キノの旅を総括したい

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キノの旅 the Animated Series
上巻(多数決ドラマ特典Blu-ray付)


 
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キノの旅アニメ二期第六話 歴史のある国 感想

●歴史のある国 -Don't Look Back!-
登場人物:キノとエルメス
本編約20分

小説版「歴史のある国」ページ

 

 


あらすじ


   「キノ、薪割りは?」とエルメス。するとキノは静かにと諭した。そして銃を構え静かに家に侵入した。目標はキッチンではソーセージを焼く人物。キノは一旦目標を確認した後、息を整え身を乗り出し銃を構えた。しかし目標の人物は消えていた。すると真横から銃を向けられた。「残念でした」と師匠。銃声がしソーセージが跳ね上がった。

 

   「どうしたのキノ」。ソーセージ入りのホットドッグを食べかけたキノにエルメスが言う。するとキノは、師匠の事を思い出したと答えた。そして過去に師匠が話してくれた、この近くにある国の話を語り始めた。

 

   小さ目な車に男女が二人。次に国に着くので宝石を売ろうと弟子の男性。仕方ないですね師匠の女性。そして入国。車を走らせていると、師匠はこの国が警官が多いことに気付いた。師匠の経験上、こういった国は権力の側が油断できないそうだ。それを聞き入れ、弟子は宝石を売ってくるので昼には戻ると言った。だが帰って来ず、パトカー2台がやってきた。窓越しにそれを見た師匠はため息をついた。場所を移し、師匠は警察官から説明を受けていた。恋人は違法薬物所持違反で逮捕されたそうだ。恋人ではなく同行人だと断りをいれ、師匠は国外退去処分を求めた。すると警察官はいくら払うかと聞いた。師匠が額を提示するが、これっぽっちじゃと断られた。師匠は同行人について未練なさげに振る舞いつつも、最後に金貨を添えて弟子との面会を取り付けた。

 

   「あー、姉さぁーん!」。弟子が涙目で師匠に呼びかけた。だが師匠の態度はそっけなく、自分は国を出ていくのであなたは裁判をうけなさいと言った。俺は悪いことはなにひとつしないで生きてきたのにと弟子。さらに、買ったときに銀貨434枚した自分の物を路銀の足しにしてほしいと師匠に言った。そうしますと師匠。それを聞き届けるニヤリする弟子。ホテルに帰った師匠は弟子の持ち物を確認し、暗証番号を434にセットした。バックの中には各暗殺グッズが入っていた。警察本部である塔で収穫をほくそえむ警察官をよそに、師匠は出国した。夜になり、城壁付近で相棒の装備を装着する師匠。一方弟子は、牢屋であくびをしもう少しかかるかなと言った。

 

   鉤爪が着いたロープでなんなく城壁を上る師匠。街の通りにて、寒そうにしていた住人があるものに気付いた。なにやらゴミ箱が燃えていた。これはいいと暖をとる住人。ふと、まわりを見てみると、そこらじゅうのゴミ箱が煙を上げていた。師匠の仕掛けにより、街中が騒ぎになった。あくびをしつつその喧噪を聞いていた弟子。すると警察官扮する師匠が現れた。世話のかかる弟子ですと師匠。これからどうしましょと言う弟子に、暴れますと師匠が言った。師匠がこれからしようとする事を理解した弟子は不敵な笑みを浮かべた。

 


   「その後どうなったのさ」とエルメス。キノは話を続ける。二人は武器庫へ行き武器を奪った。「恐ろしー、踊れマンボウ」だねとエルメス。そうだねとキノ。少し間を置き、キノは話を続けた。弾薬に加え食糧を得た二人は、塔の最上階へ行った。周りを見渡せる絶好のポイントに陣取った二人は、街での騒動をようやく収めて帰ってきた警察官達の足を片っ端から狙い撃ちした。あえて殺さないことで、警察官達に効果的に恐怖心を煽ったのだった。その後もテレビ(やけにデフォルメされた師匠と弟子のイラスト付き)を見て警察の行動を把握したり、そんな調子でついには三日三晩立てこもった。その際、警察官から呼びかけがなされたが、二人はお構いなしに銃弾をお見舞いした。最初は強気だった問答がどんどん弱気なものに変わり、ついには警察が根をあげ賠償金をせしめる出国するまでに至った。

 

   「とまあ、そんな感じだったらしい」「オニだ…」。エルメスを走らせていると問題の国の塔が見えてきた。入国し問題の塔のふもとに来ると、そこに記念碑があった。読もうとすると、住人の老人から声をかけられた。この国では過去に政治腐敗が横行し警察すら悪行を働いていたが、正義感ある二人の旅人が立ちあがった。二人はこの建物に来て陳情し、その結果悪行を働いた者達は自分の行動を恥じ、以後悪行をしなくなったそうだ。

 

   話してくれた杖をつく老人を見て、足はどうされたのですか、この国の男性の老人は杖はついている人が多いようですがとキノ。すると老人は目を泳がせて言葉を濁した。キノはそれを口元を笑みを浮かべながら見ていた。エルメスに乗り塔から離れるキノ。エルメスが、お師匠さんがまたきたらどうするんだろうと言った。するとキノが急ブレーキをかけ、振り向いた。大丈夫、いないないとエルメス。う、うんとキノ。だから前を向いて走ってよとエルメスは言った。

 


感想


   初登場となるキノの師匠、加えて弟子が過去に繰り広げた大暴れなお話。悪行を働く警察に目を付けられ捕まってしまった。ここまではよくあるストーリーだが、そこでとった師匠の行動がスゴい。周到な計画を立て、たった二人で三日三晩塔に立てこもり、しまいにはお金をせしめてしまうのだから。これが実力者キノを育てた師匠なのである。

 

   今回特に良かったのが示談交渉のシーン。原作でもここは面白いところで期待していたのだが、アニメでは十分な尺と同時に、オリジナルのアレンジが加えられとても面白かった。小説では呼びかけに対し発砲音しか記述がなかったが、アニメ化に際して呼びかけ人のヘルメットを見事に打ち抜くシーンや、最初は強気だった声色がどんどん弱まって姿、弟子の撃ったバズーカにより爆発した車のドアが目の前で突き刺ささるなど見事なアレンジだった。そして、根を上げてしまう呼びかけ人の弱々しい姿には、とても可哀想だと同情せざるを得なかった。このシーンのアニメ化は見事という言葉に尽きる。

 

   師匠と弟子はアニメ初登場で、二期アニメで初めての視聴となった。キャラクターデザインとしては、シャープな線でいままでのキャラクター描写と同様にまとまっており好感が持てた。声は、師匠はとても冷静で理知的なのに対し、弟子は雰囲気的に少し軽そうでオーバーリアクション気味かなと不安だったが、本編を見ているうちにすぐ慣れた。各要素がうまくマッチしているのだと思う。

 

