな冒頭から始まる、キノの旅一巻の最初の物語のあとがきバージョン。

 

感想
   実のところあとがきに対する作者の思いと、旅に対するキノの思いは通づるところがあるのかもしれない。おもしろかったり困難を伴ったり。

[ 小説第3巻 ] 19:46 - | comments(0) | trackbacks(0) |2017.08.10 Thursday