   逆に思ってしまうのがキノの声。実を言うと未だに少し不自然に思えている。なんというか、腹に空気を溜めた上で喋ってそうというか、キノの声を出そうとして無理をしているというか…エルメスの声はとっくに慣れているのだが、キノの声はどこか不自然に思えてしまう。悠木さんの出演作といえばまどマギなのだろうが、申し訳ないが見ていない。だがラストエグザイル銀翼のファムは見ているので声は知っている。その印象強いゆえか。一期のキノの声を担当した前田愛さんは良かったと思う。なんというか、普段の本人の声をそのままに出していた感がある。管理人は声優について詳しくないので何様な意見となるが、もっと自然に地声だしてくれた方がすっきりするのではないかなと思ってしまう。

 

 

   話が逸れたが、今回のお話で少し残念に思えた点。示談交渉の直前、弟子が燃えて見事な腕で押し寄せた警察官を撃退する小説の場面はぜひ映像化してほしかった。アニメでそれを話している場面がループしたアニメだったのでぜひ映像がほしかった。あと弟子が逮捕されるシーンがなかった点。シーンとしてはそこまで重要はなく、カットしても問題ないのだが管理人が気になっていたのは、小説にて弟子が警官を撃ち殺してやろうかと思いましたが…考え直して止めましたという文章。やろうとしましたのくだりは、実際にやらなくても映像としてやっているシーンが描かれというお約束があるので、早撃ちで撃ち殺してしまう映像があるのを少し期待していた。

 

   小説と異なるなと思った点が二点。一つは、ラストの振り返るキノについて。師匠という単語が出てきてキノは急ブレーキをかけ後ろを動揺を見せるが、小説では走りながら後ろを振り返るにとどまっている。アニメではキノが師匠を脅威に思っているのを強く描写したのかなと思った。二つ目は師匠達が乗った車について。話が始まり二人は車に乗っているが小説でのイメージと違った。小説ではいまにも壊れそうなボロボロな車と記述されているので、もっとスピードが遅かったり、やけにガタガタ揺れていたりというのをイメージしていたが、アニメでは直接的にそういった描写はなかった。

 

 

   管理人特有で興奮したのが、キノの世界の文字が多く出てきたというところ。暗証番号が出てきて数字が多く分かったり、記念碑には大量の文字が羅列されていた。これはいままでのアニメでは明かされなかったものであり、これらを解析できれば作中文字のほとんどが把握できるはずである。追記ツイート

 

   その他こぼれ話。エルメスが踊れマンボウと間違った慣用句を言いキノが応える。その直後沈黙の間が入るが、小説では「しばらく黙る」的な文章が定例である。この記述が管理人は好きなのだが、アニメではその間が期待通りの間の開け方だった。あと冒頭キノはホットドッグを食べるが、ああいったパンは食べれるのかなと思った。まあ付近に国があったのかもしれない。あと、弟子の装備を着込んだ師匠は映画(どの映画かと聞かれると言いづらい)の峰不二子を思わせた。さらに師匠がその直後のシーンで城壁に上り切って、いわゆる「ジュバッ!」的な姿勢をするのがコミカルでクスリときた。

 

   話が逸れるようだが、本作放映にあたりツイッターを見て思ったことについて。今回は師匠と弟子の初登場ということで、なみなみならぬ期待を寄せていた方々が見受けられた。それを見て管理人が男性ゆえか、感じ方というか想像の引き出しが結構違うのだなと思った。みなが受け取るキノの旅というコンテンツは共通している。そのため、みなが管理人と似通った認識を抱いているのだと思っていた。だが今回の件で、人それぞれで見解が大きく変わるという事に気付かされた。

 

   小説版「歴史のある国」ページ

 

 


キノの容姿と装備:茶色いコート
エルメスの言い間違い:踊れマンボウ→正:キノは指摘しないがおそらく鬼に金棒

 

 

[ アニメ2期 ] 06:30 - | comments(0) | trackbacks(0) |2017.11.18 Saturday
キノの旅アニメ二期第五話 雲の中で 感想

キノの旅アニメ二期第六話 雲の中で 感想
●雲の中で -Blinder-
登場人物:キノとエルメス、フォトとソウ
本編約20分
小説版「雲の中で」ページ
小説版「雲の前で」ページ​

 

 

 

あらすじ

「雲の中で・b」
   一面の白い世界に、キノとエルメスはいた。ほんの少し知っていれば良かったんだとキノ。厳しいねとエルメス。知らなければどうしようもない、ボクは知っているのかなとキノ。さあねとエルメス言い、さらにもうすぐ晴れるねと言った。雲に覆われていた辺り一面が晴れた。

 


「雲の前で -Eye-opener-」
   雪山も見渡せる山岳地帯。一部で草が茂る荒野に、商人の一団がいた。そこでは元気な子供達がいて、奴隷をからかったいた。奴隷は髪の長い少女であった。彼女は自身につながれた鎖で転んでしまった。それを見た男がとっとと運べと命令した。

 

   かまどの用意をする奴隷の少女を男二人が眺めていた。彼らは使えない奴隷をなんで手に入れたのかという話になった。先の国は宗教国家であり、どんな時でも人を信じなければならないという戒律があったそうだ。そして自分達はその国で商売したが、支払いが足りなかった。そこで国長が少女を差し出したそうだ。話を聞いていた男が笑い、少女に嫌味を言った。少女は言葉を返さないでいると、その態度が気に入らなかった男が少女に当たった。しかし少女は人を憎んではいけないという戒律を信じていた。それを聞いた男達は呆れかえった。

 

   食事に使える草が採れたので、少女はそれを洗わされることになった。洗っている最中、少女は頭に何かをよぎったが、思い出そうとして怒声に遮られた。再び男達が少女を見て、自分達は運がいいから商人として自由に生きていけるが、奴隷には運がなかったとしゃべった。言った男いわく爺さんから教わった言葉だそうだ。ほかにも食べ物の好き嫌いはするなと教わったそうだ。

 

   食事ができた。少女はスープの傍らに生えていた草を見て、スープに入ったこの草が毒草であることを思い出した。食べたらだめだと言ったが、小声で商人達には届かなかった。そして商人達は食べてしまった。少女は言い出せなかった自分を責め涙を流した。そして自らも毒を飲み死のうとするが、それを頭領の息子が投げた石が遮った。少女の行儀が悪いから息子は投げたそうだ。それを聞いて両親は褒めた。そして食事に戻ろうとする息子に、この食事には毒が入っていると少女は叫ぶが、別の男から石を投げられて気絶してしまった。

 

   気が付くと、息子がしゃべっている光景が目に入った。奴隷を自分に売ってくれないか、そしたら戦える立派な男になるために殺すのだそうだ。それを聞いた父親はいいだろうと言った。自分がしたことを思い出した少女は絶叫した。ずっと絶叫した。まるでサイレンのようだった。黙らせろと頭領は言うが、指示した仲間が急に倒れた。それを皮切りに皆が口から泡を吹いた。

 


   みな倒れあたりが静かになった。そんななか一人がうめき声を上げていた。それは運のくだりを話していた男だった。何が起きたと聞かれ少女は草に毒が入っていたと伝えた。男は野菜が好きでなく、あまり食べなかったため生きながらえていた。男は少女が無事なのを確認し、少女があの時豪快に食べようとしていたことを思い出した。それを聞いて少女は一瞬だけみんなが死んでもいいと思ってしまったと泣いて叫んだ。そしてこうなったのは自分のせいであり、そんな自分を殺してほしいと言った。

 

   それを聞いた男は近くにあったライフルを手にし、それを少女に持たせた。ついでに少女を繋いでいた鎖の錠を外した。そして少女に人差し指を引き金に沿えるよう指示をした。すると男がいきなり銃口を自分の腹に引き寄せ、そのはずみで少女は引き金を引いた。銃声がし、男は自らの腹に銃弾を受けた。自らの意思で死んだ男に対し、どうしてと少女は聞いた。いつか分かると男は言い残し、死んだ。

 

   「いぃや〜、お見事だ」。唐突に声がした。声の主はトラックの中にいたモトラドであった。落ち込む少女をよそに、久しぶりに外へ出れたことを喜ぶモトラド。少女は自分を人殺しだと悔やむが、モトラドは最後の男は自殺で毒草は連中のポカだと軽くあしらった。自分が言っていればと少女は悔やむが、あの連中がやめたとは限らないとモトラド。そして、どっちにしと連中は運がなく、おまえにはあったとモトラドは言った。どうやったら私は死ねるのという少女に、生きればいつか死ぬと諭した。そしてトラックの運転を教えてやると言った。

 


「雲の中で・a」
キノがスコープ覗いていた。死んだ商人達が見えていた。そして足元にあった草を見て、この草は高いところに生えているものは毒があると言った。それで全滅かとエルメス。あまり見たくない光景だなとキノ。目をつむればとエルメス。と、辺りを雲が覆った。

 


「あの日から -Since I Was Born.-」
ある家で、モトラド思い返す。あいつほど数奇な運命をたどってきた人間を知らない。孤児になって、奴隷になって…金持ちになって、今カメラマンをやっている。あの出来事のあと、国に辿り着いた少女はすべてを打ち明けた。そして幸運なことに移民として受け入れられた。その後カメラマンになった少女をみながフォトと呼び始めた。家にフォトが帰ってきた。「ただいま、ソウ」とモトラドの名前を言い、素敵な笑顔をする少女。呼ばれたソウは「あいよ、フォト」と返した。

 

 

感想

 

   過酷な人生に直面する少女フォト。その跡地をキノが訪れるお話。奴隷としてフォトは非道な扱いを受けるが、それでも彼女は国での教えを守り、人を憎んではいけないと信じていた。しかし、みなの運命を左右するかもしれない局面で、ついにフォトは躊躇したのだった。フォトはそのことを後悔するが、それを諭したのはモトラドのソウであった。ソウはみなの運命を決めたのは運だと結論付けた。

 

   あえて、フォトは悪いのかを言及してみたい。フォトの台詞を使うのであれば「自分のせいで死んだ」。しかし、これは大雑把な見解に過ぎない。フォトは何をしたか、細かく分析していくことで「自分のせいで死んだ」という言葉とはかけ離れた真実が浮かび上がる。フォトは教祖様に売られた。奴隷として非道な扱いを受けた。みなが食べる直前で毒を思い出した。一瞬躊躇し声がでなかった。それらが真実である。そしてソウが言うよう例えフォトがみなを止めていても、信じてくれたとは限らないのである。さらに運もあり、商人達の運命すべてをフォトが握っていたとは言えない。だから、フォトがすべて悪いとはまったくもって言えない。「自分のせいで死んだ」という台詞からかけ離れている。さまざまな要素が絡んでみなが死に、フォトが生き残ったのである。

 

   フォトは故郷の「人を憎んではいけない」と教えを隠れていた目をひん剥いて言ったが、男達はそれをあざ笑った。では、我々が生きる現実世界においてはこの言葉は通じるであろうか。それは人によると思う。対象の人間が恵まれた環境で生きているのであれば通じそうだ。だが内戦下の人にそれを言っても通じるとは思えない。つまり、世の中には正しいと思える格言があるが、それぞれば万人に通じるとは思えないのである。もし管理人が誰かの悩みの相談に乗るときは、一人一人に合った言葉を見つけ出したい。

 

   アニメ化に伴い再発見した点としては、最後に死んだ男の存在である。小説ではその存在を明確を想像できなかったので、あやふやに済ませていた。だが、爺さんから好き嫌いするな最初に教わった男が、好き嫌いをした故に少し生きながらえたことを、アニメを見て気づいた。やはり映像化されれば誰が誰なのかすぐさまわかり、それゆえの分かり易さが生まれる。またそれを踏まえてアニメを見返してみれば、例の男の少女の扱いはあながち悪くなかった事など、小説では補完できないドラマが浮かび上がってくる。

 


   どうも管理人がアニメの感想を語る際、尺が足りないと毎度のように言ってしまう。今回も細かいところでそう思ってしまった。まず冒頭のキノだが、開始早々脈絡もなく台詞を矢継ぎ早に語りだしたので少し不自然に思えた。そして、一番に気になったのが今回最大の局面、フォトが毒を食べようとしている商人達を止めようとする場面である。ここでは商人達が毒を口にするシーンがスローモーションで流れるが、ここはフォトが言い出すか言い出さないかを、長い時間かけてみせてほしかった。アニメではやけにあっさりと流れてしまった感がある。ここに長く尺を取ることで、いかに重要な場面かが引き立つはずである。

 

   あと、アニメの表現についても一部疑問が残った。フォトは草を水であらうのだが、小説では雪解けで冷たい水と記述されている。だがアニメではそれを思わせる表現力が乏しかった。また、フォトにあてがわれたスープの量についてだが、小説は多くない量と書かれてしてるのに対し、アニメでは多そうに思えた。まあ文句ばかり言っているようだが、それ以前に山々の背景美術は繊細で素晴らしいし、食事のスープはとても美味しそうだった。当たり前すぎて目立たないが、その表現力は高く評価しなくてはならない。

 


   今回のキノ登場はわずかでフォトとの遭遇は叶わない。そもそも特異なのが、本作の原作小説でのあつかいである。まず題名の「雲の中で」だがこれは小説第三巻で明かされた。しかし本編であるフォトのお話の「雲の前で」は明かされたのが小説十二巻で、だいぶ期間を明けてからの登場だった。

 

   ほかにもアニメの最後であっさりカメラマンになるフォトであるが、その経緯は原作小説でしっかり語られている。簡単に要約すると、あの後トラックで走り出した両者は、長い日時の走破の末にある国にたどり着く。ソウはこの世界の厳しさを知っており、隙を見せれば喰われてしまうのでどうしたものかと考えていたが、そんな不安をものともせずにフォトは全ての真実を打ち明けた。しかしそれが良い方向に働き、国の移住が認められた。さらにトラックの物もフォトの所有物であると認められ金持ちになった。そんな中、あるものだけは売らないようにとソウは指示していた。それがカメラであり、そのカメラを使いフォトはカメラマンになった。

 

   要約するとこうなるが、もちろん長い文章をかけてこれら経緯が語られる。当然原作を読んだほうが楽しいので、未読の方やフォトとソウの今後が気になる方はぜひ原作をご購入願いたい。フォトの後日談は小説15巻の「フォトの日々」より始まり、以降全巻で触れられる。キノの旅の非情な物語とは打って変わり、和やかなカメラマン生活が語られる。小説21巻を経てもキノとの遭遇は叶わないが、小説17巻ではシズと遭遇していたりと見所盛りだくさんである。


   その他思ったこぼれ話。モトラドの演技を緒方さん実にはつらつと快演していること。これはアベマTVでエヴァのCMが流れるものだからより一層感じられる。あの悩む少年役の人が、実に開き直った演技をしているのだから感慨深いものがある。あと序盤でフォトが子供達にからかわれるが、もしかしたら今後登場する「大人の国」でも似たようなシーンが見れるかもしれない。

 

   小説版「雲の中で」ページ

   小説版「雲の前で」ページ​

 

 

 

キノの容姿と装備:茶色のコート・スコープ
エルメスの言い間違い:なし

 

 

 

[ アニメ2期 ] 18:25 - | comments(0) | trackbacks(0) |2017.11.11 Saturday
キノの旅漫画1巻第一話 大人の国 感想

●大人の国
一言でいうと:キノが故郷から逃げ出す話
登場人物:初代キノ、少女キノ、エルメス

小説版「大人の国」ページ

 

 

 

あらすじ
   11歳の少女キノ(当時の名前を忘れた)の国に旅人が現れた。宿屋を探しているということで自分の両親が営む宿に案内した。少女キノには大人になるための手術の日が近づいていたが、初代キノとの交流でそのことに疑問を持った。そして両親にその事を話したら、両親が豹変し少女キノへの罵倒の嵐。しまいには少女キノを殺しにかかってくるが、それを初代キノが身をもって阻止、そして死んだ。再び少女キノに危機が迫るが、そこに声をかけたのは初代キノが直したモトラドのエルメスであった。少女キノはエルメスにまたがり国を脱出した。

   そして、いつもの主人公キノがそこにいた。これからどうすると聞くエルメスに、いつも通りさエルメス、旅だよとキノは答えた。

 


感想
   巻頭カラーとプロローグを終え、第一話となったのがキノの旅立ちとなるこのお話である。例外を除き、キノの旅の時系列的に最初に位置するのがこのお話であるが、これを第一話に持ってきたの小説やアニメは存在しなかった。そのことからも漫画では新しい試みがなされている。

   一番最初のコマで長髪の少女が描かれるが、原作小説を読んでいる身としては、11歳キノというより師匠を思わせる容姿である。少女キノの背は初代キノの肩ほどで、一期アニメ化の時の圧倒的な背の差と比べると縮まっている。それを見ると両者は普通に恋愛対象範囲内に思う。

   いつもの主人公キノは男に間違われることが多いが、漫画の少女キノは長髪で少女そのものであり、単純にかわいい。小説のイラスト以上に目がぱっちりとして、このお話では笑顔をいたるところで見せてくれる。

   しかし、物語は転機を迎え、両親や住人が狂気に包まれる。それまでの和やかだった作風が一転、とてもおぞましい作風の顔になる。これにより物語が転機を迎えたことがストレートに伝わってくる。これは漫画特有の感触である。これまでの各作品、小説、アニメ、そして今回の漫画。ストーリーの展開は同じであるものの、その感じ方はそれぞれ微妙に異なっている。

 

 

[ 漫画 ] 20:30 - | comments(0) | trackbacks(0) |2017.11.08 Wednesday
キノの旅アニメ二期第五話(その2) 嘘つき達の国 感想

●嘘つき達の国 -Waiting For You-
登場人物:キノとエルメス
本編約10分
アニメ前話「旅人の話」ページ
小説版「嘘つき達の国」ページ

 

 

あらすじ


   城門が開くと目の前には鬱蒼した森が広がっていた。そして、おーい旅人さんとキノを呼ぶ男の声がした。駆け寄ってきた男はキノに、僕の恋人を知らないかと聞いてきた。男の恋人は五年前にいきなり旅に出てしまい、ずっと待っているそうだ。すると後ろから家政婦の女性が現れ、彼に寄り添った。

 

   外が雨の中、カフェらしき場所で住人達とお茶を飲むキノ。キノがキャタピラの話をした後、住人達に何か聞きたいことがあるかと言われた。そこでエルメスが男の事を聞いた。すると一同が顔を伏せた。彼は可哀想な男だと言い、彼の友人だった男が事情を話し始めた。

 

   この国は過去に横暴な王が治めていたが、五年前に革命が起きたそうだ。当時は男と一緒に警察官をしており、同時に革命の主要メンバーだった。一方で男には恋人がおり、とても仲が良かった。しかし革命の直前、死ぬかもしれないということで男は恋人に無理やり別れを告げた。そして革命は成功。しかし彼は王家の車に爆弾を投げつけた際、そのせいで死んだ恋人を目の当たりにした。恋人は実は王女で、お忍びで城下に来ていたのであった。

 

   男はそれを知って耐えきれなくなり、頭がおかしくなってしまった。そして彼女はどこにいったのとしきりに聞くようになった。みかねた医者は、あなたの恋人は旅に出てしまったが、必ず帰ってくると嘘をついた。そして今のようになったのだという。新政府は彼のために家と世話人を雇ったが、世話人はどの人も長続きしなかった。だが国の外で生き倒れ寸前の旅人の女性を発見、事情を知らないということで雇い、それ以来ずっと家政婦をしてもらっているそうだ。しかし男の状態は一向に改善せず、一生現れない恋人を死ぬまで待つだろうとの事だった。

 

 

   キノが森を走っていると、家政婦の馬車の車輪がぬかるみにはまっていた。キノはそれを助けると、家政婦はお礼という事で家に案内した。キノが男とお茶を飲んでいると、家政婦がエンジンの音がしたと言った。男はすぐさま駆け出した。すると家政婦はしばらく彼は帰ってこないだろうと言い、真相を語り始めた。革命が起きる前の事。スパイからの情報で革命が迫っていることを知った彼女は、男に接触し信頼できる情報を父に届けた。でもその過程で本当の愛が芽生えたのだという。しかし突然男が振ってきたことから革命決行を察知。身代わりが死んで自分達は生き残ったそうだ。

 

   彼女は逃げおおせたが、男が病んでしまったことや世話人が必要とされていることを知った。そして悩んだ末にこの答えを出した。彼女は男と再会した際に言われたのは「彼女が帰ってくるまでよろしく」だった。それについて彼女はとても嬉しかったと振り返る。男は今でも私を待ってくれており、そのうえで傍にいられるからだと言う。そしてこれからも続くであろう生活に、彼女ははっきりと幸せですと答えた。違ったよと男が帰ってきた。いつ彼女は帰ってくるのだろうと男。いつか帰ってくると家政婦。忘れらているのが怖いんだと言う男に彼女は忘れらてなんかない、決してと言った。

 

   キノは出国した。それを見送る2人、と男がエンジンの音がしたと言って城門の外へ出て行った。キノが振り向くと、後ろから門番を押し倒して男が走ってきた。そして男は言った。これでいいんだ、私は幸せだと。キノは男が正気であることを察知し、エルメスはここの国の人達はみんな嘘つきだねと言った。両者は別れを告げ、キノは出発した。

 

 

感想


   みなの優しい嘘が積み重なっていたお話。頭がおかしくなってしまった男のため、住人のみなが優しい嘘をついた。だが恋人の王女は嘘をつき男の傍らにいた。そして最後には頭がおかしくなってしまった男までも嘘をついていることが判明した。嘘が現状の幸せを作り上げたというなんとも感嘆するお話である。誰かが本当のことを言ってしまうと今の幸せな生活が崩れてしまう。そのためにみなが嘘を守っていたのだった。

 

   彼女はこの生活を幸せだとはっきり言い、男もこれで幸せだと言う。だが管理人としては、目の前に好きな人がいるの関係を持てないというのが、なんともきつい。彼らを不幸と思えないが、管理人には耐えられそうにない生活である。あとこの感想は今回アニメを見て思った事であり、原作小説を読んだ際にはこのように思わなかった。これは、ストーリー展開が同様なのに感じ方が異なったという不思議な点である。やはり、アニメ化ということで絵と声が具体的に挿入され、それ故に感じ入ったのではと思う。

 

   最後のシーンで男が嘘をついている者達を言及するが、その際に「王家のスパイだった友人」と言う。これは自身のニコ生放送において指摘され気付かされたのだが、どうやらアニメにおいて過去の話し手をした友人が、裏でさまざまな暗躍をしていた様である。これは今回のアニメや原作小説でも直接言及はされないのだが、先の台詞により友人が王家のスパイであることは確定であり、革命側だと思っていた友人が実は王側だったということや、そこから察するに王女である家政婦を手引きしたのでは等の想像が膨らむ。

 


   その他こぼれ話。男の声優が石田彰さん。きっと人気声優で管理人はガンダムSEEDで知り、それ以来でもさまざまなアニメで活躍している。またネタキャラを演じる印象が強いせいか、石田さんが声を担当しているだけで少しクスリと来る。今回はキノの旅に登場ということで、意外に思う登場で嬉しいサプライズであった。

 

   入国した後キノはカフェに行き住人達と机を共にするのだが、この構図が原作の別のお話である「ホラ吹き達の話」のシチュエーションに似せているのではと思った。男女四人がともに机に座るという点と、キノがキャタピラの国=迷惑な国について話したという共通点がある。原作のタイトルも今回と似通っているのであえて取り入れたのかなと思う。

 

   過去の回想シーンは影絵を用いたアニメとなっている。こういった回想の表現は、現実に沿った描写である必要がないため製作者の自由な表現となって面白い。まあ管理人が思い当たるのは洋画なのだが、「ハリーポッター」のどこかの回での回想アニメや、「マン・オブ・スティール」でのスーパーマンの故郷の歴史を表すアニメが印象的である。


   感想の締めとして、「嘘」について管理人が思う事。現実世界において管理人も含むみなが多少なりとも嘘をつきつつ生きていると思う。だが、管理人は嘘をつかないよう心掛けている。その理由は「嘘」が疲れるためである。嘘をつくためにありもしない設定を考えなくてはいけないし、それに沿って話に整合性を持たせなければいけない。それにうっかり嘘を忘れてしまうと、そこから相手に不審に思われてしまう。そのため「嘘」をつくのは大変コストがかかるということだと思う。他人から嫌われたくないと思う管理人は、それゆえに嘘をつかないよう心掛けている。

 

   小説版「嘘つき達の国」ページ

 

 

 

キノの容姿と装備:茶色のコート
エルメスの言い間違い:なし

 

[ アニメ2期 ] 12:34 - | comments(0) | trackbacks(0) |2017.11.04 Saturday
キノの旅アニメ二期第五話(その1) 旅人の話 感想(ネタバレあり)

●旅人の話 -You-
登場人物:キノとエルメス
本編約10分

アニメ次話「嘘つき達の国」ページ

 

 

あらすじ

 

   キノは故人である英雄の記念館の前にいた。その英雄とは元旅人で、古い制度を打ち倒し初代大統領となった立派な人物だそうだ。記念館の一室には彼が旅人だった頃の物が展示されていた。


   まず紹介された物はスコップだった。案内人の女性によると、彼は花を愛する人で旅の最中に花の種を撒いた、きっとそうに違いないと言った。だがエルメスはそれを、トイレ用のスコップだよねと言った。言わなくていいとキノ。次に紹介されたのは彫刻入りのナイフだったが、キノ達はそれがどこかの国で安く売っていた「ザ・幸運ナイフ」であることを知っていた。そんなことは露(つゆ)知らず、案内人の女性はこの部屋にある物は英雄の偉大さを表すものばかりだと言った。


   奥の部屋には英雄が乗っていたモトラドが展示されていた。このモトラドは整備され、彼の偉業の証として永久に保存するそうだ。このモトラドもエルメスのように喋れるようだが、英雄が死んでしまってからは寂しいせいか喋らなくなってしまったのだという。


   キノとエルメスだけなら何か言うかもということで、案内の女性に外してもらった。しばらくして、擦れたような声で「…いいね」とそのモトラドが喋った。「いいでしょ」と返すエルメス。そのモトラドは、走るために存在するモトラドの本分を遂げられず嘆いており、ここは地獄だと言った。ここから連れ出してほしいとモトラド。それは出来ないとキノ。ならボロボロになるまで壊してほしいとモトラドは言うが、そうすればボロボロになるまで住人に叩かれるとキノは断った。モトラドは残念そうに「そうか」と言い続けた。


   出国しようとするキノ。すると少年がキノに駆け寄ってきた。少年はキノにどうやって旅を初めたのかと聞いた。その動機についてキノは名言を言った。少年は、両親からは宿屋を継ぐように言われているが旅人になりたい、僕も同じ方法で旅人になれるかと聞いてきた。わかりませんとキノ。だがそれに付け加え、記念館にあるモトラドについて教えてあげた。


   キノは出発した。それを見送り「かっこいいな」と少年は言った。

 

 

感想

 

   持ち主が英雄として死んでしまった故に退屈するモトラドだが、最後に希望が見えたお話。キノは問題のモトラドに助けを求められて際、あっさり協力を拒んでいるが、それを気に留めていた故に少年に希望を託した。キノは基本的に込み入った事情には不介入であるが、完全に非情というわけではない事が分かる。


   今回の第五回放送の構成は今までと違い、最初からOPで始まった。そしてAパートが始まるとタイトルが伏せられたままお話が展開し、Aパート終了間際でタイトルが「旅人の話」だと明かされた。実際予告されていた「嘘つき達の国」はBパートからだった。なので原作を知っていた管理人としては、アニメで全く知らない展開繰り広げられるものだから困惑した。そしてAパートの最後でようやくタイトルが明かされ、ようやく別の話だと理解した。結果的に前知識のない新鮮な初視聴となった。

 

 

   記念館をエルメスをひいて歩くキノだが、3DCGの活用がうかがえた。これまでもエルメス走行時は3DCGだったが、今回は歩くシーンでの活用ということで珍しかった。今回は見た目で3DCGだと分かったが、別の場面や別のアニメでは、絵を動かしていると思いきや3Dだったなんてことがあるかもしれない。いずれにせよ3D技術の発達で、以前よりも3Dがアニメにだいぶ馴染んできたのではと思う。まあここ最近はアニメはキノの旅しか見ていないだが。


   今回は珍しくエルメス以外で喋るモトラドが登場した。キノの世界ではモトラドのほかにもシズに控える犬の陸がしゃべり、それを人々は自然に受けれている。だが、主要キャラ以外でしゃべるモトラドや犬は全く出てきておらず、今回のモトラドは非常に珍しい。またキノはエルメス以外でモトラドを見たのは初めてだと言う。モトラドが登場する回と言えば「旅の話」にてモトラドというかバイクが登場しているので、少なくともこの話以前に今回の話があったと分かる。あとモトラドの声が擦れていてとても印象的で、その声色から彼の失望が伝わってくる。


   お話の最後には旅を夢見る少年が登場。宿屋の子供、持ち主を必要とするモトラドなど、キノの旅立ちのケースと似通っているところが面白い。そしてキノのアドバイスも素晴らしい。キノの名言「誰からも命令されなかったのに、それをやりたいと思えるから、かな」。己がただ自然に漠然とやりたいと思ったことをした。この難しい時代、それこそが人間の生きていく活力となりうるものだと気付かされる名言である。

 

 

   今回のタイトルは「旅人の話」であるが、このタイトルのお話は原作単行本小説には存在しない。なので管理人はアニメオリジナルの回だと思ったのだが、そうではなかった(自身のニコ生放送にて知らなかった管理人に教えてくれた方へ感謝)。あくまで原作単行本小説に存在しないのであって別の形で原作があった。詳細については下記のリンクを参考にしてもらいたい。

   ウィキペディア「キノの旅」テレビアニメ第1作・劇場アニメ項目:https://t.co/pYRAo1mDys

 

 


キノの容姿と装備:茶色のコート
エルメスの言い間違い:なし

 

[ アニメ2期 ] 04:16 - | comments(0) | trackbacks(0) |2017.11.04 Saturday
キノの旅アニメ二期第四話 船の国 感想(ネタバレあり)

●船の国・渚にて 旅の始まりと終わり -On the Beach-
登場人物:シズと陸、ティー、キノとエルメス
本編約20分
小説版「船の国」ページ

 

 


あらすじ

「船の国」
   海に浮島のような「船の国」が浮かんでいた。さらに沖を見渡すと交易がおこなわれていた。それらを見渡したシズは、船の国に乗り込み海を渡ることを決意した。

 

   船の国に入ったシズと陸は、この国の指導者達に謁見した。指導者達はみな黒装束で大きな帽子をかぶり表情は伺えなかった。滞在にあたりシズは指導者側で働くこともできたが、一般住人の元で暮らすことした。国の様子はむきだしの鉄だらけで、みすぼらしそうだった。一般住人の長老に会ったシズは、国の案内役としてティーを紹介された。ティーは終始無言であった。

 

   シズ達はティー国を案内してもらった。国は鉄だらけであったが、人の活気はあるようだった。滞在を始めて何日か経った折、激しい揺れと音がした。だが住人達は全く動じていなかった。この事についてティー聞いてみると、ティーは浸水している場所、そして国の設計図がある場所に案内してくれた。シズは設計図を手に、ティーに破損個所を指さしてもらった。陸の数えではそんな箇所が143ヶ所あるようだった。これらは放置されるらしく、このままでは国が崩壊するという考えにシズは至った。

 

   屋根がないところへ出ると、雨が降っていた。雨から守るためティーを自分のパーカーらしきの中に入れると、ティーは止まって目をつむった。ティーが雨の音が気に入ったということで、シズもそれに従って一緒に雨の音を聞いた。

 


   シズはこの国の状況について長老に聞いてみたが、長老は塔の指導者まかせで意に介せずだった。無表情で道を歩くシズ。すると、ティーがシズの手を取って歩き出した。向かった先は城壁の上で、きれいな夕焼けが見えた。息抜きが出来たと感謝すると、シズは背後の街並みを見渡し、最後にティーに視線を向けた。その表情は何かを決意したようだった。

 

   シズは刀を手に取り、ティーに部屋で待つように言った。だがティーが無言でついてきた。指導者達のいる塔に来たシズ。すると止まれと指導者の声が聞こえた。シズは指導者にこの国について問い詰めるが、どうなってもそれが運命だと片づけられてしまった。

 

   お考えよく分かりましたと言い、シズ前へ進んだ。すると目の前のシャッターが開き、ショットガンを持った黒装束が立ちふさがった。ゆっくり近づいていくシズ。ついに黒装束がショットガンを撃った。それを避けるシズ。次の瞬間、黒装束は持っていたショットガンをシズに投げつけた。それを刀で弾くシズ。すると黒装束はリヴォルバーをシズに向けていた。刀が後方にある状態でそうされてしまいシズの動きが止まった。驚いたなとシズ。それを聞いてボクも驚きましたよと声がした。黒装束を脱いで現れたのはキノであった。

 

   戦いが止まったのを見た指導者は両者が仲間だったのかと言い、国の針路を変えたと宣言。あなた達は死ぬまで民と暮らすがいいと言われてしまった。キノはやむなくシズと共闘し、指導者達を倒して進んだ。陸とティーはそれについて行った。その最中、手榴弾とナイフがティーの視界に入った。シズとキノは指導者達のリーダーらしき者を追い詰めた。リーダーは、この国の王になるつもりかとシズに尋ねた。必要ならとシズ。するとリーダーは「いいだろう、次はお前だ、そして一緒に生きろ」と言うと、意識を失ったかのように体を倒した。その体は人間ではなく機械だった。

 

   船の国を陸地に付かせた。キノ達とシズ達は陸に上がった。すると長老がシズに事情を尋ねてきた。シズはこの国の危機を教え、そのために指導者達を排除したと言った。しかし住人達はそれでも住み慣れた自分達の国へ帰って行った。失敗した、ティーも国に戻るといいとシズ。それを聞いてティーがシズに近寄ると、ナイフでシズの腹を刺した。ティーは「わたしにもどるところなんてない」と言った。一同が緊迫するなか、エルメスがティーとこの国について喋り出した。

 

   ティーの本名であるティファナはもとは船の名前で、その船が600年前、放棄され無人の「船の国」にやってきた。船には子供しか乗っておらず、大人達は疫病で死んでいた。そして子供達はこの国に住み、現在の住人達の先祖となった。さらにティファナ号で子供達を導いていた人工知能が、「船の国」移住に伴い黒装束の指導者達に成り代わった。シズが最後に指導者達と対峙した際のセリフは、それを汲みとったものだった。

 

   そしてティーはこの国に来た旅人の捨て子だった。結果的に親代わりだった指導者達を殺してしまったシズは、ティーに謝りこれから一緒に助け合っていこうと言った。ティーは沈黙の後にありがとうと言った。そして出血の末シズは倒れた。それを見たティーはおいていかないでと呟き、手榴弾を取り出した。心中する気だとエルメス。キノは素早くティーが手にしていた手榴弾を狙撃し弾いた。

 

 

「渚にて 旅の始まりと終わり」
   手当を受けたシズはキノに礼をし、またどこかでと言った。ボクが旅を続けていれば、あなたの住む国に辿り着くと思うとキノ。その時は心から歓迎するとシズ。

 

   エルメスを走らせるキノ。将来またあの人とあったらとエルメス。それに対しキノは言った。あの人は―死ぬほど驚くかもねと。

 

 

感想

 

   シズとティーが親睦を深めるも、悲しいすれ違いを引き起こしてしまったお話である。シズはいつも通り、その正義感のままに行動し国の指導者すら倒した。その傍らで無言なティーにも気を使っていた。しかし、ティーには秘密があった。そして結果的にシズの行動が裏目に出てしまった。とても悲劇的な話だが、言ってくれればと思ってしまうのは浅慮なのか。

 

   CMに入った際、もうAパート終了なのかと驚いた。それもそのはずでこのお話の原作では約120ページ(単行本の約半分)となっており、長編ゆえに一話で済ますには尺がまるで足りないはずである。そのためアニメではテンポが速すぎで、圧縮された内容を理解しようとすると一瞬でAパートが終わってしまった。これは本アニメにさまざまな悪影響やもったいない点を生み出していると思う。

 

   アニメ化という事で国の街並みが映像化されたが、どうも印象に残っていない。やはり尺の都合でストーリーが圧縮され、街並みをゆっくり眺める時間がなかったゆえだと思う。だが、各所で挟まれる国の様子は鉄を主体としたとても細かい描写となっており、クオリティが高い。また、小説では黒装束とだけ書かれていた国の指導者達だが、映像化したものを見てみるとなんとも変わった魔法使いのようになっていた。

 

   シズとティーが一緒に雨音を聞くシーンがあるが、その導入がどうも唐突で不自然に思えた。雨が降り始めたと思ったらシズ達がいきなり外に立って雨に打たれていたので、シーンの前後の流れに不自然を感じた。これも尺がないゆえに発生したと思う。さらに小説版ではここで、陸はパーカーらしきものに入れさせてもらえず、結局濡れるしかなくなってしまうというクスリとする場面なのだが、当然のごとくカットである。

 

   シズ対キノの対決もすぐに終わってしまう。そしてあまりにも早とちり過ぎる指導者達だがこれも尺ゆえとしか思えず。小説版では勝負はもっと長く、しまいにシズはキノにゴム弾で撃たれ倒されてしまう。しかし、よくよくアニメを見てみると、シズ対キノの決着シーンはどうやらコロシアムの決着シーンを再現しているように思える。シズの構えの段が違うものの、キノが抜いてシズが動きを止めているのはコロシアムと同様である。その流れがあり、再戦を匂わせてから黒装束がキノだと判明する流れは良いと思う。

 

   船の国が陸に辿り着きシズが住人達を強く説得するシーン。これは個々の視聴者の解釈によるが、管理人が見た限りだとシズは住人達が陸で住むものだと確信していた様に思える。そして思い通りにはいかなかった。これを視聴者がシズの浅慮の行動とだと捉えられないか心配である。小説だとシズは自分の行動が無駄で、自滅するとはいえ住人達は元の生活望んでしまう可能性があることを考慮していた。

 


   そして、今回一番気になったのがラストのティーの口調である。アニメでティーはシズにナイフを刺した後にすぐ「わたしにもどるところなんてない」とトーンの低い口調で言う。しかし小説のティーはナイフを刺した後も無言で、エルメスのネタバレの末ついに「わたしにもどるところなんてない!」と感嘆符付きで発する。その台詞の後の文章には"その高く澄んだ声が、ティーのものであることにすぐには気づかなかった"とまである。次々と重大な事実が判明する中でついに言葉を発したティー。だが、どうもアニメではあっさりし過ぎていた。その後シズが出血で倒れた際も低いトーンの口調も変わらず。こちらも小説では何度も叫んだと書いてあった。このようにティーの口調に関しては大きな違和感が残った。

 

   その他、小説を読んでいると分かるこぼれ話。作中陸が子供達に顔を揉まれる際に「この顔は生まれつきです」と言うが、これは小説における物語開始時の定例文であり、使うタイミングがないためかここで使われている。ほか、国が揺れたときからシズはパーカーを着ているが、小説を読んでいる者からすると、シズは常に緑のセーターを着ているという印象があり新鮮である。あと、夕焼けの城壁にてティーが携帯食料を食べているが、これは旅人に評判の悪い携帯食料をティーがとても気に入ったゆえである。

 

   とにかく、今回のお話は過去のコロシアムの回と同様、尺が足りなくて詰め込み過ぎた印象がある。それゆえにエルメスのネタバレシーンも悔しく思う。原作を読んでいる身としては話の顛末が分かり切っている分、ネタバレを要する尺がもったえない。その尺を別の事に使ってほしいのだが、アニメ初見の人からすればこれがないと話が理解できないのでやむを得ない。

 

   今回のアニメでは管理人は節々に違和感を感じた。みなさんはいかがだったろうか。ペースが速すぎる点も含め、それらを解決するにはやはり原作小説がかかせないと思う。小説未読者の方はぜひ原作を手に取っていただきたい。

 

   小説版「船の国」ページ

 

 

 

キノの容姿と装備:黒装束・黒いジャケット・借り物らしきショットガン・カノン
エルメスの言い間違い:結果到来→正:オーライ

 

[ アニメ2期 ] 05:24 - | comments(0) | trackbacks(0) |2017.10.28 Saturday
キノの旅アニメ二期第三話 迷惑な国 感想(ネタバレあり)

●迷惑な国 -Leave Only Footsteps!-
登場人物:キノとエルメス
本編約20分

小説版「迷惑な国」ページ

 

 


あらすじ


   自然豊かな場所にて、キノは神妙な面持ちをした後、ため息をついた。手には森の人が握られていた。どうするのとエルメス。キノは寝ることにすると答え、ハンモックで寝てしまった。しばらくしてエルメスが鋭くキノを呼んだ。素早くハンモックから寝ころび地面に伏せるキノ。エルメスによると何かが近づいてきたという。現れたのは巨大な壁、国のようであった。

 

   巨大な壁の国に併走するキノ。キノが親指を立ててみると声がして、国が止まった。そこから軽トラックらしき物に乗って、入国審査官兼ねた役人の男が現れた。キノがこれは国なのかと聞いてみると、もちろんそうだと返された。キノは5日から10日の観光と休養を希望した。役人の男によるとこの国は動力炉のエネルギーが余ることを防ぐために移動していること。また国の住人がいろいろな景色を見るのが好きで、それを見るために旅をしているとのことだった。

 

   ホテルの一室でキノは髪を洗った。そして眠りについた。部屋はいわゆるユビキタスで、キノが電気全部消すとしゃべっただけで部屋の照明が消えた。次の日、髪を乾かさなかったキノの髪がすごいことになった。

 

   役人の男に案内され国の最上階に来た。進行方向とは逆の方に、国が歩んだ印である巨大なキャタピラの跡があった。自然を傷つけ進むことはとても心苦しいが、こればかりは仕方ないと役人の男は言った。道の行先にクレーンが見えた。壁に沿って掛かったクレーンの先には幼年学校の生徒達がいた。在学中に最も印象深いものを絵を壁に書くのだという。

 


   急にサイレンが鳴った。別の国を発見した際に鳴るサイレンだった。役人の男が外交をすると言い、キノは見学することにした。キノが来たのは一面にモニターがある大きな部屋だった。そこにはこの国の女性大統領がいた。モニターには移動する国を通せんぼする国が映っていた。通せんぼの国と通信をつなげると、役人の男は平然とあなたの国を横切らせてくださいと言った。通信相手の将軍は当然のごとく猛反発をした。そして通せんぼの国が大砲を撃つが、移動する国はびくともしなかった。役人の男と女性大統領はやれやれと言った様子だった。

 

   移動する国の前に城壁が立ちふさがる。すると移動する国は巨大なレーザー兵器を用い、城壁を切り開いた。平然と移動する国。呆然と見守るしかない通せんぼする国の将軍達。将軍は怒声をあげ抗議した。将軍は正論を述べたが、キノは聞かなかったことにした。国の中を移動する国。すると子供達の壁画がミサイル攻撃を受けていると報告が入った。なんとかしたいがレーザー兵器では威力が大きすぎる。そこでキノは、パースエイダーで狙撃すると名乗り出た。

 

   キノは狙撃銃であるフルートを用い、敵ジープのミサイル誘導装置をスコープで捉え、見事な腕で狙撃した。しかし、その反動からか放たれたミサイル2つがキノに迫った。キノは1つをスコープ越しに狙撃し爆破、さらにもう一発もギリギリで撃ち落とした。それを見ていた住人達が歓声を上げた。

 

   キノが出国する際、役人の男と話した。これだけの力があれば他国を支配するの簡単でしょうねとキノ。それも出来るが今の生活で十分幸せだと役人の男。それでも移動は続けるのと聞くエルメスが聞くと、どんな人間や国でもある程度他者に迷惑をかけながら存在していると言われた。

 

   出国しエルメスを走らせるキノ。うまくいったねとエルメス。キノは以前通せんぼの国で、森の人を差し出せと言われたことを思い出した。あの通せんぼの国はわざと平原部を城壁で封鎖し、通行人から金品をふんだくっていたのだった。移動する国はこれからどこへ行くんだろうとキノ。しばらくしたらキノがライフルを構えている所が壁画になるとエルメス。それを聞き、はずかしいかなとキノ。迷惑?とエルメス。それほどでもないかなとキノは締めくくった。

 


感想


   巨大な国が移動するという迷惑な国と、さらにキノを通せんぼしたもう一つの迷惑の国のお話。キノが物語冒頭で困っていたのは、通せんぼの国で森の人を差し出せと言われた為であった。そして現れたのが移動する国であり、キノは三日間ルールを曲げてこの国に滞在。目論み通り通せんぼする国を通り抜けた。

 

   アニメ化により移動する国が映像化。まるでバケツをひっくり返したような巨大な国であった。小説版を読んだ管理人のイメージでは、ケーキのようにそこそこ平べったい国をイメージしていたのだが、アニメではバケツような縦長でずっしりとした異様な国であった。

 

   国のギミックであるキャタピラやレーザー砲も映像化。キャタピラに関してはあの程度のキャタピラ数で国が持つのか疑問だった。レーザー砲に関してはさすがの威力を見せ付けてくれた。あれほどの物が撃たれたのだから大爆発が起きるかとも思ったが、必要以上の犠牲者をでないようにするため、そのようなことは起きなかった。

 

   国の内側でもさまざまな物が登場したが、それらがとても現代的に感じた。各所に出てくる車は現代にもありそうなものだったし、各所を撮影する浮遊カメラはドローンを思わせ、それを教師の持つタブレットが映していた。

 

   終盤に役人の男が、みなある程度他者に迷惑をかけながら存在していると言った。それ自体は正論なのだが、この国に対してもそれを適用できるのかはなかなか疑問であった。

 

 

   小説違う点については、最初に国と遭遇した際に聞こえた声が、アニメではおそらくスピーカー越しで聞こえたのに対し、小説ではなんらかの技術でキノの近くから聞こえていた。さらに、アニメで登場したドローンのようなカメラは小説では登場しなかった。


   アニメ放送後の自身の放送での指摘で分かった事について。キノが最後にミサイルを狙撃した際、スコープなしで狙撃したようだった。これはそれ以前の描写がスコープ視点の後に命中シーンとなっているのに対し、最後の狙撃に関してはその流れがなかったためである。ここでもキノの凄腕が光った。

 

   作中、通せんぼの国の将軍がこう唱える。「あなた方は自分達の恵まれた環境をこれ以上なく悪用している。踏みつぶされる他の国、他の人々の迷惑や被害、悲しみを考えないのか。そのような人として最低限必要な考えすら持てないのか」。アニメでは怒声のままにこの台詞が発せられたが、管理人のイメージとしては怒りが込められつつも声を押し殺したイメージであった。また、これも自身の放送での指摘で気付いたのだが、この台詞は通せんぼしている自身の国に対しても同じことが言えるのだった。この点は気付かなかったので、なるほどと思った。

 

   小説版「迷惑な国」ページ

 

 


キノの容姿と装備:森の人・フルート・黒いジャケット
エルメスの言い間違い:なし

 

[ アニメ2期 ] 04:34 - | comments(0) | trackbacks(0) |2017.10.21 Saturday